「KISSはいやと言っても反対の意味よ」 松田聖子『ロックンルージュ』の歌詞を紐解く
1984年2月1日にリリースされた松田聖子さん16枚目のシングル『ロックンルージュ』。作詞:松本隆、作曲:呉田軽穂(松任谷由実)、編曲:松任谷正隆という黄金トリオが手掛けた、カネボウ化粧品のCMソングです。
背伸びした彼と、冷静なワタシ
この物語は、非常に印象的なシーンから幕を開けます。
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グッと渋い SPORTS CARで
待たせたねとカッコつける
髪にグリース光らせて
決めてるけど絵にならない
♪
主人公の前に現れたのは、渋いスポーツカーに乗り、髪にはグリースを光らせて「待たせたね」とカッコつける男性。しかし、主人公の視線はとても冷静です。「決めてるけど絵にならない」と、彼の精一杯の背伸びを心の中であっさりと見抜いています。
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海へ行こうぜって
指を鳴らすけれど
動機が不純だわ
♪
彼の強引な誘いに対しても、「動機が不純だわ」と一刀両断。彼の行動や下心は、すべてお見通し。この時点で、二人の関係性における主人公の優位性が巧みに示されています。
“1ダース違い”の恋のときめき
続くBメロで、二人の背景が明らかになります。
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1ダースも年の違う
あなたに口説かれるなんて
嘘みたい でも嬉しい
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なんと、相手は「1ダースも年(=12歳)の違う」年上の男性だったのです。この年の差が、彼の少し古風で背伸びしたキャラクター設定(グリース、指を鳴らすなど)に説得力を持たせています。
そして何より重要なのが、「嘘みたい でも嬉しい」という主人公の本心。Aメロでは冷静に彼を分析していた彼女が、ここではっきりと彼に惹かれている気持ちをのぞかせます。このギャップが、聴き手の心をキュンとさせるのです。
サビに凝縮された“反対の意味”
そして、この曲のテーマを決定づける、あまりにも有名なサビへと続きます。
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KISSはいやと言っても
反対の意味よ
PURE PURE LIPS 待っててPLEASE
花びら色の春に
I WILL FALL IN LOVE
♪
これこそが、『ロックンルージュ』の核心です。口では「いや」と言っていても、それは本心とは真逆の「反対の意味」。年上の彼を少し焦らし、翻弄するような小悪魔的な魅力がここで爆発します。
CMコピーにもなった「PURE PURE LIPS(ピュア・ピュア・リップス)」は、そんな彼女の武器。清純そうに見える唇で「いや」と拒絶の言葉を紡ぎながらも、心の中では「待っててPLEASE」と、彼からのキスを待ち望んでいるのです。
そして、「花びら色の春に I WILL FALL IN LOVE」と、この恋が成就することを高らかに宣言します。戸惑いながら始まった恋が、確信へと変わっていく高揚感が、春の訪れと共に鮮やかに描かれています。
おわりに
改めて正しい歌詞を読み解くと、『ロックンルージュ』は、「年上の男性からの少し強引なアプローチに戸惑いながらも、本心ではその恋にときめき、身を委ねようとしている少女」の物語であることがわかります。
言葉と裏腹な態度で相手の心を引きつけるという、恋愛の普遍的な駆け引きを見事に切り取った名曲です。
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