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札幌にある世界的DJが訪れる"聖地"『プレシャス・ホール』に行って、生涯ベスト5に入るくらいの感銘を受けて世界が美しく見えるようになった話 〜Music brings us all together〜

北海道・札幌に、世界的に有名な"音楽の聖地"、クラブ『プレシャス・ホール』がある。世界的超絶有名DJがわざわざ札幌までDJをやりにいく箱、日本のベルクハインであるということは知っていた。ハウス/テクノ好きなら、『プレシャス・ホール』の名前を知らない人はいないだろう。知らない人は下記の記事を読んで下さい。

『プレシャス・ホール』を訪れた理由

FLOATING POINTS LIVE IN JAPAN 2025

そもそも私が『プレシャス・ホール』を訪れたのは、2025年における世界エレクトロニック・ミュージック・シーン最重要人物の一人である”FLOATING POINTS”(フロムUK、通称フロポ)のライブを見たことがきっかけだった。

FLOATING POINTS LIVE IN JAPAN 2025


FLOATING POINTS LIVE IN JAPAN 2025
FEAT.
YAMACHANG (LASER)
AKIKO NAKAYAMA (LIVE ART)
@2025.02.25 (tue) 六本木 EX THEATER
企画制作:BEATINK

もともとFLOATING POINTSのファンではあったのだが、というかテクノが好きでフロポのファンじゃない人を見たことがないくらいのレベルの人なのだが、ライブを見るのは初めてだった。そしてライブアート(VJ。ただし全てアナログで、絵の具を混ぜるなどの手法でライブ演奏に合わせた映像をその場で生成し、OHPで写している)を大名盤『Cascades』のアートワークにも参加しているAkiko Nakayamaが、レーザー・ライティングを型にとらわれない幅広い表現を行うYAMACHANGが行っていたのだが、それがフロポの音楽とすさまじい融合具合の桃源郷・今もうここで死んでも人生に悔い無しレベルであった。

フローティング・ポインツ 東京公演。アイドルですか??というぐらい長蛇の列が出来ていた

あんまりにも、ものすんごいライブ体験に、もう絶句&嗚咽するレベルで感動し、

「これは生涯で見た(体験した)もので最も美しいもの(音楽/映像/レーザーの溶けるような融合、ライブ体験というかパフォーマンスというかインスタレーションというかそれらの全て)である」

と、人生でも指折りの凄まじい体験をだったので、秒で札幌公演も追いかけることにした。その会場が『プレシャス・ホール』だったのだ。こちらが東京公演の様子。

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ビートインクの作るアーティストグッズに間違いなし
オープニング・アクトとして、サウンド担当のTim Pennellsがアンビエントをプレイしていた
FLOATING POINTS LIVE IN JAPAN 2025

■行くぜプレシャスホール

それで行ったのがこれ
秒で航空券を購入し羽田からGO
札幌〜

現地に着いたのが15時。そこからプレシャスホールに直接行き、お手伝いさせて頂いた。プレシャスホールは撮影厳禁なので、内部の写真はない。ただ、プレシャスホール創業者/オーナーの"小川悟さん"と親交の深い、ハウスの神ことデイヴィッド・マンキューゾ(マンキューソ)がNYの最初は自宅で開いていた伝説のクラブイベント「The Loft」の写真を貼っておく。

The Loft
The Loft

■なぜプレシャスホールがすごいのか


プレシャスホールのキービジュアル

プレシャスホールは、小川悟が1993年に開業。世界でも「伝説的」と語られる、この特別なクラブは、小川悟とNYハウスの父/神/レジェンド/ゴッドDavid Mancusoとの深い関係にある。

David Mancusoとの運命的出会い

インタビューによると、1998年頃にデイヴィッド・マンキューゾが来日し、プレシャスホールでのパーティが終わったあと、デイヴィッドが長い手紙と30項目くらいの注意事項を書き残して帰っていったという。

例えば、「お前はまだ、こんな感じとかあんな感じという感覚で音響を組んでいる。やっていることになんの根拠もない。まだSTEP1だ」と。
それは、圧巻だったよ。30項目の中には「地域の人と良い関係を築け」「消火設備をちゃんとしろ」なんてことも書いてあった。僕がほかの箱のオーナーから学ぶことは、だいたいが売り上げを伸ばすこととかビジネスについて。
DJから学ぶことはDJがどういうプレーをしたいかっていうこと。でもデイヴィッドはいろんなこと全部を知っている人で、根本的に違ったんだよね。

https://brutus.jp/music_club_precioushall/

David Mancusoは、ダンスミュージックの概念を根底から変えた革命家。「The Loft」は、商業的クラブとは対極の私的空間だった。高品質な音響システムにこだわり、経済的、人種的、性的に多様で、LGBTの人々が恐れることなく自己表現できる空間を作り上げた。そしてDJとして、現在の重鎮であるラリー・レヴァン(Paradise Garage)、フランキー・ナックルズらの神を育成した。現代ダンスミュージック文化の精神的基盤を築いた、マンキューソなくして今日のハウスミュージックは存在しない存在である。

そしてラリー・レヴァンらの下の世代にいるのが「The Shelter」のTimmy Regisford、「Body & Soul」のDanny Krivit、Joaquin 'Joe' Claussell、François K.ってワケ。もう今この世代が超絶大重鎮。そしてマンキューソは神of神の師匠なんだからもう雲の上も良いところの人である。

そんなマンキューソに絶大な信頼を置かれていたのが小川悟。なので、自動的に上記の重鎮、そしてレジェンドたちに影響を受けた下の世代の超有名DJたちもプレシャスホールの噂を聞きつけ、『俺もいつか!!プレシャスホールでやりたい、、!!』と、札幌に駆けつけてくるのである。

■音響へのこだわり

マンキューソのメモにあった「音響にこだわれ」。小川さんはその通りに、下記の機材を使い、プレシャスホールにパーフェクトな、世界最高峰の音響空間を作り上げた。

seven Klipsch horn speakers, Mark Levinson amplifiers, a UREI mixer and custom-made turntables

Klipschのスピーカー。プレシャスホールのやつは見た目は違うと思う

これはNYのThe Loftからインスパイアされたシステムであり、LCD Soundsystemのフロントマン、James MurphyのDespacioサウンドシステムにも影響を与えているんだそうです。

■小川悟さんと話して人生観が変わった

思い出の海鮮丼(げきうま)

小川悟さんは、そんな世界中からリスペクトされているすさまじい大物なのに、私のような馬の骨とも気さくにお話してくれた。

私「ロフト?2019年にブルックリンで行きましたよ!!」
小川さん「??ブルックリンではやってないはずだよ」
私「(Googleフォトを確認)!!!間違えました!!ロフトじゃなくてThe Shelterでした!!」

というアホ丸出しのアホにも、小川さんは惜しみなく知識と叡智を与えて下さるのである。小川さんは肩書きや知名度、財産なんかで人間をジャッジしない。小川さんの周囲にあるのは

ただひとつ、これだけである。

https://brutus.jp/music_club_precioushall/

それはテクノ/ハウスに限らない、ありとあらゆる音楽(プレシャルホールにはTHA BLUE HERBも溜まっていた)への愛、地元・札幌への愛、わざわざ離れたところから来る人への愛、スタッフへの愛。

プレシャスホールは、プレシャスホールを作り上げるもの全てへの愛とリスペクトで出来ていた。

小川さんはそういう、愛と思いやりと優しさに溢れた、兄貴分で面倒見が良くてきっぷが良くて義理堅い(のでついつい頼ってしまう)、「人間としてこうありたい」と思わせてくれる人だった。小川さんはジョークがとても上手で、ユーモアを込めた会話でゲラゲラ笑わせながら、その一方で、なかなかそこまで行きつくのが難しい、ものすごく深くて真理を突いたお話をされる。

小川さんは人間としての格、経験値が違いすぎる。そして小川さん自身は、本当にいろいろなことをマンキューソから学んだのだと、大きな愛とリスペクトを込めながら謙虚に語るのだった。

■オーディエンスが証明する「プレシャスホールが愛で出来ている箱」


すさまじい行列ができ、ほとんどの人が入れないくらいの大盛況だった

FLOATING POINTS x AKIKO, KUNIYUKI LIVE SET
03.01 (SAT) PRECIOUS HALL

FLOATING POINTS , KUNIYUKI, Timの、すさまじい執念のサウンドチェックの結果生まれた、音の追求。そこに魔法をかける、AKIKO Nakayamaのライブアート。ライブが始まると、プレシャスホールのオーディエンスはFLOATING POINTS x KUNIYUKIが、ヤバい音を出せば出すほど大喜びするのが本当にすごいと思った。満員の観衆は一見普通の音楽ファンだが、完全にFLOATING POINTS x AKIKO, KUNIYUKIのセッションの一部になっていた。実験的でヤバい、エグい音を出せば出すほど熱狂するオーディエンス。こんなに素晴らしいオーディエンスを持つ札幌という街は、バケモンだと思った。そりゃあイースタンユース、ブッチャーズ、カウパアズ、THA BLUE HERBを生む街だけある。

ひとつ、それを象徴するような出来事があった。当日は、タワーレコード札幌店が物販をしていた。そのブースの前にいたところ、ミドルなおじ…メンズが、完全なる単語の羅列で「卒業旅行でアメリカとイギリスから来たんだ」という外国人観光客とコミュニケーションをしようとしていた。

『君ちょっと英語やってよ』と言われて私が英語で話した。彼は、観光客みんなに、『うーん、君は、サム・スミス!』とか、『君は、エミネム!』とか、テキトーなアダ名をつけるので、みんな大爆笑で『俺にもアダ名つけて!』と大好評だった。

そして、やたらとその例えがヒップホップに偏っているので、「もしかしてヒップホップが好きなんですか?」と聞いたら「そう!俺筋金入りのBボーイ!!」と言う。私が「?? じゃあどうしてフローティング・ポインツ(電子音楽界の超売れっ子)のライブに来たんですか?」と聞いたら(観光客も『俺達もそれ聞きたかった』と言った)、彼は

だって音楽にジャンルなんか関係ないでしょ


と言ってのけたのだ。私と観光客はものすごく感銘を受けた。まさにプレシャスホールのスローガン

Music brings us all together

である。音楽の前では、全ての人が平等である。地位も肩書も年収も性別も年齢も何も関係がない。音楽がわたしたちを一つにしてくれるのだ。プレシャスホールのビジュアルは、人が猿になる、という、進化論の逆バージョン。音楽を通じて、人間社会が勝手に作り上げたルールから自由になろう、ということなんだと思う。

プレシャスホールのドリチケ


こんな拙い文章で、小川悟さんとプレシャスホールの素晴らしさを伝えられるのかは非常に疑問だが、

もう小川悟さんとプレシャスホールの素晴らしさを伝えたくて仕方がなくて、腕もスキルも金も権力もないけれど、とにかく絶叫したかった


のである。

ハウス・ミュージックが愛を謳う音楽であることも、思い出させてくれた。


ちょっと、泣きそうになった。いや結構泣きそうになった。実際泣いていた。あまりにも「愛」が大きかったから。


■プレシャスホールには絶対に行くべき

幸運にも、2025/06現在プレシャスホールは営業しており、札幌に行き、チケットを買えば、入ることができる。ベルクハインは警備員の機嫌が良くないと入れないが、プレシャスホールは全ての人にその扉を開いている(満員の場合は入れません)。

今すぐ行くべきである。私もまた、プレシャスホールに行き、

人間性を取り戻そう

と思っている。




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