25 決断
診察室では、毎日小さな決断が繰り返される。
どの薬を使うか。どの治療を選ぶか。病気とどう付き合うか。
説明を尽くしても、患者はなかなか決められない。それはそうだ。結果が見えない選択を、慣れない場所で迫られているのだから。
では、決断の責任は誰にあるのか。
保険診療では、過程に対して費用が発生する。全力を尽くせば、結果そのものは問われない。責任はどこか、ふわふわしたところにある。美容医療では違う。結果が思わしくなければ返金されることもある。責任は医療者にある、という暗黙の了解だ。
どちらが正しいのか、私にはまだわからない。
ただ、若い頃の自分はそれを考える前に、ただ背負っていた。治らないとき、自分の力不足のように感じた。「なんとかしなければ」という思いが、じわじわと重くなっていった。
結果は、誰か一人が作るものではない。たぶん、そういうことだと思う。今は。
だから、そんなに背負わなくていい。
30歳の自分に。どこかで目立たず続けているあの医師に。そして、たぶん今の自分にも。
