Aivis Cloud APIとCitorasの違い|クラウド・自社環境・オンプレミスの選び方
この記事はこんな方に向けた内容です。
・Aivis Cloud APIとCitorasのどちらを選ぶか迷っている方
・入力テキストや生成音声を自社の管理範囲で扱いたい方
・自社で保有するGPUサーバーを活用したい方
・多くの音声合成モデルを本番サービスで運用したい方
・Cloud APIでの検証から本番導入まで、段階的な計画を立てたい方
⚠️ 本記事の内容は、2026年8月時点の情報です。Citorasの仕様・料金・提供条件は今後更新される可能性があるため、導入時はお問い合わせください。
皆さんこんにちは。感情豊かな音声合成技術を誰もがかんたんに活用できる未来を目指す、Aivis Projectです✨
本番サービスへ音声合成APIを組み込むとき、Aivis Projectには大きく分けて2つの選択肢があります。
Aivis Cloud APIと、法人向け音声合成APIサーバーのCitoras(シトラス)です。
どちらも同じ音声合成API基盤を採用していますが、同じサービスではありません。
Aivis Cloud APIは、Aivis Projectが運用するクラウド環境へAPIリクエストを送るサービスです。
一方のCitorasは、Aivis Cloud APIの内部で稼働している音声合成API基盤を、お客様が管理するGPU環境へ導入する製品です。
違いを端的に表すと、次のようになります。
運用をAivis Projectに任せて、すぐ使い始める
→ Aivis Cloud API
自社管理のGPU環境で、本番向けAPIを運用する
→ Citorasこの記事では、処理される場所、必要なインフラ、料金体系、モデル運用、移行方法まで、選定時に確認したいポイントを順番に解説します📚
【結論】迷ったらAivis Cloud APIから始める
まだ音質・読みの精度・必要な処理量を検証している段階なら、まずはAivis Cloud APIをおすすめします。
Aivis Cloud APIは、アカウント登録後すぐにAPIキーを発行でき、無料クレジットを使って実際の文章で音声合成を試せます。
GPUサーバーの調達や環境構築も必要ありません。
そのうえで、次の要件が明確になった段階でCitorasを検討します。
・入力テキストや生成音声を自社の管理範囲で処理したい
・セキュリティポリシー上、共有型のクラウドAPIを利用できない
・多数の音声合成モデルを継続的に運用したい
・自社でGPUサーバーを管理できる体制がある
・処理量の増加に備えて、定額のAPI基盤を持ちたい
⚠️ Citorasは、単にAivis Cloud APIより高性能な上位プランという位置づけではありません。運用場所と責任範囲が異なる、法人向けの自社環境版です。
【共通点】同じ音声合成API基盤を使う
Aivis Cloud APIとCitorasには、次のような共通点があります。
・自然で感情豊かな日本語音声を生成できる
・低遅延なストリーミング生成に対応する
・読み方やアクセントを指定できるユーザー辞書を利用できる
・話速・音量・感情表現などをパラメータで調整できる
・SSMLのサブセットによる部分的な音声制御に対応する
・POST /v1/tts/synthesizeを中心としたAPIインターフェイスに互換性がある
同じ音声合成モデル・話者スタイル・パラメータを使えば、Aivis Cloud APIで確認した音声品質を基準に、Citorasの導入を検討できます。
ただし、応答速度や同時処理性能は、Citorasを動かすGPU、ネットワーク、同時推論数などの構成によって変わります。
「同じ基盤だから、どのサーバーでも性能まで完全に同じ」とは限らない点に注意してください。
【違い1】入力テキストをどこで処理するか
最も大きな違いは、音声合成処理を実行する場所です。
Aivis Cloud APIの場合
入力テキストは、インターネット経由でAivis Cloud APIへ送信され、Aivis Projectが運用する国内サーバーで処理されます。
入力テキスト・生成音声・アップロードされたモデルを、再学習やファインチューニングを含むAIモデルの学習に利用することはありません。
APIリクエストに関するログは、システム障害の調査やサービス品質の改善といった限定された目的で一定期間保持されます。
そのため、国内サーバーで処理したいが、自社でGPUサーバーまでは持ちたくないという場合に適しています。
Citorasの場合
Citorasでは、入力テキストの解析から音声生成まで、お客様が管理するCitoras環境内で実行されます。
入力テキストや生成音声が、音声合成のためにAivis Projectのサーバーへ送信されることはありません。
問い合わせ内容、顧客名、社内文書などを扱うため、テキストを自社の管理範囲から出せない場合に有効です。
ただし、Citorasを導入すれば、あらゆる外部通信が自動的になくなるわけではありません。
モデル保管先に外部のS3互換ストレージを使うのか、MinIOなどを使ってオンプレミスで構成するのか、監視・認証・ログをどこへ接続するのかによって、通信先は変わります。
完全に閉じた構成を求める場合は、GPUサーバーだけでなく、モデルストレージ・監視・認証・ネットワークまで含めて設計する必要があります。
【違い2】インフラの運用責任
Aivis Cloud APIの場合
サーバー調達、GPUドライバ、音声合成基盤の更新、障害対応などはAivis Project側で行います。
利用者側で必要なのは、主に次の作業です。
・APIキーの管理
・APIを呼び出すアプリケーションの実装
・エラー処理やリトライの実装
・利用量とクレジット残高の管理
・ユーザー辞書やモデルの管理
音声合成基盤そのものを運用する必要がないため、小さく始めたい場合や、専任のインフラ担当者がいない場合に向いています。
Citorasの場合
Citorasは、NVIDIA GPUサーバー上で動作するDockerイメージとして提供されます。
推奨構成の目安は次のとおりです。
・GPU:NVIDIA RTX A4000クラス以上
・GPUメモリ:16GB以上
・システムメモリ:16GB以上
・ストレージ:50GB以上
実際に必要な構成は、同時処理数、文章の長さ、利用するモデル数、可用性要件によって変わります。
Citorasには、複数のAPIキー、CORS制御、IPアドレス単位のレート制限、ヘルスチェック、GPU・CPUメモリやモデル状態を確認するモニタリングAPIなどが用意されています。
一方で、次の領域は基本的にお客様側の運用範囲です。
・GPUサーバーやネットワークの調達・保守
・Docker環境とNVIDIAドライバの管理
・ロードバランサーや認証基盤との接続
・監視、ログ保管、バックアップ
・障害発生時の一次対応
・冗長化やキャパシティープランニング
Citorasを複数台構成にしてロードバランサーの後ろへ配置すれば、負荷分散や冗長化も可能です。
データの管理範囲を広げられる代わりに、インフラの管理範囲も広がると考えてください。
【違い3】料金体系
料金は単純な月額だけでなく、GPUサーバーや運用にかかる費用まで含めて比較する必要があります。
Aivis Cloud APIの料金
Aivis Cloud APIでは、主に次の利用方法があります。
・従量課金:1万文字あたり440円(税込)
・Aivisプレミアム:月額1,980円(税込)
・新規登録時の無料クレジット:500円分
Aivisプレミアムは、1分間10リクエストの範囲で月間文字数の制限なく利用できます。追加使用量を有効にすれば、レート制限を超えた分を従量課金へ切り替えることも可能です。
法人向けには、請求書払いと大口利用のディスカウントもご相談いただけます。
Citorasの料金
Citorasのライセンス利用料は、月額11万円(税込)の定額制です。
モデル数やAPIリクエスト数が増えても、それを理由とした追加のライセンス料金は発生しません。監視・認証・ログ機能や、契約期間中の機能改善・内蔵辞書の更新も含まれます。
ただし、次の費用は別途必要となります。
・GPUサーバーの購入費またはクラウド利用料
・ストレージとネットワークの費用
・監視・バックアップなどの周辺サービス
・インフラを運用する担当者の工数
また、リクエスト数による追加料金がないことと、無制限に同時処理できることは別です。
実際の処理能力には、GPU性能や同時推論数による上限があります。
⚠️ 文字単価だけで単純な損益分岐点を出すと、判断を誤りやすくなります。
セキュリティ要件、インフラ費用、運用工数、必要な同時処理性能を含めて比較してください。
【違い4】多数のモデルをどう運用するか
キャラクターやブランドごとに音声合成モデルを用意すると、モデル数は継続的に増えていきます。
すべてのモデルを常にGPUメモリへ置こうとすると、モデル数に応じて大容量のVRAMが必要になります。
Citorasでは、GPUメモリ・CPUメモリ・SSDを使い分け、利用頻度に応じてモデルの配置を自動的に調整します。
・高頻度のモデルはGPUメモリに配置して、すぐ推論
・待機中・低頻度のモデルはCPUメモリやSSDへ移動
・必要になったモデルを自動的にGPUへロード
CPUメモリに保持されているモデルは、約0.1秒でGPUへロードできる設計です。
また、Aivis Projectでは、VRAM 16GBのGPUサーバー2台で400件以上のモデルを約1年間運用した実績があります。
これは「どの環境でも1台で必ず400件を高速処理できる」という意味ではありません。実際のモデル数、同時処理性能、待ち時間は、ハードウェア構成と利用状況によって変わります。
モデルファイルはS3互換ストレージへ配置でき、追加・削除されたモデルはCitorasが自動的に検出します。
モデルを追加するたびにサーバーを再起動する必要はありません✨
【選び方】要件から逆引きする
Aivis Cloud APIが向いているケース
・まずは音質やAPIの使い勝手を確認したい
・短期間でサービスへ音声合成を組み込みたい
・GPUサーバーを自社で運用したくない
・利用量が少ない、または月ごとの変動が大きい
・国内サーバーで処理できれば要件を満たせる
・小規模なPoCや新規サービスから始めたい
Citorasが向いているケース
・入力テキストや生成音声を自社の管理範囲で処理したい
・オンプレミスまたは自社管理のクラウド環境へ配置したい
・多数の音声合成モデルを継続的に運用したい
・複数台構成や独自の監視・認証基盤へ組み込みたい
・すでにNVIDIA GPU資産やインフラ運用体制がある
・モデル数やリクエスト数に左右されにくい料金体系を求めている
声だけを一般公開したくない場合
守りたいものが音声合成モデルそのものであり、入力テキストをAivis Cloud APIへ送信できるなら、Citorasまで導入しなくても要件を満たせる場合があります。
Aivis Cloud APIでは、AivisHubの限定公開モデルや非公開モデルも利用できます。
・非公開モデル:投稿者本人のみが利用
・限定公開モデル:アクセスキーを共有した相手が利用
「声を公開したくない」のか、「入力テキストを外部へ送信できない」のかを分けて考えると、必要な構成を選びやすくなります。
【段階導入】Aivis Cloud APIからCitorasへ移行する流れ
Aivis Cloud APIとCitorasはAPI互換性があるため、次のように段階的に導入いただけます。
また、導入のご相談をいつでも承っておりますので、少しでもご興味をお持ちいただけましたら、その時点でお問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。
貴社に合わせた最適な運用方法をご提案させていただきます。
1.使用するモデルを準備する
AivisHubのモデル、まるなげボイスで制作したモデル、自社で制作・変換したモデルなどから、用途に合うモデルを選びます。
2.Aivis Cloud APIで検証する
実際に使用する原稿で、次の項目を確認します。
・声質と感情表現
・読み方とアクセント
・ストリーミング時の体感遅延
・必要なパラメータ
・ユーザー辞書の内容
・想定されるリクエスト数と文字数
3.自社環境の要件を整理する
GPU、ネットワーク、モデルストレージ、認証、監視、ログ、冗長化、バックアップなどを設計します。
4.Citorasを構築する
提供されるDockerイメージをGPUサーバーへ展開し、S3互換ストレージや既存システムと接続します。
5.負荷試験後に本番へ切り替える
想定する同時アクセス数や長文入力を使って負荷試験を行い、必要なGPU台数や同時推論数を調整します。
音声合成APIの中心となるエンドポイントは共通です。
POST /v1/tts/synthesizeそのため、Cloud API向けに作ったリクエスト構造を活用できます。
ただし、Citorasへの移行時には、ベースURL、認証設定、ネットワーク、モデル配置などの接続・運用設定を切り替える必要があります。
ユーザー辞書はAivisSpeech・Aivis Cloud APIと互換性があり、エクスポートした辞書データをCitorasへインポートできます。
よくある質問(FAQ)
Q.Citorasは物理サーバーのオンプレミス環境でしか使えませんか?
いいえ。
お客様が管理するNVIDIA GPU環境であれば、オンプレミスだけでなく、自社管理のクラウド環境へ配置する構成も検討できます。既存のインフラ要件に合わせて設計します。
Q.Aivis Cloud APIとCitorasで音質は変わりますか?
同じモデル・話者スタイル・パラメータを使う場合、Aivis Cloud APIと同等の音質になります。
ただし、処理速度や同時処理性能はGPUや構成によって異なります。
Q.Citorasなら、入力テキストや生成音声が社外へ漏れることはありませんか?
音声合成処理はお客様のCitoras環境内で実行され、入力テキストや生成音声がAivis Projectのサーバーへ送信されることはありません。
ただし、外部ストレージや監視サービスを組み合わせる場合は、その構成に応じた通信が発生します。
完全オンプレミスを求める場合は、周辺サービスも含めて閉じた構成にする必要があります。
Q.Citorasの利用料はいくらですか?
ライセンス利用料は、月額11万円(税込)です。
モデル数・APIリクエスト数による料金変動は原則ございません。
GPUサーバー、ストレージ、ネットワークなどのインフラ費用は別途必要です。
Q.Aivis Cloud APIからCitorasへ移行するとき、アプリケーションを作り直す必要がありますか?
主要な音声合成APIは互換性があるため、リクエスト構造を活用できます。
接続先、認証、ネットワーク、モデル配置などの設定変更は必要です。
Q.AivisSpeech Engineを本番APIとして使う方法ではだめですか?
AivisSpeech Engineは、ローカル利用・検証・アプリ同梱などを主に想定した音声合成エンジンです。
AivisSpeech Engineでも全く利用できないということではございませんが、弊社では推奨しておりません。
多数リクエストの同時処理、モデルの自動管理、モニタリング、冗長化を含む本番運用にはAivis Cloud APIやCitorasが適しています。
まとめ
・Aivis Cloud APIは、Aivis Projectが運用するクラウド型の音声合成API
・Citorasは、同じ音声合成API基盤をお客様のGPU環境で運用する製品
・Aivis Cloud APIはすぐに始められ、サーバーの調達・保守が不要
・Citorasは入力テキストと生成音声を自社の管理範囲で処理できる
・Citorasのライセンス料は月額11万円(税込)の定額制だが、GPUなどのインフラ費用は別途必要
・迷ったらAivis Cloud APIで品質と要件を確認し、必要になった段階でCitorasへ移行する
Aivis Cloud APIとCitorasは、どちらが優れているかで選ぶものではありません。
早く始めたいのか、自社で管理したいのか。
変動費を選ぶのか、定額の基盤を持つのか。
必要なセキュリティ、処理量、モデル数、運用体制を整理すれば、自社に合う選択肢が見えてきます。
まずはAivis Cloud APIで、実際の原稿とモデルを使って音質・読み・速度をご確認ください。
そのうえで、Citorasを導入したいと思われた場合には、お問い合わせフォームよりご連絡いただけましたら、貴社に合わせた最適な運用方法をご提案いたします✨
以上で、この記事はおしまいです。
Aivis ProjectやCitorasに関してご不明点や導入のご相談がある場合には、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
🔗 関連リンク
・Aivis Cloud API:https://aivis-project.com/cloud-api/
・Citoras参考資料:https://aivis-project.com/assets/files/cloud-api/citoras-service-overview.pdf
・Aivis Cloud APIドキュメント:https://api.aivis-project.com/v1/docs
・AivisHub:https://hub.aivis-project.com
