DQ12の計画遅延によって天空シリーズはリメイクされるのか?

『ドラゴンクエストXII』は、発表からかなり長い時間が経過した作品になりました。

2021年の発表当初は『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』というタイトルで、堀井雄二氏から「大人向け」「ダークな感じ」といった方向性も語られていました。

ところが2026年5月、開発体制を変更してリスタートしたことが正式に発表され、タイトルも『ドラゴンクエストXII 夢の彼方へ』へ変更されました。

エグゼクティブプロデューサーの齊藤陽介氏は、「ドラゴンクエストのナンバリング作品がどうあるべきか」を突き詰めた結果、新しい体制で作ることを決断したと説明しています。

つまりこれは、単に完成が数か月遅れているという話ではありません。

ゲームそのものの設計思想をかなり大きく見直している可能性があります。

「延期」より重いDQ12のリスタート

ゲーム開発では、完成間近の作品を磨き込むための延期と、ゲームデザインそのものを見直すためのリスタートでは意味がまったく違います。

後者の場合、戦闘システム、成長システム、フィールド、UI、シナリオの見せ方など、すでに作った部分まで手を戻さなければならない可能性があります。

実際、今回のDQ12はサブタイトルとロゴまで変更されています。

さらに2026年9月現在でも発売時期と対応機種は未定です。

2021年の最初の発表からすでに5年以上。

ここからさらに新しい設計で開発を進めるとなれば、「いつ発売されるのか」を予測すること自体がかなり難しくなっています。

しかしスクウェア・エニックスとしても、その間ずっとドラゴンクエストの大型タイトルを出さないわけにはいかないでしょう。

そこで重要になってくるのが、過去作品のリメイクです。

すでにHD-2Dというリメイクの土台ができている

2024年にはHD-2D版『ドラゴンクエストIII』が発売され、2025年には『ドラゴンクエストI&II』へと続きました。

HD-2Dは、ドット絵のキャラクターと3DCGの背景を組み合わせたスクウェア・エニックスの映像表現です。

DQ3では開発をアートディンクとスクウェア・エニックス浅野チームが担当しており、ドラゴンクエストをHD-2Dで作り直すための制作ノウハウも蓄積されたはずです。

ここが重要だと思います。

DQ12は「これから何を作るのか」という部分から試行錯誤が必要ですが、過去作品のリメイクは原作という完成済みの設計図があります。

マップ、シナリオ、キャラクター、モンスター、基本的なゲーム進行はすでに存在しています。

もちろんリメイクにはリメイクの難しさがありますが、ゼロから新しいナンバリング作品を作るより、開発計画を立てやすいでしょう。

そしてせっかくDQ3やDQ1・2でHD-2Dの技術を作ったのであれば、それを一度きりで終わらせるより、ほかの過去作品にも応用したほうが合理的です。

そこで次に候補になるのが、DQ4・DQ5・DQ6のいわゆる「天空シリーズ」です。

ロト三部作の次は天空三部作?

ファミコンからスーパーファミコン時代のドラゴンクエストを大きく分けると、

DQ1・DQ2・DQ3のロト三部作。

そしてDQ4・DQ5・DQ6の天空三作品。

という二つのまとまりがあります。

ロト三部作が現行機向けに再構築された以上、

「次は天空シリーズではないか?」

と考えるのは自然でしょう。

しかも2026年は、天空シリーズを連想させる展開が妙に増えています。

ドラゴンクエスト アイランドでは天空シリーズをモチーフにした展開が行われ、さらに新作『ドラゴンクエストモンスターズ4 枯れ木の国のビアンカ・フローラ』では、DQ5を代表するビアンカとフローラがタイトルにまで登場しました。

デボラの登場も堀井氏から明かされています。

もちろん、これだけで「天空三部作リメイク確定」と考えることはできません。

しかし少なくとも現在のドラゴンクエスト展開の中で、天空シリーズが再び表に出てきていることは確かです。

天空シリーズはHD-2Dとの相性もいい

個人的には、天空三部作はHD-2Dとの相性もかなりいいと思います。

DQ4は、主人公が異なる複数の章を進め、最後に勇者のもとへ仲間が集まる構成です。

章ごとに町や地方の雰囲気を変えれば、HD-2Dの背景表現を活かしやすいでしょう。

DQ5はさらに面白い作品です。

主人公の幼年期から青年期、結婚、そして子供たちの世代までを描くため、同じ土地が年月によって変化していく様子を現在の映像技術で表現できます。

サンタローズなどは、その代表でしょう。

幼いころに見た町と、大人になってから戻ってきた町。

これをHD-2Dで演出すれば、原作以上に時間の経過を強烈に感じさせることもできます。

そしてDQ6には「現実世界」と「夢の世界」という二重構造があります。

ライティングや色調、霧などを変えることで二つの世界を視覚的に差別化するなど、HD-2Dだからこそできる表現も多そうです。

三作品とも、単純にドット絵を高解像度化するだけではないリメイクを作れる題材なのです。

DQ12を急がずに済むという大きな意味

もし天空シリーズをリメイクするのであれば、スクウェア・エニックス側にはもう一つ大きなメリットがあります。

DQ12を急いで完成させる必要がなくなることです。

ドラゴンクエストほどのシリーズになると、ナンバリング新作の間があまりに長く空くこと自体が問題になります。

しかし、

HD-2D版DQ3

HD-2D版DQ1・2

DQ7 Reimagined

天空シリーズのリメイク

DQ12

という流れを作ることができれば、DQ12の開発に十分な時間を与えながら、シリーズ自体は定期的に動かし続けることができます。

新作開発が難航したから無理に完成させるのではなく、過去の名作を現行機向けに整備しながら時間を作る。

これはかなり合理的なシリーズ運営だと思います。

問題は天空シリーズをどの順番で出すのか

もし本当に天空シリーズをリメイクするとして、個人的に一番気になるのは発売順です。

私は天空シリーズではDQ5が一番好きなので、当然DQ5のリメイクを一番遊びたいところです。

しかし天空シリーズを物語世界の時系列を意識して作るのであれば、

DQ6

DQ4

DQ5

という順番になる可能性があります。

そうなるとDQ5が最後です。

これはDQ5好きとしては少し悲しいところです(笑)。

ただし天空シリーズは、ロト三部作ほど明確に最初から三部作として設計されたシリーズではありません。

堀井雄二氏も40周年のインタビューで、DQ4の段階から天空三部作を計画していたわけではなく、後からつながったものだと振り返っています。

そのため、必ずしも時系列順にする必要はありません。

オリジナルと同じ

DQ4

DQ5

DQ6

という発売順なら、DQ5は2作目になります。

あるいはシリーズでも特に知名度の高いDQ5を最初に投入する可能性だってあります。

DQ3をロト編の最初に持ってきたように、「最も商品として強い作品から始める」という判断なら、いきなりDQ5という展開もあり得るでしょう。

DQ12の難航が天空シリーズ復活の追い風になる?

もちろん、現時点でDQ4・5・6のリメイクは正式発表されていません。

したがって、ここまでの話はあくまで予測です。

ただ、

DQ12が新体制でリスタートしたこと。

発売時期が依然として未定であること。

DQ3・DQ1・2によって過去作リメイクのノウハウが蓄積されたこと。

そして2026年になって天空シリーズやDQ5を意識させる展開が増えていること。

これらを並べると、天空シリーズを現代向けに作り直す条件はかなり揃ってきたように見えます。

皮肉なことですが、DQ12の開発が順調に進んでいれば、天空シリーズのリメイクを挟む余地はそれほどなかったかもしれません。

しかしDQ12がゲームデザインから見直され、完成までかなりの時間が必要になったことで、その空白を埋める作品が必要になりました。

そこで、すでに完成しているHD-2Dなどのリメイク技術を利用し、人気の高い天空シリーズを蘇らせる。

シリーズ展開としては、かなり理にかなった選択肢だと思います。

DQ12の開発リスタートはファンにとって残念なニュースではあります。

しかしその長い待ち時間の途中で、もしDQ4、DQ5、DQ6が現代の技術で蘇るのであれば、それは思わぬ副産物になるかもしれません。

そして私としては、やはり一番見てみたいのはDQ5です。

HD-2Dで描かれる幼年期の冒険、パパスとの旅、成長した主人公、結婚、そして子供たちとの冒険。

DQ5という「人生そのものを旅するドラゴンクエスト」が現代の技術でどう作り直されるのか。

もし天空シリーズのリメイクが本当に動いているのであれば、DQ12とは別に、こちらもかなり楽しみな企画になりそうです。

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