先生、これはもう「鍼しかないです!」
「こんなこと言われたんですよ」
患者さんの女医さんが、
ある日の出来事を話してくれました。
寝違えたのか、
首から背中にかけて
痛くて仕方なかったそうです。
自分のクリニックの看護師さんに
湿布を貼ってもらったり、
マッサージをしてもらったり。
それでも、なかなかよくならない。
ある日、整形外科で働いた経験のある看護師さんに
湿布を貼ってもらったそうです。
そして、貼り終わったあと。
その看護師さんが、
なんだか神妙な面持ちで、
「先生……」
と話し始めた。
「え? 何事!?」
と思ったら、
看護師さんが言ったのは、
「先生、これはもう鍼しかないです!
鍼に行ってください」
だったそうです。
思わず、
「えーーー!😂」
となりました。
「大丈夫、今日予約してるから」
実はその日は、
私のところに予約を入れてくれていた日。
だから先生、
「大丈夫、今日予約してるから」
と即答したそうです(笑)。
この話を聞いて、
私は笑ってしまったんですけど。
そのあと、
なんだかじわじわ嬉しくなりました。
「鍼しかないです」が嬉しかった
私自身、
病院で26年間働いていました。
CCUという、
心筋梗塞などの重症な患者さんが入院する場所で、
病棟クラークとして働いていました。
だから、
西洋医学の世界がどういうところなのかも、
少しは知っています。
鍼灸師になった今も、
「西洋医学より東洋医学」
なんて思っていません。
病院で診てもらうことが必要なときもある。
検査が必要なときもある。
薬が必要なこともある。
手術が必要なことだってある。
それは、それ。
でも、
その一方で、
鍼灸だからできることもある。
私はそう思っています。
だから、
西洋医学の現場にいる看護師さんから、
「先生、これはもう鍼しかないです」
と言ってもらえたこと。
それが、
鍼灸師として20年やってきた私には、
なんだか嬉しかったんです。
鍼灸って、もっと普通でいい
鍼灸というと、
「東洋医学だから、西洋医学とは別のもの」
と思われることがあります。
でも私は、
そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないかな、
と思っています。
病院にも行く。
必要なら薬も使う。
検査も受ける。
そして、
必要なときには鍼灸にも行く。
それでいい。
「病院で検査をしてもらったけど、
特に問題はなかった」
「でも、なんとなくつらい」
「身体の緊張が抜けない」
「痛みがあって、もう少し楽になりたい」
そんなときに、
「そういえば、鍼灸という選択肢もあったな」
と思い出してもらえたらいい。
私は、そんな鍼灸師でありたいと思っています。
26年間の病院勤務と、20年間の鍼灸師
考えてみると、
私はちょっと不思議なところを
歩いてきたのかもしれません。
20歳から26年間、病院で働いて。
鍼灸師になって20年。その後、独立開業して10年。
西洋医学の現場から、
東洋医学の世界へ。
どちらも知っているからこそ、
私は、
「どっちが正しい」
ではなく、
「その人にとって、今何が必要なのか」
を考えたいんです。
今回の話を聞いて、
私はちょっとだけ、
「鍼灸師になってよかったな」
と思いました。
自分が、
「鍼っていいですよ」
と言うのは簡単です。
だって、鍼灸師ですから(笑)。
でも、
自分から鍼灸をすすめる立場ではない人から、
「鍼に行ってください」
と言ってもらえる。
それって、
やっぱり嬉しい。
鍼灸が、
「最後の手段」ではなく、
「特別な人が受けるもの」でもなく、
もっと普通に、
身体を整えるための選択肢のひとつとして
そこにあったらいいな。
そんなことを、
改めて思った出来事でした。
そして。
この話を聞いて、
「先生、これはもう鍼しかないです!」
と言った看護師さんに、
心の中で、
「ありがとうございます♡」
と言っておきました(笑)。
鍼灸師あじゅ|好きなことを、好きなまま。
