【関係人口経営を実装する①】地域との関わりを、本人の手元に残すAmanowaDAOが目指す「関係人口経営」の実装へ
島根県海士町では、これまで多くの人がさまざまな形で地域に関わってきました。
・大人の島留学制度をきっかけに島に滞在した人。
・何度も海士町を訪れてくれる人。
・祭りやイベントを手伝ってくれる人。
・遠くから発信や寄付で応援してくれる人。
・知り合いを海士町に連れてきてくれる人。
・事業者や住民と一緒に新しい企画をつくってくれる人。
こうした関わりは、住民票の有無だけでは捉えきれません。
一方で、これまでの地域づくりでは、関係人口を「登録者数」や「参加人数」として数えることはできても、その人が地域とどのような関係を育ててきたのか、その関係がどのように次の関わりにつながっているのかまでは、十分に残せていませんでした。
私たちは、関係人口を単なる人数ではなく、当事者意識、継続性、貢献、共創、意思決定参加、還流の視点から捉えたいと考えています。
そのための基盤として、AmanowaDAO を改修します。
今回の改修で目指しているのは、地域貢献を管理・評価するアプリをつくることではありません。
人と地域のあいだに生まれた「関わり・関係」を、本人の側に残し、可視化し、次の関わりへつなげていくことです。
地域貢献を「評価」するのではなく、関係の軌跡を残す
AmanowaDAOは、誰がどれだけ地域に貢献したかを点数化し、順位をつけるための仕組みではありません。
地域との関わりは、誰かに評価されるための実績ではなく、その人が歩いてきた関係の軌跡です。
いつ来島したのか。
何に参加したのか。
誰を手伝ったのか。
誰から相談されたのか。
何を発信したのか。
誰と共創したのか。
誰からありがとうを受け取ったのか。
どんな役割を託されたのか。
どんな意思決定に参加したのか。
そうした一つひとつの関わりが、その人と地域との関係を形づくっています。
私たちが残したいのは、単なる貢献量ではありません。
残したいのは、関係の記憶です。
AmanowaDAO は、その関係の記憶を本人の手元に残し、
次の参加や信頼、役割、意思決定につなげていくための場所です。
「地域貢献報告」ではなく、「関わりを残す」へ
今回の改修では、従来検討していた「地域貢献報告」という表現を改め、
ユーザー向けには「関わりを残す」という考え方に変更します。
「報告」という言葉には、どこか義務や評価のニュアンスがあります。
しかしAmanowaDAO で大切にしたいのは、誰かに採点してもらうために活動を提出することではありません。
「今日、こんな関わりがあった」
「こんなことを手伝った」
「こんな人と出会った」
「こんな相談を受けた」
「こういう活動に参加した」
そうした関係の断片を、自分の言葉で残していくことです。
ただし、記録には手間がかかります。
活動の内容を文章にすることが負担になると、せっかくの関わりも残らなくなってしまいます。
そこで、今回の改修ではAIによる文章整形も取り入れます。
たとえば、「ユーザーがOB再集合の写真整理を手伝った」
と短く入力すると、AI が活動内容や説明文、カテゴリなどを整えます。
ただし、AI はその人の貢献価値を評価するためには使いません。
AI が行うのは、関係を残すための言葉を一緒に整えることです。
最終的な内容は、本人が確認し、必要に応じて編集できるようにします。
NFTを、投機ではなく「関係の証」として使う
AmanowaDAOでは、NFTを活用します。
ただし、ここでいうNFTは、投機対象やコレクションゲームのためのものではありません。NFTは、減らない関わりの証です。
たとえば、
• 貢献証明
• ありがとう
• 参加証
• 称号
• 特典
• 記念
• 地区やコミュニティとの関係
などを NFTとして残していきます。
ポイントは、使えば減りますが、関わりの証は減りません。
誰かを手伝ったこと。
祭りに関わったこと。
島に来たこと。
誰かからありがとうを受け取ったこと。
ある地区に継続して関わってきたこと。
そうした関係の証は、その人の手元に残り続けます。
NFTは、誰かに見せるための勲章ではありません。
自分と地域との関係を思い出し、必要に応じて誰かに伝えるためのしるしです。そのため、どのNFTを公開するか、どのNFTを非公開にするかは、本人が選べるようにします。
自分の関係を、自分で編集する
今回の改修で重視している機能の一つが、自己表現ビューです。
AmanowaDAO では、NFT 一覧を単なる実績棚にはしません。
ユーザーが自分の持っている NFT の中から、見せたいものを選び、キャンバス上に自由に配置できるようにします。
大切にしている NFT を大きく置く。
思い出深い関わりを中心に置く。
ある地区との関係をまとめて見せる。
ありがとうを受け取った NFT を並べる。
あえて何も見せない。
その選択は、本人のものです。
同じ海士町に関わっていても、見えている海士町は一人ひとり違います。
だからこそ、関係の見せ方も本人が選べるようにしたい。
AmanowaDAO は、行政や運営者が一方的にユーザーを評価する画面ではなく、本人が自分と地域との関係を編集し、表現できる場を目指します。
「コイン」ではなく「クレジット」へ。
「報酬」ではなく「御礼」へ。
従来使っていた「AMA コイン」という名称は、今回の改修で AMA クレジットへ変更します。
「コイン」という言葉には、通貨や投機のイメージが生まれやすい。
しかし、私たちがつくりたいのは、地域の中でお金のように稼いだり増やしたりする仕組みではありません。
AMA クレジットは、まちの共通リソースです。
関係の中で受け取り、関係や地域のために使われる、有限の共有資源として位置づけます。
また、「リワード」という言葉も使いません。
今後は、御礼という言葉に統一します。
たとえば、これまでなら、
リワード:AMA コイン 100 枚+NFT
と表現していたものを、今後は、
御礼:AMA クレジット 100+貢献証明 NFT
と表現します。
AmanowaDAO で大切にしたいのは、人を報酬で動かすことではありません。
関わってくれたことに対して、地域や人から御礼が返ってくる。
そして、その御礼がまた次の関わりにめぐっていく。
AMA クレジットの残高が多い人ほど偉い、という設計にはしません。
AMA クレジット保有ランキングも設けません。
大切なのは、稼ぐことではなく、関わりがめぐることです。
タスクではなく、関係から届く「あなた宛のお願い」
今回の改修では、従来の「クエスト」機能は廃止します。
地域がタスクを提示し、不特定多数が挑戦し、条件を達成したら報酬を受け取る。
そうしたタスクマーケット型、ゲーミフィケーション型の仕組みには寄せません。
一方で、地域や他者からの依頼そのものをなくすわけではありません。
むしろ、AmanowaDAO では、過去の関係から生まれる「あなた宛のお願い」を大切にしたいと考えています。
たとえば、
海士町観光協会から、○○さん宛に
「御船祭りについて SNS で発信してもらえませんか」
というようなお願いです。
これは、誰でもいい依頼ではありません。
過去の関係があるから、この人にお願いしたい。
この人なら、きっと海士町らしく伝えてくれる。
この人に、もう一度関わってほしい。
そうした関係性から生まれるオーダーです。
もちろん、ユーザーは受けることも、見送ることもできます。
見送ったからといって、マイナス評価になるものではありません。
AmanowaDAO では、自分から生まれる関わりと、誰かから託される関わりの両方を扱っていきます。
「ありがとう」は、人から人へ送れる
AmanowaDAO では、他者の関わりに対して「ありがとう」を送れるようにします。
これは、運営による評価ではありません。
人と人との間で生まれた感謝や承認です。
手伝ってくれてありがとう。
相談に乗ってくれてありがとう。
一緒に場をつくってくれてありがとう。
遠くから応援してくれてありがとう。
新しい人を連れてきてくれてありがとう。
こうした感謝は、数字だけでは表現できません。
だからこそ、ありがとうはNFTやAMAクレジットといった形で、関係の中に残していきます。
ただし、ありがとうの数を競わせることはしません。
ありがとうランキングもつくりません。
ありがとうは人気指標ではなく、関係の記録です。
関係人口パスポートは、地域との関係史になる
AmanowaDAO では、ユーザーごとに関係人口パスポートを持てるようにします。
これは、本人と地域との関係史です。
そこには、関係年数、NFT、ありがとう、来島、Stage、Level などが蓄積されていきます。
ただし、これらは人間の価値を測る総合スコアではありません。
祭りに関わる人。
島留学に関わる人。
年に一度、必ず島を訪れる人。
遠くから発信してくれる人。
地区の草刈りを手伝う人。
住民と一緒に小さな場を育てる人。
高校生の相談に乗る人。
それぞれの関係には、それぞれの形があります。
関係人口パスポートは、それらを一つの尺度で競わせるためのものではありません。
一人ひとりの関係の軌跡を、その人らしく残すためのものです。
関係に応じて、地域の未来にも関われる
AmanowaDAOでは、地域との関係が深まることで、地域の意思決定にも参加できる設計を検討しています。
このとき、Voting Power という考え方を使います。
Voting Power は、Level の平方根を基礎とした数値として設計します。
この狙いは、関係を積み重ねている人ほど少しずつ意思決定参加が深まる一方で、古参や活動量の多い人だけが意思決定を独占しないようにすることです。
関わりに応じて参加権は深まる。
ただし、それを権力に変換しすぎない。
AmanowaDAO が目指すのは、誰か一部の人が地域の未来を決める仕組みではありません。
住民、アンバサダー、卒業生、事業者、外部パートナーなど、地域に関わる人たちが、それぞれの関係に応じて地域の未来に参加できる仕組みです。
関係人口経営を、思想ではなく仕組みにする
私たちが目指しているのは、関係人口を増やすことそのものではありません。
関係人口経営とは、人を集めることではなく、関係が続き、深まり、地域の未来に接続される状態をつくることです。
AmanowaDAO は、そのための実装です。
関わりを残すことで、誰がどのように地域とつながっているかが見える。
NFT によって、金銭に換算しづらい関係も証として残せる。
ありがとうによって、人と人との感謝が記録される。
あなた宛のお願いによって、過去の関係から次の役割が生まれる。
関係人口パスポートによって、一人ひとりの関係史が可視化される。
ガバナンスによって、関係者が地域の未来に関われる。
これは、単なるDXではなく、地域経営のOSをつくる試みです。
地域を、住民だけで閉じた共同体として見るのではなく、関係人口、滞在人口、外部プレイヤーを含めた拡張された経営体として捉える。
そのときに必要なのは、関係人口を一括管理する CRM ではありません。
人と地域の関係が本人の側に残り、その関係から次の参加、信頼、役割、意思決定が生まれる基盤です。
関係が、次の関わりを生む地域へ
AmanowaDAO は、まだ完成形ではありません。
むしろ、これから町、住民、アンバサダー、卒業生、事業者、外部パートナーのみなさんと一緒に育てていく基盤です。
関わりは、記録されることで次の関わりにつながります。
一度きりの参加が、次の来島につながるかもしれない。
何気ない手伝いが、誰かからのありがとうにつながるかもしれない。
ありがとうが、次の相談につながるかもしれない。
相談が、役割につながるかもしれない。
役割が、地域の未来への参加につながるかもしれない。
私たちは、そうした循環をつくりたい。
関わる。
残す。
認め合う。
関係が見える。
託される。
また関わる。
この循環を、AmanowaDAOの中心に置いていきます。
AmanowaDAO は、誰かの貢献を測るためのものではありません。
一人ひとりが海士町と結んできた関係を、本人の手元に残し、その関係からまた新しい関わりが生まれていくための場所です。
一人ひとりの関係の軌跡が、海士町の未来の選択肢になっていく。
そんな関係人口経営の実装を、ここから進めていきます。
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