第1話:聖域のダイス
今回、私はChatGPT、Claude、Geminiという3つの異なる生成AIを使い、TRPG小説、『聖域 の ダイス』の第1話を書き上げましまた。
プロンプトなど技術的なことはほかの記事に書いています。
第1話:聖域のダイス
教室は世界のすべてだった。
そこから外に出るという発想すらなかった。
一番前の、真ん中の席。
ここは、背中からの視線に、ずっと晒されている。
教壇は見上げるくらい高く、首を曲げないと先生の顔は見えない。
顔を上げても、先生は僕たちを見ていない。黒板の向こう、もっと遠くを見ているみたいだった。
僕はそれが嫌で、机に彫られた誰かの落書きを目でなぞり続けている。
ハートマーク。名字。意味のない記号。
その中に、少しだけ浮いている言葉があった。
〈ここからやり直す〉
誰が書いたのかは分からない。
なんとなく、その言葉だけはノートに写した。
お腹の下のほうがきりきりと痛み出す。トイレに行きたい。
手を挙げて、「トイレに行かせてください」と言えばいい。
それだけなのに。
その一言を言った瞬間、後ろの視線が一斉に声に変わるのが、簡単に想像できてしまう。
僕は膝を小刻みに震わせながら待った。
ただ、チャイムが鳴るのを祈っていた。
鳴った。
やっと、解放された。
廊下に出て、トイレ横の洗面台に駆け込み、冷たい水で顔を洗う。
いつの間にか隣に立っていた男子が、鏡越しにこちらを見て言った。
「……最前列、お疲れ。あそこ、呪われてるよね」
同じクラスの、たしか佐藤。目立たず、誰とも一緒に行動しない。
彼は濡れた手を軽く振り、僕のカバンからはみ出しているノートを指さした。
「それ、自分で考えた話?」
何も言えずにいると、佐藤は少しだけ肩をすくめた。
「机、見るときさ。ずっと、同じところばっかり見てたから」
言い訳みたいに、付け足す。
「あれ、考えてる人の目だと思った」
そう言って彼は手のひらを開いた。
サイコロだ。
この世界のノイズを排したみたいな形だった。
「もしよかったらさ」
佐藤は、軽い調子で言う。
「放課後、別の場所で――『自分』をやり直してみない?」
佐藤についていった先は、今はもう使われていない旧校舎の三階だった。
廊下を歩くたび、床が小さく鳴る。新校舎とは違う、頼りない木の音だ。
一番奥にある名札も外された空き教室。
佐藤が重い引き戸を開けると、西日に照らされた埃が、ゆっくりと舞っているのが見えた。
「ここ、誰も来ないから」
そう言って、佐藤は一番後ろの席の机を二つ並べた。
僕は、言われるままに椅子に座る。
ここには、背中に突き刺さる視線はない。
窓の外から聞こえる野球部の掛け声だけが、遠くの出来事みたいに響いていた。
佐藤が鞄から、一冊の分厚い本を取り出す。
机の上に置かれたその表紙を見て、僕は顔をしかめた。
「気持ち悪い絵だな」
人間とも魚ともつかない、ぬめりとした怪物。いくつもの目が、こちらを見ている。
「だろ」
そう言って、ページをめくる。
「これ、TRPGって言うんだ」
分厚い本を開いたまま、佐藤は僕を見ていない。
でも、視線は紙の上に落ちているのに、見られている気がした。
「……ねえ」
小さな声だった。
「君さ。ずっと勘違いしてる」
僕は耳をすます。
「ここは逃げ場じゃない」
一拍置く。
「試験場」
その言い方が、妙に癇に障った。
「先生とか、クラスの奴らが嫌いなんでしょ。自分は何も悪くないのに、一番前に座らされてるって思ってる」
当たっていた。何も言えなかった。
「授業中、それを考えてる。自分は正しいって思ってる」
僕は唾を飲みこむ。
「じゃあさ。それを、ここで証明してみなよ」
机の上のノートを指で叩く。
「ルールに沿って。言い訳なしで。運も含めて。嫌いなものを打ち負かしてみて」
「……勝ったら?」
「君が正しかったって認める」
「負けたら?」
「君が、今まで通りってだけ」
淡々とした声だった。
それが、いちばんむかつく。
胸の奥で、何かがかちんと音を立てる。
佐藤は、ノートの白紙のページを開き、真ん中に線を一本引いた。
「これが、君の体だ」
それだけ言った。
僕は、鉛筆を強く握る。
手のひらが汗でじっとりしている。
机の落書きを思い出す。
〈ここからやり直す〉
ノートの端に、小さく書き加える。
「……いいじゃん、それ」
佐藤は、ほんの少しだけ笑った。
「じゃあ、決めるよ」
そう言って、机の上にサイコロを置く。
僕はそれを手に取った。
冷たい。
何かを考える前に、もう手が動いた。
息を止めて、ダイスを投げる。
乾いた音。
それが、僕のほうへ転がってくる気がした。
第2話「シナリオ決定」
https://note.com/alexanderokayama/n/n16a11050ba0b
※物語の整合性と表現向上のため、2026年2月13日に加筆修正を行いました。
さらに2026年2月23日に加筆修正しました。
