怪談 丑の刻参り
この話は私の職場で以前働いていた杉田さん(仮名)が体験した話だ。
杉田さんは高校生時代によく仲の良い友人達と怖いもの見たさで地元で有名な心霊スポットへ行くのが好きで、この日も仲の良い友人の畑中(仮名)さん、佐々木(仮名)さん、上本(仮名)さんの4人で心霊スポットとして知られてる神社へ行くことにした。
神社では幽霊が出るといった心霊の噂があるのではなく、夜中の1時から3時の丑三つ時になれば憎き相手に見立てた藁人形を釘を打つ丑の刻参りの儀式が今でも行われているというもので4人はあえて儀式を見たいがために丑三つ時に神社へ向かう。
人里外れた山奥にある神社には街灯が全くない真っ暗闇の中で杉田さん達はあらかじめ持参しておいた懐中電灯の灯りを頼りに周辺の歩ける範囲内を中心に山道の草木を掻き分けながら散策をしてみる。
しかし、時間が経つほど明かりが全くない山特有の暗闇の中を散策すればするほど懐中電灯の電池が消耗する。懐中電灯の灯りが切れないうちに退散しなければいけない、またこの山にはクマが生息しているということも考えながら行動をしなければいけなかった。
そんなときに上本さんが噂通りに本当に丑三つ時に丑の刻参りなんかしていたら本当に怖いよねと話した瞬間だった。山には4人しかいないはずなのに、ふと近くで誰かがいるようなカーン、カーン、カーンという鈍い金属音が聞こえてきた。
まさか、本当に丑の刻参りが行われているのか。4人はたまらず音が聞こえた方向へと怖いと感じながらも進んでゆく。音が聞こえたきた方向へ向かうと思わず恐怖のあまりに足が動けなくなった。
そこには白装束を身に纏った頭には白い帯にロウソクが2本火が灯った状態で50代ぐらいの女性が一心不乱になりながら藁人形に釘を打っていた。

先程聞こえてきたカーン、カーン、カーンという鈍い金属音は藁人形に釘を打つ音だったとわかった4人はこのまま儀式を見てしまったことが分かれば呪い返しにあうことがわかっていたので恐怖でその場を退散しようとした際に女性に気づかれてしまった。
女性は杉田さん達に一言言い放った。
見たな。
女性は見られたら丑の刻参りの儀式を行うことによる効力が失われるとわかっていたので生かしてはいけないと考え杉田さん達の後を走って追いかける。
一方の杉田さん達は女性が後から追いかけてきていることがわかったので必死になって山道を走り続ける。
しかし、ここで4人が同じ方向へ進めば女性から逃げることはできないと考え咄嗟の判断で畑中さんが4人が同じ方向に逃げたら女性はどこまでもついて行く。いったんここで各自で女性を混乱させるためにも離れ離れになろう。離散した場所でもう一度集合しよう。
畑中さんの提案により、杉田さん達は分散してそれぞれ違う方向から逃げることを選んだ。
暗闇の中が功を奏したのか、女性は4人が離散して逃げたことはわかっていても追いかけやすい佐々木さんが逃げた方向へ走ってゆく。
一方女性が追いかけてきたとわかった佐々木さんは必死になりながら逃げ続ける。女性は得た獲物を逃さぬよう鬼の形相になりながら走ってくる。
追いつかれてしまえば後がない。やばいと感じた時に、ふと視界に大きな木の凹みが見えてきた。
ラッキーなことに木の凹みは人一人が入れるぐらいの大きさだった。あの場所にさえ逃げたら女性の視線から逃れられると瞬時に判断し、女性の視界に入らない一瞬のタイミングを見計らうと凹みへ逃げ込んだ。バレたら洒落にならない。
凹みの中で佐々木さんは恐怖で震えていた。そんなときに女性がやってくると立ち止まり叫び始めた。
何処だ?何処に行ったんだ?出てこい!
その後女性は佐々木さんに対しての呼びかけを行うが出てくる気配がないため、女性ら諦めがついたのか女性は退散してその場を後にした。
物音がしなくなり静まり返った。
足音すら聞こえてこなくなったことかは女性が居ないことがわかってもなかなか木の凹みから出れない佐々木は本当に時間がいなくなったのかを確かめるべく恐る恐る凹みから顔を覗かせる。辺りは木々があるだけで何もなかった。
安堵した佐々木さんは女性がいないこと確認後、最後に離散した場所まで戻ってくるとそこに女性から逃れることができた杉田さん、畑中さん、上本さんが戻ってきていた。4人は再び合流すると家まで帰って来ることが出来た。
杉田さんは話す。今まで生きてきた中で一番56されそうになった。あのときに味わった恐怖体験は今でも忘れられない。

8月23日になんば白鯨様で行われるオカルトコンペのテーマ BBAに纏わる恐い話において恐怖要素プラス情景を交えた改訂版丑の刻参りを掲載してみた。
人から聞いた話なので、私自身も神社にはお詣りしたことがあるので、杉田さんが語った経験にプラス私がお詣りした際に見た情景も合わせながら改めて丑の刻参りという話をした。
因みに神社では今でも丑の刻参りが行われている。
神社はパワースポットとしても知られているのだが、参拝客が訪れるまでに神社の宮司が周辺の山々の木々に藁人形が刺さっていないかを必ず確認のためパトロールを行い見つけたら取り除いている。
見つかった藁人形の一部はオカルトコレクターとして有名なあの方が所有する呪物の一つになっている。
私は2回神社にお詣りしたが、藁人形は見たことはない。そのかわりに境内に飾られてある絵馬に恐い内容の絵馬があったのだけは強烈に覚えている。
そんなことを絵馬に書くのかって内容がざっくりだが以下の通り。
◯◯(相手の名前)と両思いになりたい
◯◯(相手の名前)は◯◯◯◯(婚活アプリ)に夢中
アプリでマッチングした女と遊んだら許さない
私をただの遊び相手としか思ってなかったら許さない
私のほうが誰よりも◯◯(相手の名前)を思っている
一言
神頼みする内容ぢゃないでしょうが。
それどころか、遊び相手としか見られていないってことはそれ以上の展開は望めないよね?ね。
絵馬は内容によっては強烈な呪物と化す場合がある。思いが一途であればあるほど神頼みしたくなる心情は若いうちならあるかもしれない。だが、冷静になり相手の見方やどうしたら特別に思ってもらえるかを見極めなければ思いは想いでしかない。
(END)
