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「モノが売れない時代」に選ばれるブランドの作り方―世界観・データ・顧客とのつながりで学ぶD2C戦略「D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略」を小学生でも分かるように説明します


D2C「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略

著者 佐々木 康裕




はじめに

このnote記事は、無料部分の「小学生でもわかる解説」だけでも十分にご理解いただけます。

有料エリアには「音声考察(日本語版・英語版)」と本のエッセンスをより深く理解するための「大人向けの解説」を用意しております。

なお、この記事は無料・有料・音声考察のすべてにおいて、原著の引用は一切使用しておりません。すべて、私自身の言葉のみで構成したものです。



みなさんは、普段自分の服や持ち物を買うとき、どのようにして選んでいますか?

お店に行って並んでいるものの中から選んだり、インターネットの通信販売で検索して買ったりしている人が多いかもしれません。

しかし今、世界中のお店のルールや買い物のやり方が、大きく変わろうとしています。

その大革命の中心にあるのが「D2C」という新しいビジネスの仕組みです。

この記事では、今世界中で注目されている「D2C」という新しい買い物の形と、これからの時代に選ばれるブランドの秘密について説明していきます。


買い物の世界を変える大革命「D2C」とは何か?

「D2C」というのは、「ダイレクト・トゥ・コンシューマー」という英語の頭文字をとった言葉です。

日本語にすると、「お客さんに直接届ける」という意味になります。

これまでの伝統的なブランドは、自分たちで商品を作った後、スーパーマーケットやデパート、家電量販店などの「別のお店」に商品を置いてもらって販売していました。

しかしD2Cのブランドは、そういった間に別のお店を挟まずに、インターネットや自分たちだけの特別なお店を使って、お客さんと直接つながって商品を売ります。

ただ、「インターネットで直接売る」だけなら、今までにもありました。

D2Cの本当にすごいところは、二つの全く違う力をキメラのように合体させている点にあります。

一つは、スマートフォンのアプリやインターネット、そしてお客さんのデータを分析する「テクノロジー」の力です。

そしてもう一つは、オシャレな雑誌や映画のような、美しくて魅力的な「世界観」を作る力です。

今まで、モノを作る「メーカー」と、インターネットのサービスを作る「テクノロジー企業」、そして雑誌や映画を作る「メディア企業」は、全く別の存在でした。

しかしD2Cは、その全てを兼ね備えた新しい存在なのです。

世界中では今、このD2Cの仕組みを使って、創業してたった数年で何百億円も売り上げるような大成功をする会社が次々と生まれています。

そして反対に、今まで通りのやり方にあぐらをかいていた昔からある巨大なお店が、次々と倒産したりお店を閉めたりする事態が起きています。


モノではなく「世界観」と「楽しい生活」を売る。

今の時代、日本の周りを見渡すと、安くて品質の良いものがたくさんあふれていますよね?

昔なら「壊れにくい」「機能が素晴らしい」というだけでモノが売れましたが、今は機能が良いのは当たり前になりました。

そこでD2Cのブランドは、ただの「モノ」を売るのではなく、その商品を使った「素晴らしい生活」や「世界観」を売ることを大切にしています。

世界観とは、そのブランドが持っている特別な空気や雰囲気のことです。

たとえば、ディズニーランドに行くと、流れている音楽や建物の色、スタッフの接客まで全てが特別な魔法の世界で統一されていますよね。

また、アップルストアに行けば、ガラス張りの明るい店内で、スタッフがフレンドリーに話しかけてくれるという、どこの国でも同じ特別な空気が流れています。

D2Cブランドは、インターネットや自分たちのお店で、これと同じような独自の特別な空気を作り出しています。

具体的な例を見てみましょう。

アメリカの「アウェイ」というスーツケースのブランドがあります。

この会社は、ただ荷物を入れる丈夫な箱としてのスーツケースを売っているわけではありません。

彼らが売っているのは「旅のある素晴らしい生活」です。

そのため、アウェイのウェブサイトには、商品の説明よりも、美しい旅行先の風景や、楽しそうに旅をする人たちの写真がたくさん並んでいます。

さらに驚くことに、アウェイは自分たちで「旅」をテーマにした本格的な雑誌まで作って販売しています。

お客さんは、その雑誌を読んだり美しい写真を見たりして「旅行に行きたいな」という気持ちになり、その結果としてスーツケースを買いたくなるのです。

また「キャスパー」というマットレスのブランドは、ただの寝具ではなく「質の高い睡眠と健康」を売っています。

お店に行くと、綺麗なベッドルームがいくつも用意されていて、さらにニューヨークの街の真ん中には、お金を払ってお昼寝ができる特別な施設まで作ってしまいました。

彼らもまた、睡眠についてのオシャレな雑誌を作っています。

このように、機能ではなく「どんな生活ができるか」を伝えることが、これからのブランドには絶対に必要なのです。


お客さんは「買う人」ではなく「一緒にブランドを育てる仲間」

これまでのお店にとって、お客さんというのは「レジでお金を払ってくれる人」でした。

お店はテレビのコマーシャルなどで一方的に宣伝をし、お客さんはそれを見て買うだけという関係でした。

しかし、D2Cのブランドはお客さんを「友人」や「一緒にブランドを作る仲間」として扱います。

「グロッシアー」という化粧品のブランドは、お客さんからのSNSのコメントに全て返信し、毎日たくさんのおしゃべりをしています。

そして、新しい商品を作る時には「どんな商品が欲しい?」とお客さんに相談し、何百人もの意見を取り入れて商品を作ります。

また、商品を買ってくれた人には可愛いステッカーをプレゼントし、お客さんがそれを自分の持ち物に貼って写真をSNSにアップするのを応援しています。

さらに、熱心なお客さんを「営業担当」に任命し、社員と同じ名刺を渡して宣伝してもらう仕組みまであります。

お客さんはただ買うだけではなく、ブランドの一部になって一緒に活動しているような気持ちになれるのです。

また、今の若い世代の人たちは「地球の環境に優しいか」「働く人を大切にしているか」という、会社の正しい姿勢をとても気にするようになっています。

アメリカの「エバーレーン」という服のブランドは、服を作るのにかかった材料費や運送費などの「原価」をすべてインターネットで正直に公開しています。

普通のブランドなら絶対に隠したい秘密を、あえて全部見せるのです。

さらに、毎週火曜日には服を作っているベトナムの工場からライブ中継をして、どんな人がどんな場所で働いているのかをお客さんに見せています。

ある年の大規模なセールの時には、エバーレーンはそこで出た利益をすべて使って、ベトナムの工場で働く八千人のスタッフ全員に、バイク通勤のための安全なヘルメットをプレゼントしました。

こうした嘘のない正直な姿勢や、社会を良くしようとする行動がお客さんの心を強く打ち、「このブランドを応援したい」という熱烈なファンを生み出しているのです。


データとテクノロジーを使って「一人一人に優しくする」魔法。

データやテクノロジー、AIと聞くと、少し冷たい機械のようなイメージを持つかもしれません。

しかし、本当に優れたD2Cブランドは、集めたデータを「お客さん一人一人に優しくする」ために使います。

例えば「キュロジー」というニキビなどの肌荒れを治す薬のブランドがあります。

昔は、肌に悩みがあっても病院に行くのが恥ずかしかったり、自分に合う薬が見つからずに何年も苦しんだりする人がたくさんいました。

しかしキュロジーは、スマートフォンのチャットを使って、お医者さんに直接悩みを相談することができます。

そして、その人の肌のデータをもとに、その人専用に調合された薬が毎月家に届くのです。

それだけではありません。

薬を使い始めると、毎日スマートフォンに「今日の肌の調子はどう?」と気遣うメッセージが届きます。

しかもそのメッセージは毎日少しずつ言葉遣いが違い、機械と話しているのではなく本当の人間に心配してもらっているような気持ちになります。

最初の十日間使い続けるとご褒美のバッジがもらえるなど、楽しく使い続けられる工夫もされています。

こうしてデータを使うことで、遠くにいても一人一人の悩みに寄り添う「優しいデジタル」を実現しているのです。

また「ウォービーパーカー」というメガネのブランドは、インターネットでメガネを買うときの不安を見事に解決しました。

彼らは、お客さんが気になるメガネを五つ選ぶと、無料で自宅に試着用のメガネを送ってくれます。

お客さんは家でゆっくり試着して、合わなかったものは送り返せばいいのです。

驚くのはその間の気配りです。

注文してからメガネを返却するまでの間に、なんと九回もメールを送ってくれます。

「注文を受け付けました」「いま配送しています」「スタッフのおすすめはこれです」「無事に届きましたか?」「迷ったときはいつでも相談してね」「試してくれてありがとう」といった、本当に親切で温かい手書きのイラスト入りのメールが届くのです。

これにより、たとえ今回はメガネを買わなかったとしても、お客さんはこのブランドのことが大好きになってしまいます。


お店自体が「雑誌」や「テレビ番組」のようなメディアになる。

昔のブランドは、テレビの十五秒のコマーシャルや、雑誌の限られたページでしか宣伝ができませんでした。

そのため、短い時間で商品名を連呼して覚えてもらうしかありませんでした。

しかし今は、インターネットやSNSがあるため、時間や場所の制限が一切ありません。

D2Cのブランドは、この無限の広がりを使って、まるで連続ドラマのように深く長い物語をお客さんに届けています。

例えば、ブランドの思いを伝えるために、文章のブログを書くだけでなく、「ポッドキャスト」というインターネットのラジオ番組をやっているブランドがたくさんあります。

イヤホンを通してブランドを作る人の生の声を聞いていると、まるで隣にいる友達から話しかけられているような親しみを感じます。

日本にも素晴らしい例があります。

「北欧、暮らしの道具店」というインターネットの雑貨屋さんは、商品を売るだけでなく、自分たちで本格的なドラマや映画を作ってしまいました。

そのドラマの中には、お店で売っているお皿や花瓶、家具などが自然に登場し、登場人物たちがそれを使って素敵な生活を送っています。

お客さんはそのドラマを見ることで、「こんな素敵な生活がしたいな」と心から感じ、結果としてそのお皿や家具を買いたくなるのです。

このように、ただ商品の良さを叫ぶのではなく、雑誌やラジオ、映画などの「メディア」になって、楽しいコンテンツをどんどん生み出していくことが、今のブランドには求められています。

商品を単なるモノとして扱うのではなく、商品そのものを「物語の一部」として発信しているのです。


売ったら終わりではない、一生続く新しい関係の作り方。

みなさんがスーパーでジュースを買うとき、レジでお金を払ってジュースを受け取ったら、そこでお店との関係は終わりますよね?

お店の人は、あなたがいつどこでそのジュースを飲んだのか、美味しかったのかどうかを知ることはありません。

これを「一度きりの取引」と呼びます。

しかしD2Cの世界では、商品を売った瞬間は「関係の終わり」ではなく「新しい関係の始まり」だと考えます。

これを「カスタマーサクセス(お客さんの成功)」と呼びます。

お店にとってのゴールは「商品が売れたこと」ではなく、「お客さんがその商品を使って、本当に満足して幸せになっていること」なのです。

例えば、アウェイのスーツケースは十年間の返品保証がついていますし、キャスパーのマットレスは百日間使ってみて気に入らなければ返品することができます。

これは、お客さんに絶対に失敗してほしくない、本当に満足してほしいという強い思いの表れです。

こうして、買った後も手厚くサポートしてくれて、SNSで楽しくおしゃべりを続けてくれるブランドのことを、お客さんはどんどん好きになっていきます。

すると、季節が変わるたびに新しい服を買ってくれたり、別の種類の小物を買ってくれたりと、長い時間をかけて何度も何度も買い物をしてくれるようになります。

これを「LTV(一生の間に使ってくれるお金の合計)」と呼び、D2Cブランドはこの数字をとても大切にしています。

さらに、本当にブランドを好きになったお客さんは、誰に頼まれなくても自分のSNSで「このブランド最高だよ!絶対に使った方がいいよ!」と熱心に宣伝してくれます。

このお客さんの口コミを見た別の人が新しく商品を買って、またその人がファンになって宣伝してくれる。

このように、ぐるぐると良いサイクルが回り続けるのが、新しい時代のモノの売れ方なのです。


小さな会社だけでなく、世界中の巨大な会社も変わり始めている。

ここまで紹介してきたD2Cのブランドは、どれも若い人たちが数人で立ち上げた新しいベンチャー企業ばかりでした。

しかし今、この新しいやり方のすごさに気づき、世界中の昔からある巨大な大企業も、自分たちのやり方をD2Cに変えようと必死に努力しています。

スポーツシューズで世界的に有名な「ナイキ」もその一つです。

ナイキはこれまで、世界中の靴屋さんなどに商品を降ろして売ってもらっていました。

しかし今では、スマートフォン用のナイキ専用アプリを作り、お客さんと直接つながることに力を入れています。

このアプリには、スマートフォンのカメラで自分の足を撮影するだけで、自分にぴったりの靴のサイズを教えてくれるすごい機能がついています。

また、ニューヨークにできたナイキの巨大な新しいお店では、お客さんはスマートフォンを見ながら買い物をします。

気になる服があればアプリで試着室に用意するように頼むことができ、買うときもレジに並ぶ必要はなく、商品のバーコードをスマートフォンで読み取るだけでお金を払ってお店を出ることができるのです。

アプリと現実のお店の体験が、見事に合体しています。

さらに、アメリカにある「ウォルマート」という世界で一番大きなスーパーマーケットの会社も変わろうとしています。

ウォルマートは、「とにかく安い」という理由で大きくなりましたが、若い世代の人たちからはあまり好かれていませんでした。

そこで彼らは、若者に人気のD2Cの会社を何百億円もかけていくつも買い取り、自分たちの会社の中にD2Cのチームを作りました。

ウォルマートが持っている全米の膨大なお客さんのデータと、D2Cのブランドが持つ世界観やインターネットの技術を掛け合わせることで、これまでになかった新しい魅力を生み出そうとしているのです。

このように、世界中のあらゆるお店やブランドが、テクノロジーの力を使ってお客さんのことを深く理解し、素敵な世界観で直接つながる「D2C」の形へと進化しようとしています。

私たちが大人になる頃には、買い物の常識は今とは全く違うものになっているはずです。

ただお金を払ってモノを手に入れるだけの退屈な買い物は減り、自分が本当に共感できる物語や世界観を持ったブランドと、まるで友達のようにおしゃべりをしながら、自分たちの生活を豊かにしていく。

そんな楽しくて新しい買い物の未来が、すぐそこまで来ています。

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