旅は好きだが飛行機がちょっと苦手、という方はいらっしゃいませんか-
いらっしゃいましたら教えてください。
最近はできていないが私は旅が好きだ。
それなのに、飛行機に乗ることは私の中で最も苦手なことの一つである。
だから乗らなくていいなら極力乗らずに移動する。
それでも行きたい場所があるから、必要な時は乗る。それでいい。
でも、未だかつて会ったことはないが、もしかしたら同じように苦手な人がいるかもしれないとふと思って、改めて、飛行機に乗る、という時に私の中で何が起きているのか思い返して書いてみることにした。
まず、旅の前夜は不安で不安で眠れない。
明日不安になるに違いない自分が不安で眠れないのだ。
寝不足のまま空港に向かう。
あんまり寝てないからきっと飛行機の中で眠れるだろうと思う。でももちろんそんなわけないことは知っている。
搭乗口の近くで自分の乗る飛行機を見る。
機体に向かって宜しく頼むと伝える。
整備の皆さんにも心の中でお願いしますと伝える。
いやお前がお願いしなくても皆さん丁寧にお仕事をしているのよともう一人の自分に言われるので、心の中ですみません、と謝る。
搭乗口を通る時、一旦腹をくくる。
そんなに乗りたくなければ他の方法を考えれば良かったのだ。そうしなかったのは自分じゃないか、受け入れろ、と自分に言い聞かせる。
飛行機に足を踏み入れる前、機体に向かって心の中で、頼むよ、と言い、一方で地上に別れを告げる。ルーティーンみたいなもの。
飛行機の中で笑顔で迎え入れてくれる乗務員の皆さんを見てふと思う。
そうだこの人たちにとってはこのフライトは今日のいくつかの仕事のうちの一つなのだ、この人たちにも日常があって、そのうちの一部に過ぎないのだ。
そう思うと、人生をかけてフライトに臨む自分がアホらしく思えて、いくらか気が楽になる。
私にとってもこのフライトはただの移動時間であって、その先の目的地で楽しいことがたくさん待っているのだ。
いや、
だとしてもこの移動だって私の人生の一部だ。きちんと向き合わなければならない。
というのを延々と繰り返し、情緒不安定になって片っ端から家族に連絡をする。
「もうすぐ離陸」「何時に到着する」「雨止んだ」「揺れるかもしれないって」「今日はすいてる」
相手にとっては非常にどうでもよさそうな情報をひたすら送る。
何度かやり取りして、スマホの電源を切るタイミングギリギリまで画面を見ている。
同時に、何かに追われるようにさっさと荷物をしまってベルトを締めて、準備万端にしておく。急に優等生ぶるみたいに。
そこからがまた長い。
周りの乗客を観察してしまう。
視界に映る全ての人ひとりひとりを見て、この人は次にどんな行動を起こすのかと意味もなく推測して不安になる。
そうこうしているうちに、滑走路に移動して、いよいよ離陸。
この瞬間だけ、妙にスッとした気持ちになる。
もう何がどうなろうと、私の進む道は一本なのだ、戻れない。と覚悟が決まる。
これは本当に不思議な感覚。
そして機体からゴーッという音がしてきて、身体に重力がかかる。
あとはもう、一言で言うと、言いたくないけど、ヤバい。思考は停止して、なされるがまま、機体が安定するのを待つだけ。
呼吸は浅く、全身の細胞が重力に引っ張られあちこちに寄る。血流を感じる。自分の身体の細胞一つ一つに意識が集中してしまう。あの時の研ぎ澄まされた集中力は超能力を使えるんじゃないかと思うレベルに到達する。
まぁ結果的にはただお腹が痛くなる。
機体が安定してきて少し余裕が出ると、乗務員の皆さんを見る。
次のお仕事のことを考えているに違いないと思うと気持ちが楽になる。
この人たちは何回フライトを経験しているのだろうか。
飛行機に乗る仕事をする人たちだけは同じ人間だとは思えない。超人。
フライト中、気を緩めると、想像力が無限に広がってしまう。
この鉄の塊の中にいる自分。この床に着いている足も、本当は空中に浮いている。空、地球、宇宙。実は私たちは動いていなくて、周りの景色が動いているだけなのではないか。
あぁこれをあと何回繰り返し何時間やり過ごしたら到着するのか。飛行機の中って時間が全然進まない。いっそ誰か私を殴って気を失わせてくれ。
そういう発狂しそうな時は、同じ時間を地上で過ごしている、例えば自分の家族の生活を想像する。家事でもしていたらあっという間に過ぎる時間だ、大したことではない。
目的地のガイドブックを持ち込むことはあるが、読んでも全然頭に入ってこない。何も考えられない。
時々、「揺れることはありますが安全には問題ありません」というアナウンスが入るが、あれはまじで強めに何度も私に言い聞かせて欲しい。
まぁそんなのを繰り返し、着陸体制に入るとあとはもう一気に気持ちが楽になる。
終わりが見えるとなんだか緊張はほぐれ、想像力も通常モードに戻り、呼吸も楽になる。
ただ降下中はよく耳が痛くなる。子どもの頃飛行機が苦手だったのはこれのせいかもしれない。そんな時はいつも冷たい飲み物をもらっていた。だから今も、着陸体制に入る頃に冷たい飲み物をいただけると少しホッとする。
着陸してアナウンスがあったら、スマホの電源を入れて、何か連絡がきていないか確認する。
連絡があってもなくても、あぁこの間も世界は普通に回っていた。大したことのないことだった、と安堵する。
乗務員の皆さん、機体、整備の方に感謝を伝えて到着ロビーに向かう。空港の建物に入った時の最初の空気を吸うのが好き。この街は、国は、こんな匂いなんだ、と思う。
というのが一連の流れであります。
目的地についた後はとにかく疲労感がすごい。
これでもマシにはなった。
このように自分の精神状態が飛行中どうなるかということを何となく知ったということ、海外旅行を何度かして経験を積んだこと、そして、数年前にパイロットの友達ができたこと(その人は私の知り得る限り人間的に素敵な人で、この人が操縦しているなら安心に違いないと思ったし、大丈夫だよと教えてくれた)が理由かもしれない。
自分なりに対策もいくつか覚えた。
・読み慣れた本を一冊持っておく。新しい情報なんか頭に入ってこない精神状態なので、知っている文章、感覚をなぞるというのが安心できる。
・ノイズキャンセリングのヘッドホンを借りられれば借りる。自分は普段から割と雑音に敏感なので少し穏やかな気持ちになる。飛行中の音って結構大きい。
・映像を観られる場合はお笑い番組を観る。リラックスできるし、笑っている間に時間が過ぎる。オススメは『テレビ千鳥』だけど、お腹抱えて笑う可能性があるので周りの視線には注意。でもいつか飛行機の中でこれを無表情で観ている人がいて、むしろその人のことが気になって仕方なかった。えっどんな気持ちでそれ観ているの?
・飛行機が好きな友達が一緒の場合は、私が苦手なことを伝えておく。すると全力で盛り上げてくれる。楽しそうな友達を見ると心は少し安らぐ。
・ひとり旅の時はせめて隣の人と挨拶をすると少し安心する。仲間が増えたような気持ち。
・基本的には全部しょうがないことなので乗ると決めたからには頑張る。そんなことは分かっているけど。
ちなみに国際線の場合はお酒を飲んだり酔い止めを飲んだりしてフライト中に寝られるように、できることはしてみる。
でも酔い止めを飲むと眠気が収まらないことがあるので、短いフライトやただ寝るためだけに飲むのはやめた。どっちみち離陸時は全く眠くならないし。
それと、お酒で具合が悪くなったこともあるので以後気を付けている。
ここまで苦手意識がある原因として私の中でうっすら分かってきたのは、狭い空間が苦手なのではないかということと、あらゆる危機を想像して対処方法を考えてしまう性格(これはたぶん仕事には役に立つ)が問題な気がする。
ずっと前、前職で車での関西出張中に、事故渋滞でトンネル内で身動きが取れなくなったことがあった。あの時にだんだん息が詰まる感じがあって、あれこれは飛行機に乗っている時の感覚と似ているなと思ったのだ。
幸い何事もなく渋滞は解消しトンネルからは抜け出すことができた。不安がる私を楽しませてくれた先輩たちには感謝しているが、何を呑気に話してるんだよと思った瞬間もあった。
果たして共感してくれる人はいるだろうか。
もし同じような思いをしている人がいたら、そしてもっといい対策があったら、教えてもらえたら嬉しい。
そして、毎回こんな状態の私に対してすべてが杞憂だったと思わせてくれるすべての航空業界の方に心から感謝しております。
飛行機に乗ることは、苦手を作りたくない私としてもどうしようもなく認定せざるを得ない苦手なことだ。楽になる努力はする。
でも苦手でいいのだ。
どうせ私は乗るのだから。
まだ見ぬ場所に行って、たくさんと人と出逢って、色んなことを感じてみたい!
関連して、好きなYouTubeチャンネルです。
とにかく2人がかわいいのと、外国の風景をたくさん観られるのが嬉しい!
そして何より、フライトを心から楽しむサクちゃんランちゃんを見ると私もワクワク乗れる日がくるんじゃないかなと思って観ている!
