山梨県丹波山村のサイトでは該当制度がまったく見当たらないのに、県の一覧だけが載せている補助があった
山梨県の27市町村を1つずつ調べていて、最後まで補助制度が1件も見つからなかったのが丹波山村でした。村のサイトのどこを探しても、空き家の補助の話が出てきません。ところが山梨県のサイトをさらに読み込んでみると、1枚のPDFに村の補助金が載っているのを見つけました。

空き家バンクはあるのに、補助が1件も無い村
丹波山村には空き家バンクがあります。正式には「空き家情報登録制度」といって、登録にも利用にも費用はかかりません。村は情報の紹介と連絡調整をするだけで、売買や賃貸の契約そのものには関与しない。仲介が必要なら、山梨県宅地建物取引業協会の協力不動産事業者に依頼できるという流れです。
ただし、物件情報の欄にはこうあります。「現在、掲載物件はございません。」 制度としては動いているのに、いま紹介できる家が無いという状態です。
お試し住宅のページも残っていますが、タイトルが「【休止中】お試し住宅」。実施要綱も申請書も、1泊3,000円という料金の記載もそのままですが、いまは使えません。
国の移住支援金も対象外です。山梨県の移住施策のページには「※令和8年度は昭和町及び丹波山村を除く市町村で実施となります。」と書かれています。27市町村のうち、この制度を使えないのは2つだけで、そのうちの1つが丹波山村でした。
一方で、バンクの手続きそのものは細かく決まっています。貸したい・売りたい側は登録申込書と登録カード、買いたい・借りたい側は利用登録申込書と交渉申込書、それに誓約書を村に出す。どちらの側も書類を出すところから始まります。
そして、村のサイトを見るかぎり、村独自の補助制度は0件でした。
村のサイトには、補助の記載が見当たらない
村の公式サイトには、支援制度をまとめた索引のページがありません。空き家のページも、バンクの仕組みと利用の手順が書かれているだけで、補助金の話はどこにも出てきません。
サイトマップをたどっても同じでした。空き家や移住に関する補助制度のページは1つも見つかりません。村のサイトで空き家に関わるページは、このバンクのページと、休止中のお試し住宅のページくらいです。
移住の情報は、別のドメインで運営されている「たばやまで暮らそう!」にまとまっています。運営しているのは丹波山村移住定住推進協議会で、村の公式サイトからもリンクされています。ただしこちらにも補助制度の記載はなく、「空き家バンクで探す」といったリンクはすべて村の公式サイトへ戻ります。
山梨県の27市町村のうち、自サイトに空き家や移住の補助を1つも載せていないのは丹波山村だけでした。
県の1枚のPDFに、村の補助金が載っていた
見つかったのは、山梨県が公開している「市町村における空き家対策関連の補助制度一覧表【R5.4.1現在】」というPDFでした。27市町村の空き家関連の補助を、除却・家財処分・リフォーム・その他・空き家バンク登録奨励金と欄を分けて1枚にまとめたものです。
丹波山村のリフォームの明細表には、根拠要綱として「丹波山村空き家バンクリフォーム補助金交付要綱」、制度概要として「空き家バンクに登録された物件のリフォーム工事費に補助金を交付するもの」と書かれています。
対象物件は「空き家バンク登録物件」。補助率は2分の1で、限度額は100万円。しかも補助対象者の欄は、所有者と利用者の両方に○が付いています。貸したい側も、買って直したい側も使えるという意味になります。
限度額100万円は、決して小さい額ではありません。山梨で市町村が独自に出しているリフォーム補助を並べると、100万円のところが9市町村。それを超えるのは忍野村の200万円だけです。丹波山村の100万円は、村のサイトに載っていないだけで、県内では上位の水準にあります。
もっとも、県の一覧に載っているのもこの1本だけです。除却、家財処分、空き家バンク登録奨励金の欄は、丹波山村の行では空欄になっています。県内で解体費の補助を持つのは11市町村、家財の処分費の補助を持つのは12市町村ありますから、空き家を片づけて壊すところにお金を出す自治体は珍しくありません。丹波山村は、そこには出していないということになります。
村のサイトには、この補助金のことが一言も書かれていません。村のページを「リフォーム」「改修」「補助」「助成」「要綱」で探しても、当たったのは空き家バンク設置要綱だけでした。
県の一覧にしか載っていない補助は、ほかにもある
この一覧は、27市町村の空き家関連の補助を1枚にまとめた資料です。除却、家財処分、リフォーム、その他、空き家バンク登録奨励金と欄が分かれていて、市町村ごとに根拠要綱の名前や補助率まで載っています。
ただし、読みやすい表ではありません。2段組で作られているため、どの市町村のどの欄に印が付いているのかは、1行ずつ目で追わないと分かりません。村のサイトに書かれていない補助が、この中に埋もれていたことになります。
同じ型は、県内にもう1件あります。道志村の木造住宅耐震改修です。村のページには「道志村では、山梨県と共に…4つの補助事業を実施しています」と書かれているのに、肝心の額が載っていません。額が分かるのは県の別の資料で、「山梨県住宅関連事業補助制度一覧(令和8年度版)」に1,437,500円と出ています。
自治体のサイトを隅々まで読んでも、その自治体の補助の全体像にたどり着けないことがある。丹波山村と道志村は、その実例です。
空き家を探す人が最初に見るのは、たいてい市町村のサイトでしょう。けれど山梨では、県が出しているこの2枚のPDFを開かないと分からない補助が、現に2つの村にありました。気になる自治体があるなら、その県が空き家や住宅についてまとめている資料にも目を通しておくと、見逃しが減ります。
一覧に書かれているのは、ここまで
県の一覧が教えてくれるのは、要綱の名前、制度の概要、対象になる物件、補助率、限度額までです。年齢の条件も、住み続ける義務も、親族間の取引の扱いも、施工業者が村内に限られるかどうかも書かれていません。条件が無いのではなく、この資料には出てこないということです。
分かっているのは、要綱の名前までです。「丹波山村空き家バンクリフォーム補助金交付要綱」という要綱が村にあるということは、この一覧から読み取れます。申請の様式も細かい条件もそこに書かれているはずですが、村のサイトからは見つかりません。村の例規集をたどるか、窓口で聞くことになります。
いま受け付けているかどうかも分かりません。この一覧は令和5年4月1日現在の断面で、申請の方法も期間も載っていないからです。
ひとつはっきりしているのは、所有者と利用者の両方に○が付いていることです。山梨には、リフォーム補助を移住してきた人だけに限っている市町村もあります。丹波山村のこの補助は、空き家を貸すために直したい所有者の側も使えるという書き方になっています。
そしてこの補助が対象にしているのは、空き家バンクに登録された物件です。そのバンクには、いま掲載物件がありません。制度があることと、それがすぐ使えることは別の話だということが、この村では特にはっきり出ています。
見つからないことと無いことは違います。丹波山村の空き家に関心があるなら、村の振興課に直接聞いてみるのがいちばん確実です。
