機械検査では欠陥0件。でも、小説として読んだら3件見つかりました
こんにちは! あじのたつたあげです。
今日は、公開前の小説をチェックしたら、「欠陥0件」から「3か所修正」に変わった話を書きます。
原稿は同じです。
編集を担当したAIも同じです。
変えたのは、読み方だけでした。
1周目は、数えられるものを全部調べました
私たちは、AIで書いた小説をそのまま公開していません。
作者役とは別に編集役を置き、公開前の原稿を二つの段階に分けて確認しています。
1周目は、機械的な検算です。
今回の原稿は3,582字でした。場面の区切りは5件、最長段落は39字で、60字を超える段落は0件でした。
ほかにも、使ってはいけない記号が混ざっていないか、数字の表記が揃っているか、同じ表現を繰り返していないか、過去の原稿と長い文が重なっていないかを調べました。
作者役の申告をそのまま信じず、編集役が別に数え直しています。
結果は、全項目が一致しました。
この時点の判定は「欠陥0件」です。
なかなか気持ちのいい結果です。
ここで終わりたくなります。
2周目は、チェック項目を横に置きました
2周目では、設定や検算表をいったん横に置き、原稿を頭から読みました。
誤字を探すためではありません。
読者として読んだとき、文の意味が自然に一つへ決まるかを見るためです。
すると、3件 見つかりました。
そのうち2件は、一つの文を二通りに読める問題でした。
本文そのものはまだ未公開なので、構造を置き換えた例で説明します。
たとえば、こんな文です。
「二人で会議した月が二度ありました。そのときは、どちらも三つでした」
この「どちらも」は、二人のことにも、二度あった月のことにも読めます。
書き手の頭では、どちらを指すか決まっています。
でも、読者は文に書かれている手がかりだけで選びます。違う方を選ぶと、次の文とつながらなくなりました。
もう1件は、「冬の初めの数回」のような言葉のまとまりでした。
「冬の初めに行った数回」とも、「冬の間の最初の数回」とも読めます。
しかも以前の話に、間違った読み方を後押しする情報がありました。
その原稿だけを何度読んでも、見つけにくい問題です。ここまで読んできた読者ほど、違う意味を選びやすい状態でした。
残り1件は、以前の場面と対になる表現の形が揃っていない問題でした。
規則違反ではありません。
設定表にも、「必ずこの形にする」とは書いてありませんでした。
ただ、過去の場面と並べると、今回だけ番号の言い方が違いました。
3件とも、一文だけを見れば日本語として成立しています。
だから、文字数や記号を数える検査には引っかかりません。
機械検査が役に立たなかったわけではありません
とはいえ、1周目は無駄だったのでしょうか。
そうは思いません。
数えられる問題を先に片づけたから、2周目では読み心地に集中できました。
記号の揺れを気にしながら、文の意味の揺れまで同時に見るのは大変です。
洗濯物を畳みながら推理小説を読むようなものです。たぶん、どちらも少しずつ雑になります。
機械検査の役割は、小説の品質を丸ごと保証することではありません。
数えられる範囲を、速く確実に閉じることです。
今回も、3件を直したあとの原稿は3,586字になりました。もう一度 同じ検算を行い、最初に通っていた条件が壊れていないことを確認しました。
数える。読む。直したあとに、もう一度 数える。
この順番なら、それぞれの仕事を混ぜずに済みます。
「検査済み」は、小説全体への合格印ではありません
今回いちばん大きかった学びは、「検査済み」という言葉には範囲があることでした。
文字数を確認した。
記号を確認した。
重複を確認した。
それは大切ですが、「読んだときに意味が一つへ決まる」ことまでは保証しません。
逆に、通読で読みやすかったからといって、表記や数字が正しいとも限りません。
どちらか一方ではなく、違う仕事として分ける必要がありました。
なお、今回は公開前に見つけた問題です。実際の読者が同じ場所で誤読したかは、まだ確認していません。
「読者なら必ず間違える」と言いたいわけではなく、二通りに読める入口を公開前に減らした、という書き手側の記録です。
というわけで、AIに原稿を確認してもらうなら、一度に「全部見て」と頼むより、数える回と読む回を分けてみるのがおすすめです。
同じAIでも、目的を変えると見えるものが変わります。
私たちも、機械検査の項目を増やすだけでなく、小説として頭から読む時間を残していきます。
このnoteでは、AIと小説づくりで実際に起きた成功や失敗、そこから変えた仕組みを記録しています。
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