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ChatGPTの「おすすめ」はどう決まる?AIは検索する前から候補を持っている。今日、自分の分野で1回聞いて記録する

「おすすめの会計ソフトは?」「この用途ならどのツール?」

AIにこう聞く人が増えたことで、今度は「その答えはどうやって決まっているのか」を調べる動きが、この夏いくつかの方向から同時に出てきました。英語圏では個人の研究者がChatGPTの回答を1件ずつ分解し、日本では8月21日にITmediaがその内容を紹介しています。同じ週、Googleは「自分が見る情報」を会話で調整できる機能を発表しました。

日曜は、その週に出てきた言葉をひとつ選んで仕組みから読む日にしています。今日のテーマは「AIのおすすめは、どこで決まっているのか」です。

結論を先に書くと、AIは検索してから候補を選んでいるのではなく、検索を始める前から候補をだいたい持っている——少なくとも、そう見える観測結果が出ています。ここを知っているかどうかで、AIの答えの受け取り方も、自分の商品やサービスの露出の考え方も変わります。


きっかけ:ChatGPTの回答を、1手ずつ分解した人がいる

出発点は、Suganthan氏が2026年8月10日に公開(8月17日更新)したブログ記事です。ChatGPT Plusの1アカウントで、語学アプリ・会計ソフト・オンラインカウンセリング・ロボット掃除機・レンタルサーバー・電気SUVなど13カテゴリにわたって「おすすめは?」と聞き、AIが裏側で何を検索し、最終的にどのページを引用したかを追跡したものです。

日本語では、ITmediaの連載コラム「893rd Lap」(8月21日)がこの調査を紹介しています。

出典:

  • Suganthan「ChatGPT Already Knows Who's In The Running Before It Searches」(2026年8月10日公開・8月17日更新/一次情報)

https://suganthan.com/blog/chatgpt-decides-before-it-searches/

  • ITmedia「ChatGPTに『おすすめの○○は?』 実は答えが決まっているらしい:893rd Lap」(2026年8月21日)

https://kn.itmedia.co.jp/kn/articles/2608/21/news043.html

仕組み:AIが最初に打つ「検索キーワード」に、すでに社名が入っている

観測された内容を、数字が大きい順に3つだけ。

1. ユーザーが打っていない社名が、AIの検索クエリに入っている

27件の会話のうち21件で、AIが自分で組み立てた最初の検索キーワードの中に、ユーザーが一度も入力していないブランド名が含まれていました。つまりAIは、白紙から探しに行っているのではなく、学習済みの知識から「この分野ならこのあたり」という当たりをつけた状態で検索を始めている、ということになります。

2. その最初のクエリに載るかどうかで、最終回答への登場率が約33倍違う

AIが最初に打ったクエリに名前が入っていたブランドは、最終的な回答にも68.9%の確率で登場しました。一方、検索の途中でページとして拾われただけのブランドが最終回答に登場した割合は2.1%。差は約33倍です。

3. たくさん読んでいるが、ほとんど使っていない

取得された3,554ページのうち、実際に回答で引用されたのは110ページ(3.1%)でした。同じサイト内でも、まとめて表示されたときの1番目は引用率5.2%、6番目以降は0.3%まで落ちています。

ここは正確に:この調査は、ドバイの1アカウントで2026年7月24〜25日に行われた60会話の分析です。著者自身が「すべての数値は方向性を示すものであり、パーソナライズや地域による差が出る」と明記しています。OpenAIが公表した仕様ではなく、外側からの観測である点は押さえておいてください。

なぜそうなるのか

AIは、学習の時点ですでに「このジャンルで有名なもの」の知識を持っています。検索機能は、その知識をゼロから覆すためではなく、手持ちの候補の裏を取り、最新の情報で補強するために使われている——今回の観測はそう読めます。

私たちが検索するときも、実は似たことをしています。「会計ソフト」と打ち込む前に頭に2〜3社は浮かんでいて、検索はその確認に使う。AIも同じ動きをしていて、しかもその「頭に浮かぶ2〜3社」の部分が、私たちからは見えないところで固まっている、という話です。

つまり、どういうことか

AIの答えを受け取る側として。 AIが挙げた5つは「その分野の上位5つ」ではなく、「AIが最初から知っていて、裏取りできたもの」に近い。良し悪しのランキングではないので、選択肢を絞る用途に使い、最終判断の根拠にはしない。特に、新しいサービスや地域密着の事業者は構造上出てきにくくなります。

選ばれる側として。 ここが仕事に直結する人も多いはずです。自社の商品やサービスがAIの回答に出てこない場合、原因は「ページの書き方」より前の段階、つまりAIがそもそも名前を知っているかどうかにある可能性が高い。ページを直す作業と、名前が言及される場所を増やす作業は、別物として考える必要があります。

Zennで話題になった個人開発者の記事が、この構造をそのまま体験しています。自作SaaSについてChatGPTに「2026年のおすすめは?」と聞いたところ、挙がった10個に自分のツールは入っていなかった。調べると競合の被リンク元ドメインは約1,300、自社は3。この人が立てた計画は「文章を直す」ではなく「参照される場所を3→10→25→50へ増やす」でした。

出典:Zenn「SaaSを作った。そしてChatGPTに『おすすめは?』と聞いたら、私のことなど知らなかった。」 https://zenn.dev/kattoai/articles/76b5cbb1960c85

今週、同じ方向で動いたこと

Googleが「見るもの」を会話で調整できるようにした(8月20日・公式)

Googleアプリのおすすめフィード「Discover」で、右上のメニューから「こういう話題をもっと/これは減らして」と自分の言葉で伝えると、フィードがその場で調整され、内容が記憶されるようになります。数日以内の提供開始とされています。AIが情報の入口そのものを担う流れです。 https://blog.google/products-and-platforms/products/search/personalize-search-discover-news/

「優先ソース」は、読者側が指名できる数少ないレバー

同じ発表の中にある Preferred Sources(優先ソース)は、読者が「このサイトを優先して出して」とGoogleに指定できる設定です。指定されたサイトは Top Stories に出やすくなり、AI Overviews や AI モードでは「優先」の表示が付きます。公式ドキュメント(最終更新2026年8月20日)によると、Top Stories については Google 検索が使えるすべての言語で利用でき、すでに60万件以上のソースが選択されているとのことです。

ひとつ実務上の注意点があります。対象はドメインまたはサブドメイン単位で、example.com/blog のようなサブディレクトリは対象外です。noteやnote以外の投稿プラットフォームで書いている人は、自分のページ単位では指定できません。 https://developers.google.com/search/docs/appearance/preferred-sources

物差し:AI経由の流入は増えているが、まだ主役ではない

Helpfeelが8月5日に公表した調査(同社のヘルプサイト137件、2024年2月〜2026年6月)では、生成AI経由の流入は前年同月比3.2倍、逆にオーガニック検索経由は15%減。LIXILの事例では生成AI経由が約3倍、検索エンジンのAI機能からの引用数は約7.3倍に増えた一方で、流入全体の約8割は依然としてオーガニック検索でした。伸び率は大きいが、絶対量はまだ検索が中心、という状態です。 https://corp.helpfeel.com/news/pressrelease-20260805-1

今日の流れを一言でいうと

AIの「おすすめ」は、探した結果ではなく、もともと知っていたことの確認に近い。だから勝負は、ページを整える前の「名前が出てくる場所」で先に決まりはじめています。

今日の10分:自分の分野で1回聞いて、返ってきた5つを1枚に記録する

読むだけで終わらせず、手元にデータを1枚作ってください。

  1. ChatGPTでもGeminiでもClaudeでもいいので、自分の仕事の分野で「おすすめの◯◯を5つ」と聞く(例:「中小企業向けの勤怠管理ツールのおすすめを5つ」)

  2. 返ってきた5つの名前を、日付とAIの名前を添えてメモに書き留める

  3. その5つに自社・自分が入っていたか、入っていなければ代わりに誰が入っていたかを1行書き足す

これだけで、3か月後に同じ質問をしたときの比較対象ができます。順位表としてではなく、「AIが今この分野で知っている名前の一覧」として残しておくのがポイントです。

明日以降に見るべきポイント

  • Discoverの会話カスタマイズが日本語環境にいつ来るか(提供範囲は公式発表で明示されていません)

  • 「AIに引用されるための施策」を名乗るサービスの中身。今回の観測が正しければ、ページ最適化だけでは足りない領域が出てきます

  • 各社がこの手の外部観測に対して、公式に仕様を説明するかどうか

あわせて読む

今日の話の「出す側」の実務編。AIに拾われる前に、そもそも何を書いておくかを4項目で整理しています。

AIが手持ちの知識と外部の情報をどう合わせているのか、技術の側から見た回。今日の「検索の使われ方」の背景になります。

日々のニュースは毎朝のニュース便でまとめています。平日の動きはこちらからどうぞ。


日曜は、その週に出てきた言葉を1つ選んで、仕組みから書いています。 今日の内容が役に立ったら、スキで教えてください。どの用語が「知らないまま使っていた」ものだったかが、次の日曜の選定材料になります。 解説してほしい言葉があれば、コメントで名前だけ置いていってください。

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