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【第12章】池袋の夜、薫・レイ・ユウジ──三人だけの禁断密会と支配・服従の官能

池袋の夜は、人の視線をほどく。レイが予約した個室、その扉の奥で待っていたのは、彼女だけではなかった。柔らかな灯りの下、交わる視線と、膝の下で忍ぶ指先。嫉妬と高揚が、甘く絡み合っていく。やがて三人は、夜の奥へと足を踏み入れた。支配と服従、愛と欲望が交差するその場所で、薫はもう二度と“元の妻”には戻れないことを悟る。

💬もしあなたなら、この扉を開けますか? それとも…



1、木曜日の夜に仕掛ける女の支度|レイとの会食前、薫が“妻”から“女”へ変わる瞬間

木曜日。レイからのメッセージで決まった会食の日が、とうとうやって来た。朝から、薫の胸は落ち着かない。前日、水曜日。出張中の夫にメッセージを送った。

「明日、レイさんと食事なんだけど…子供、一人でも大丈夫かしら?」
「レイさんと…か。まあ、もう三年生だし大丈夫だろう」
「一緒に行きたいんでしょう?」
「いや、そんなことないよ、楽しんでおいでよ」

文字から、かすかな未練がにじんでいた。そして今日。子供を送り出し、家事を済ませ、濡れたTシャツとショートパンツを脱いで下着ごと洗濯機へ。

手に取ったのは、夫婦関係がかつて冷え切っていた頃によく選んでいたベージュのランジェリー。今の自分が身につけると、意味が違う。胸がわずかに熱くなる。

夕食を用意してメモを添え、薫は再び浴室へ。まるで清める儀式のように、レイのために念入りに洗い流した。バスタオルを巻き、静かに寝室へ。

クローゼットを開け、”今日は何にしようか…”と小さくつぶやく。引き出しを開ける手つきは、まるでレイに見せることが前提であるかのように、わずかに熱を帯びていた。

黒の上下、白の上下、そして淡いピンク。スリップとともにベッドに並べられたそれらを見つめる。この瞬間こそ、妻でも母でもない“女”へと変わっていく、薫にとっての至福の時間だった。

洋服は、体のラインが際立ち、胸元が開いた淡いピンクのワンピース。”これに合わせるなら…これね”手に取ったのは、同じ色のレースの下着。鏡の前でバスタオルを緩めると、ストンと床に落ちた。

(ショーツ…いや、パンティだったわね)

以前、夫から”ショーツじゃなくて、パンティだろ”と言われたことが妙にしっくりきて、それ以来、自分の中でもそう呼ぶようになった。

男の人って、どちらの呼び方のほうが熱くなるのかしら。そんな些細なことを思い浮かべているうちに、手の動きが自然とゆっくりになる。

布地を指先でなぞり、右足を通す前に、わざと一呼吸置く。もう一方の足を通し、腰の位置までそっと引き上げる動作も、鏡の中の自分に見せつけるように、ゆったりと時間をかけた。思考と仕草が溶け合い、胸の奥でじわじわと熱が広がっていく。

鏡に映る自分を確かめながら、この一連の所作を丁寧に行うこと、それが薫にとって、“女”である証だった。そして、もう一つの秘密。

鏡の向こうに、誰かのいやらしい視線を感じているふりをして、わざと見せるように身を動かす。その仕草は、自分を焦らせるための、甘く危うい遊びでもあった。

夜、一人で眠る前、この動作を思い出すだけで、熱がこみ上げ、指先が迷い込むきっかけになることもある。しかし、今夜は違う。これからレイと会う。

(今日は私が攻める側? それとも攻められる側?どんなシチュエーションが待ってるの?)

今夜を迎える高揚感を、夫は知らない。鏡の前で視線を誘うように身を動かしながら、胸の奥でこれから会う相手の名を繰り返していることなど――。

2、池袋の夜、三人だけの密会が生んだ禁断の高揚

レイとの待ち合わせは、18時、池袋東口。人波を抜け、横断歩道を渡ってビルの間を少し進むと、地下へと続く階段の先に、レイが予約したという個室の和食店があった。

エレベーターに乗り込むと、ふと腕時計に目をやる。17時45分、まだレイは来ていないわね、と薫は思った。

ドアが開くと、すぐ目の前にスタッフが立っていた。

「18時に、2人で○○です」と告げると、
「ありがとうございます。3名様でご予約の○○様ですね?」

”3名?”一瞬、言葉が耳に残る。誰か来るのかしら、と薫は胸の奥に小さなざわめきを覚えた。

スタッフに案内され、薫は4人掛けの個室へ通された。テーブルの上には、柔らかなオレンジ色の灯りが落ちている。板張りの壁がその温もりを受け止め、空間全体に静かな柔らかさを広げていた。

ここにいると、時間の感覚さえ忘れてしまいそう…まさにレイらしい選び方だと思った。

まもなく、スタッフの足音に混じって、もうひとつの軽やかな足音が近づいてくるのがわかった。ドアが軽くノックされ、静かに開く。そこから現れたのは、すらりとした立ち姿のレイ。

真っ白な大きなリボンを上品に結んだ、透明感のあるブラウス。そして深いスリットの入った濃いブラウンのタイトスカートが、歩くたびに控えめな色香を漂わせる。その姿は、薫の記憶にある“上品なレイ”そのものだった。

レイが少し前屈みになり、テーブル越しに小声で囁いた。

「薫さん…どうしたの? 目つきが、いやらしいわよ」

薫はハッとし、思わず笑みを浮かべる。

「もう…レイったら。だって、好みなんだもの」
「あら…そう?」
「薫さんこそ、ランジェリーが透けて見えてるわよ」

レイはふっと唇の端を上げ、そのまま視線を外さずに、テーブルを挟んだ対面の席へと静かに腰を下ろした。

レイがメニューを閉じながら、ふと薫に言った。

「料理は、もう一人が来てからでいいかしら?」
「あれ? 誰か来るの?」
「うん…そうねぇ」

その言い方に、薫はピンとくる。…まさか。ちょうどその時、廊下の奥からもうひとつの足音が近づいてきた。

「すみません、遅れて…ジムが終わって、急いできました」

声とともに、ユウジが扉を開けて入ってきた。

(やっぱり、そうだったのね。レイったら、私に見せつけて、嫉妬させようとしているのかしら…)

ユウジは、自然な動きでレイの隣に腰を下ろした。その距離感や醸し出す空気が、以前とはまるで違う。

(…レイったら、もうすっかり、ユウジを惹きつけているのね)

少しの沈黙のあと、レイが口を開いた。

「あら、二人は久しぶりよね?」
「私とユウジは…」
「もう、わかってるわよ。その雰囲気を見れば」

レイは軽く笑い、ユウジに向き直る。

「ユウジ、好きなもの頼んで」
「はい…レイさんはビールからですよね? 薫さんも同じですか?」

そのやり取りの間、レイは右肘をテーブルにつき、熱い目でメニューを覗き込むユウジをじっと見つめていた。そして、テーブルの下で、ユウジの太ももにそっと手を置いているのが、向かいに座る薫にもはっきりと見て取れた。

胸の奥で、嫉妬と興奮と戸惑いが同時に渦を巻く。熱が上がるのを感じながらも、視線を逸らすことができなかった。

レイの指先が、テーブルの下でユウジの膝を軽く撫でる。その動きはまるで薫に見せるためのもののようで、レイの視線が一瞬こちらへ流れた。ユウジは恥ずかしがりながらも、レイの手、指先に触れられる心地よさに、目元がわずかに緩んでいた。

時折、薫と目を合わせるその表情は、どこか後ろめたさと甘さが入り混じっていた。胸の奥で、嫉妬と興奮がせめぎ合う。やめてほしいのに、視線を逸らせない。そんな自分に気づき、薫は息を整えた。ときおり、ユウジの肩がわずかに跳ねる。

この夜は、きっとただの食事会では終わらない。視線と指先だけで熱が膨らんでいく…その続きを、あなたにも覗いてほしい。
でも、ここから先は、薫の“扉の奥”で起きたこと。もう、元の彼女には戻れない瞬間が、このあと訪れる。

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