オーバートレーニングにならないための工夫
皆さんは今年の富士ヒルクライムに参加しますか?先日定員オーバーでエントリーが締め切られていましたね。例年に比べても早いのでは?私は何とかエントリーできました!ここから4カ月ほど、しっかり計画しながらトレーニングを進めていきたいです。
エントリーも済ませた今日この頃、「よし、トレーニング始めるぞ!!」と士気が上がっていると思います。そんな時だからこそ、まずは冷静にトレーニング計画をイメージすることが大切だと思います。
なぜなら、私たちはもう学生のように若くありません(泣)。疲労との付き合い方は慎重に。
日々の仕事、家庭での役割、そこにトレーニングが入ってきます。始めに張り切りすぎると疲れがたまって、小さな痛みを抱え始める。あるあるな状況です。メンタルにも良くない。今回は、そんな負のスパイラルに陥らないよう、トレーニングのやり過ぎを防ぐ方策をご紹介します。
1.そもそも、なぜトレーニングをすると強くなれるのか?
筋トレをすれば体が大きくなり、しっかりライドを重ねれば速く、長く走れるようになります。こうやって努力が形になるのは、私たちの体の仕組みのおかげ。
トレーニング
↓
体の適応
↓
体のフィットネス(体力)が上がる
小さいけれど嬉しい効果の積み重ねが、ある一定の期間(6週間ほど)繰り返されると、形になって自覚できます。

しかしトレーニングが度を過ぎてしまった場合は、マイナスの効果が重なってしまいます。体的にも、メンタル的にもきつい状況。

適したトレーニング負荷を重ねることが、体を強くするために必要なこと。オーバートレーニングは避けたいですね。
2.プラスの効果かマイナスの効果、どの辺りに境界がある?
適度に疲労しつつも、腰痛や膝痛などのケガを抱えずにトレーニング効果を積み重ねる!これが大会に向けて私たちが行っていきたいことですね。特に頑張り屋さんの方はオーバートレーニングになりがちです。若いころはそれでもケガを負わずに何とか適応していって、強い体を手に入れられることもありますが、なかなかそうもいかないのが年齢の壁。
パワー・トレーニング・バイブルには目安として以下のように書かれています。
CTL(長期トレーニング負荷)を1週間あたり3-7TSSずつ上げるのであれば、ほとんどのサイクリストにとって無理のないペース
CTLを1週間あたり7TSS以上を4週間以上続けた場合は明らかに過剰
1-2週間程度であれば、1週間あたり7TSS以上増加しても大丈夫です。しかしそれよりも長期間になると、オーバー・トレーニングに陥ってしまうでしょう
かなり的確なアドバイスだと思います。こちらを念頭に入れた上で、もう一つオーバートレーニングにならないようにするためにスポーツ科学分野で研究されている指標を紹介します。
3.Acute Chronic Workload Ratio(急性と慢性負荷の比率):ACWR という考え方
スポーツ科学分野では、トレーニングをモニターするための指標として、Acute Chronic Workload Ratio(ACWR)という考え方が普及しています。これは短期的なトレーニング負荷(Acute)が長期的なトレーニング負荷(Chronic)に対してがどれくらいか?をモニターする手法です。
例えば
・最近1週間のトレーニング負荷(ATL)が30
・6週間のトレーニング負荷(CTL)が20
の場合、ATL/CTL比は1.5となります。
この比率のことを、ACWRといいます(本来は長期トレーニング負荷を4週と定めるのがスポーツ科学で一般的です)。以下、ATL/CTL比と書きますね。
このATL/CTL比という数字が1.5を超え始めるとケガのリスクが上がってしまうよということが多くの論文で発表されています。
この知見を活用して、普段のトレーニングでのATL/CTL比をモニターすることでオーバートレーニングになっていないかモニターしてみましょう。
~いきなり張り切り過ぎてしまった場合~



~ATL/CTL比を見ながら計画的に行った場合~


目標があって士気が上がることは良いことだけれど、張り切りすぎには要注意。特にトレーニングをこれから始める人は、やりすぎないよう注意してくださいね。
STRAVAのようなアプリ(有料)を使用されている皆さんは、ATL/CTLを計算できます。
チェック方法は簡単です。今日のATL/CTL比を計算してみてください。その数字が1.5を超えている場合は明日トレーニングをするorしない、または行うとしてどのくらいの強度にするかを入念に計画してみてください。

ATL/CTLがここ最近1.5以上のレッドゾーンに留まっている状態は、週にTSSを7以上増やしている状態です。ですので2週間以上は続けないようにすることがオーバートレーニングやケガの予防に、そしてメンタル的にも良いと思います。
大会に向けてのトレーニングはきつい中にも充実感や楽しみが必要です。計画的に進められて、なおかつ効果も感じられている状態がハッピーです。スポーツ科学の知見を活かせれば好ましくない状況を避けながら、ハッピーな状況を作り出せると思います。そんな状態を目指して、これからも情報を発信していきますね。
皆さんの日々のライドがより充実したものになりますように。
参考文献
ハンター・アレン, アンドリュー・コーガン. パワー・トレーニング・バイブル第2版.
Soligard, T., et. al., (2016). How much is too much? (Part 1) International Olympic Committee consensus statement on load in sport and risk of injury. British Journal of Sports Medicine(17), 1030–1041. https://doi.org/10.1136/bjsports-2016-096581
