魔法の国のアリス|第1話 希望と愛の花
はじめまして。
今日から、ひとつの物語をここに綴っていきます。
『魔法の国のアリス』
大人になって、少しだけ生きづらさを知った人へ。
それでは、第1話をどうぞ。
* * *
昔々、遠い魔法の王国に、アリスという名前の魔法使いの女の子が住んでいました。
アリスはまだ小さな子どもでしたが、とても賢くて、優しい心を持っていました。
彼女は美しい森の中にある小さな家で、おばあさんと一緒に暮らしていました。
おばあさんも魔法使いで、アリスに魔法の使い方を教えていました。
ある日のこと。
その日は、なぜか魔法がうまくいかず、アリスの心には小さな曇りが残っていました。
何度やってもうまくできない。
いつもなら気にならないようなことまで、少しだけ嫌になってしまう。
そんな気持ちを抱えたまま、アリスは森の中を歩いていました。
すると、森の奥で不思議な光を見つけました。
その光は木々の間から差し込んでおり、まるで誰かが彼女を呼んでいるかのようでした。
いつものアリスなら、少し眺めて家へ戻っていたかもしれません。
けれどその日は、なぜかその光が気になって仕方がありませんでした。
「この先に行けば、何か変わるかもしれない」
そんな気がして、アリスは光を追って森の奥へと進んでいきました。
しばらく歩くと、アリスは大きな古い木の下にたどり着きました。
その木の根元には、小さな扉がありました。

アリスがその扉を開けると、中には美しい庭が広がっていました。
庭の中央には小さな池があり、その周りには色とりどりの花が咲き乱れていました。
アリスが池のほとりに近づくと、水面に映った自分の姿が突然話し始めました。
「こんにちは、アリス。私はこの庭の守り神です。
君の心の優しさに感謝して、君に一つの試練を与えたいと思います。
この庭の花たちは、ある秘密を守っています。
それを見つけ出すことができたら、君はもっと強い魔法を使えるようになるでしょう」
アリスの目が輝きました。
けれど、守り神は静かに言葉を続けました。
「ただし、強い力を持つということは、楽になるということではありません。
今まで気づかなかった悲しみや苦しみに、気づくこともあるでしょう。
誰かを助けられる力を持つということは、その痛みを見過ごせなくなるということでもあります」
アリスは黙って水面を見つめました。
「それでも、その花を探しますか?」
少しだけ、怖いと思いました。
知らないままでいれば、傷つかずに済むこともあるのかもしれません。
それでもアリスは、ゆっくりとうなずきました。
「探します」
守り神は、それ以上何も言いませんでした。
アリスは花々を調べ始めました。
しばらくすると、彼女は一輪の特別な花を見つけました。
その花は他の花よりも鮮やかで、美しい光を放っていました。
アリスがその花を手に取ると、突然、庭全体が輝き出しました。
そして、花の中から小さな妖精が現れました。
「ありがとう、アリス。
君の勇気と優しさに感謝する。
私はこの庭の秘密を守る妖精です。
君が見つけたこの花は、希望と愛の象徴です。
これを持っていれば、どんな困難にも立ち向かうことができるでしょう」
妖精がそう言うと、花はアリスの手の中で輝きながら消え、彼女の心に新しい力を与えました。
アリスはその後、家に戻り、おばあさんにこの冒険のことを話しました。
おばあさんは微笑みながら、アリスの成長を喜びました。
それ以来、アリスはさらに強い魔法使いになり、森の動物たちや人々を助けるために、その力を使い続けました。
けれど以前とは、少しだけ違いました。
困っている誰かを見つけると、その人の悲しみまで感じることがありました。
苦しくなる日もありました。
それでもアリスは、あの日自分で選んだことを後悔しませんでした。
彼女の心にはいつも、希望と愛の花が咲いていました。

それは、何も怖くないという意味ではありません。
怖くても、迷っても、それでも誰かに手を伸ばそうとする勇気のことでした。
そして、アリスの冒険はこれからも続いていくのでした。
* * *
次回、第2話。
ある朝、アリスのもとに一羽のフクロウがやってきます。
その足に結ばれていたのは、王国の女王からの手紙でした。
