想像の建築が心を打つ ─『ジブリの立体建造物展 図録〈復刻版〉』
「本当にこんな建物、どこかにありそう──」
ジブリ作品を観た誰もが一度は感じたであろうその感覚。 その“架空だけどリアル”な建築たちにスポットを当てた展覧会『ジブリの立体建造物展』。 その貴重な図録が、ついに復刻された。
■ 作品の世界観を形づくる"建築"という視点
この図録の面白さは、ジブリ作品の魅力を建物という視点から徹底的に掘り下げている点にある。
『風の谷のナウシカ』の風車小屋、 『天空の城ラピュタ』の廃墟のようなラピュタ城、 『魔女の宅急便』のヨーロッパ風の街並み、 『千と千尋の神隠し』の湯屋、 『思い出のマーニー』の湿地に佇む洋館──。
これらが、実際の設計図や美術設定、イメージボード、背景画など約380点の図版で構成され、まるで設計事務所の資料棚を覗くかのような気分になる。
■ 藤森照信氏の解説が秀逸
展覧会監修を務めた建築家・藤森照信氏による解説が、この図録をより知的で深いものにしている。
ただ「きれい」「リアル」と眺めるだけではない。 建物の構造、素材、時代性、そして空想と現実の境目について建築的観点から読み解いていく。
ジブリファンのみならず、建築好きにも唸らせる内容です。
■ 宮崎駿監督の文章が導く"源"
宮崎駿監督による“建物の設計の源”を語る文章が収録されており、 ここがまさにこの図録の核心。
作品に登場する建物たちが、 ただ物語の舞台として存在しているのではなく、 登場人物の心情や時代背景を映すものであることが、静かに、しかし強く伝わってくる。
■ まとめ:ジブリの世界を“建築”で旅する
この図録は、ジブリの物語をもう一度“建物を通して”旅させてくれる。
映画を観たあとに、もう一度その背景をじっくり眺めたくなる。 あの街、あの家、あの建物たちの意味が、もっと深く見えてくる。
ジブリファン、建築ファン、そして“物語の空気”を大切にしたい人へ。
これは、感性を揺さぶる一冊です。
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