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写真歴が短くても妙に写真がうまい人──エンジニア・プログラマ・デザイナーの共通点

写真を見ていて、ときどき思う。

「この人、写真歴のわりに妙に強いな」と。

経歴を見ると、エンジニアだったり、プログラマだったり、デザイナーだったりすることがある。

もちろん、これらの仕事をしていれば必ず写真がうまくなるわけではない。

ただ、エンジニア、プログラマ、デザイナーが仕事の中で身につけてきた能力は、写真と非常に相性がいい。

本人は写真をゼロから始めたつもりでも、実際にはゼロではないのである。


エンジニアは、写真を「構造」で見る

エンジニアの強さは、物事を構造として考えることにある。

何か問題が起きたとき、

「なんとなくおかしい」

では終わらない。

どの部分に問題があるのか。

何と何が影響しているのか。

どの条件を変えれば改善するのか。

写真でも、この考え方は非常に強い。

たとえば、

「今日のポートレートは、なんとなく良くなかった」

で終わらせない。

光が悪かったのか。

背景との距離なのか。

レンズなのか。

露出なのか。

被写体との距離なのか。

撮影場所なのか。

複数の要素を分解し、原因を探していく。

写真は感覚の世界に見えるが、実際には多くの条件が組み合わさって成立している。

エンジニアは、その関係性を見ることに慣れている。


プログラマは、写真を「デバッグ」する

プログラマ経験者の強さは、試して、確認して、修正することにある。

プログラムは、一度書けば完璧に動くとは限らない。

動かす。

エラーが出る。

原因を探す。

修正する。

もう一度動かす。

この繰り返しで完成度を上げていく。

写真もかなり似ている。

一枚撮る。

確認する。

少し暗い。

ISOを上げる。

背景がうるさい。

立ち位置を変える。

顔に影が強い。

光の方向を変える。

また撮る。

つまり撮影そのものが、小さなデバッグの連続なのである。


「失敗した」ではなく「どこがおかしいか」を考える

ここが大きい。

写真で失敗すると、

「自分にはセンスがない」

と考えてしまう人がいる。

しかしプログラマは、コードが動かなかったからといって、毎回、

「自分にはプログラミングの才能がない」

とは考えない。

まずバグを探す。

写真でも同じである。

ピントが外れた。

なぜ外れたのか。

ブレた。

なぜブレたのか。

肌がきれいに見えない。

光なのか。

露出なのか。

ホワイトバランスなのか。

現像なのか。

問題を「才能」という曖昧な言葉で終わらせず、修正可能な要素に変える。

これは写真を続けるうえで非常に強い思考である。


うまく撮れた写真も解析する

プログラマ的な考え方が強いのは、失敗したときだけではない。

成功した写真についても、

「なぜ今回はうまくいったのか」

を考える。

光の向きが良かったのか。

時間帯なのか。

被写体との距離なのか。

焦点距離なのか。

絞りなのか。

背景との距離なのか。

偶然撮れた一枚を、そのまま偶然で終わらせない。

成功条件を見つけることで、次回も再現できるようになる。

写真が安定して強くなっていく人は、この「再現性」を持っている。


デザイナーは「何を見せるか」がうまい

一方、デザイナー経験者には別の強さがある。

それが、画面整理である。

写真の中には、

被写体、

背景、

色、

光、

影、

文字、

形、

余白など、

大量の情報が存在している。

デザイナーは、それらを同じ強さで置かない。

どこを最初に見せるのか。

次にどこを見せるのか。

何を目立たせるのか。

何を弱くするのか。

つまり、画面の中に優先順位を作る。

この能力は、そのまま写真に使える。


写真にも視線誘導がある

ポートレートなら、まず顔を見せたいのか。

瞳なのか。

表情なのか。

衣装なのか。

全身のシルエットなのか。

背景まで含めた世界観なのか。

どこを見てほしいのかによって、構図は変わる。

明るさも変わる。

色の使い方も変わる。

背景の処理も変わる。

デザイナーは普段から、

「見る人の視線がどう動くか」

を考えている。

これは写真でも非常に大きな武器になる。


デザイナーは「引き算」に慣れている

写真を始めたばかりのころは、つい色々なものを入れたくなる。

背景も見せたい。

建物も入れたい。

前ボケも入れたい。

光も入れたい。

色も増やしたい。

しかし、情報量が増えれば写真が強くなるとは限らない。

むしろ重要なのは、

「これは本当に必要なのか」

と考えることである。

デザインでは、不要なものを削ることで伝えたいものを強くする。

写真でも同じだ。

背景の邪魔なものを外す。

少し立ち位置を変える。

不要な色をフレームから外す。

焦点距離を変える。

余計な情報を減らす。

すると、伝えたいものが急に強くなる。


三者に共通するのは「完成から逆算する力」

エンジニア、プログラマ、デザイナーには共通点もある。

それが、目的から逆算する力である。

写真好きになるほど、

「このレンズを使いたい」

から撮影を始めてしまうことがある。

85mm F1.2を買ったから、85mm F1.2で撮る。

50mm F1.2を買ったから、開放で撮る。

もちろん、それ自体は楽しい。

ただ、強い写真を作る人は逆である。

最初に、

「どういう写真にしたいのか」

がある。

そこから、

どんな光が必要なのか。

どんな場所が必要なのか。

どれくらいの距離で撮るのか。

どんな構図にするのか。

何mmのレンズが必要なのか。

と逆算する。

完成イメージ



場所

距離

構図

レンズ

カメラ

という順番になる。

機材から写真を作るのではない。

写真のために機材を選ぶのである。


エンジニアは構造、プログラマは改善、デザイナーは見せ方

かなり乱暴にまとめるなら、

エンジニアは「どういう仕組みになっているか」を考える。

プログラマは「どこを直せば改善するか」を考える。

デザイナーは「どう見せれば伝わるか」を考える。

そして写真には、この三つが全部必要である。

撮影環境を理解する。

問題を見つけて修正する。

最後に、一枚の画面として美しく見せる。

この流れが、そのまま写真作りになる。


写真以外の経験は、写真の武器になる

写真がうまくなるためには、写真だけを勉強すればいい。

そう考えがちである。

しかし実際には、写真以外で身につけた能力が、その人の写真を強くすることがある。

エンジニアとして何年も問題を分解してきた経験。

プログラマとして何度もデバッグを繰り返してきた経験。

デザイナーとして何千回も画面を整理してきた経験。

それらはカメラを持った瞬間、突然消えるわけではない。

むしろ、そのまま写真に流れ込んでくる。


写真歴だけでは、その人の実力は測れない

「写真歴1年」

と聞くと、初心者だと思うかもしれない。

しかし、その人が10年以上デザイナーをしていたらどうだろう。

10年以上プログラムを書いていたら。

長年エンジニアとして問題解決をしてきた人だったら。

カメラ操作については1年でも、

見る力、

考える力、

整理する力、

改善する力は、

すでに何年も鍛えられている可能性がある。

だから写真歴だけを見ても、その人の強さは分からない。


写真は、それまでの人生が出る

写真には、その人が今まで何をしてきたのかが意外と出る。

技術職の人には、論理的な写真がある。

デザイン経験者には、整理された写真がある。

人と接する仕事を長くしてきた人には、表情を引き出す強さがあるかもしれない。

写真とは、カメラを買った日から突然始まるものではないのだと思う。

それまで経験してきた仕事や趣味、考え方まで含めて写真になる。

エンジニアは構造を見る。

プログラマは問題を見つけ、修正する。

デザイナーは見え方を整える。

その三つは、どれも写真を強くする能力である。

だから、エンジニア、プログラマ、デザイナー経験者の写真が妙に強いことがある。

写真を始める前から、すでに写真に必要な能力を何年も鍛えてきたからであろう。

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