【まとめ】ブラック企業の中間管理職・営業二課長
どうも、哲兄です。
『プロベーション・レポート 〜新入社員の四ヶ月〜』という小説を書いています。
地方の米卸会社・米崎ライスに入社した新入社員『小林』が試用期間+αの四ヶ月で会社の停滞を揺らしていく物語です。
と書くと小林が主人公のように見えるのですが、第一章の視点人物は小林ではありません。
第一章の主人公は『営業二課長』です。
彼は、いわゆるブラック企業の中間管理職です。
部下はすぐ辞める。
上司には逆らえない。
現場は慢性的に疲弊している。
それでも自分には責任があると思っている。
そんな人です。
悪人ではない。でも、部下を守れなかった人
ブラック企業を描く時にわかりやすい悪役を置くことは簡単です。
怒鳴る上司。
無茶を言う経営者。
責任を押しつける管理職。
部下を使い潰す人間。
もちろん、そういう人間も作中にはいます。
ただ、第一章で書きたかったのはもう少し曖昧な場所にいる人でした。
営業二課長は悪人ではありません。
責任感もあるし、情もあります。
辞めていった部下たちのことを忘れられない人でもあります。
けれど、彼は部下を守れませんでした。
会社のやり方に疑問はある。
でも、上には逆らえない。
部下に期待したい。
でも、どうせまた辞めるのではないかと思ってしまう。
その結果、新入社員に対しても最初から情を移さないようにしている。
それは冷たいようでいて、彼なりの自己防衛でもあります。
期待して、情を移して、また辞められる。
その繰り返しに疲れているからです。
営業二課長は、完全な被害者ではありません。
しかし、単純な加害者として切り捨てられるのか?
と言われればあまりにも人間くさい。
その情けなさを書きたかったのだと思います。
そこに小林が来る
そんな営業二課長の前に、新入社員の小林が現れます。
小林は、二課長から見るとどうにも変わった新人です。
やたら軽い。
しかし仕事には熱意がありそうに見える。
人懐っこいようでいて、何を考えているのかよくわからない。
ただし小林は、救世主として登場するわけではありません。
少なくとも物語開始時点の営業二課長から見れば、小林は「どうせすぐ辞めるかもしれない新人」です。
だから二課長は小林に期待しないようにします。
深入りしないようにします。
自分がまた傷つかないようにします。
けれど、小林はそんな二課長に、ある意味で勝手に踏み込んでいきます。
そして二人の間に、ひとつの『契約』が生まれます。
この契約が、第一章の軸になります。
第一章は、強い上司の話ではない
第一章は、かっこいい上司の話ではありません。
営業二課長は、部下を守り切れる強い管理職ではありません。
理不尽な上司に堂々と反論できる人でもありません。
会社の空気を一人で変えられる人でもありません。
むしろ情けないです。
でも、その情けなさが彼の核です。
悪人ではないのに、誰かを苦しめてしまう人。
自分も苦しんでいるのに、誰かを守れない人。
責任感があるせいで、かえって動けなくなっている人。
営業二課長は、そういう場所にいる人です。
『プロベーション・レポート』は、ブラック企業に入った新入社員が会社を変える話・・・のように見えるかもしれません。
しかし、単純な改革成功譚ではありません。
会社はひどい。
制度もおかしい。
働き方もおかしい。
けれどその中にいる人間たちは、それぞれの事情を抱えて生きています。
営業二課長もその一人です。
彼は最初から会社を変えられる人ではありません。
ただ、小林という新入社員と出会ったことで自分の情けなさを見ないことが出来なくなります。
それだけです。
でも、大人にとってはそれだけでもかなり大きいことだと思います。
『プロベーション・レポート 〜新入社員の四ヶ月〜』
第一章は、営業二課長の章です。
少々情けない大人が好きな方。
ブラック企業の中にいる「悪人ではないけれど、無罪でもない人」に興味がある方。
ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
第一章以前にプロローグが一話挟まれます。
そこでもまた別の人物たちが『小林を見なかった』
まずはプロローグからご一読ください。
