[詩] 天


天さんが言っていたこと今なら少しわかる。
あの時は宇宙人が何か話しているぐらいしか思わなかったけど。
陽だまりを歩くのは難しい、かと言って、ずっと真夜中にもいられない。
伸ばしても掴んでくれないから、今日も洗濯する。
黒く滲んだ袖が広がっていった。
天さんは心についても話していた。
未だに心がどこにあるのかはわからない。
背景に透過してぷかぷか浮いているのかもしれない。
三十七兆を隠れ蓑にしているかもしれない。
もしかしたら天さんが持っているのかもしれない。
今は紛れ込んだ石の欠片が気になっている。
そして、鳩は意外と可愛い。
夕立。
天さんと会ったときと同じ。
しなやかな手で艶やかな黒い髪を耳にかけるしぐさ。
絵が好きだと言っていた。
好きじゃなかった。
今でも半分くらいは宇宙人なんだろうと思っている。
もしくはかぐや姫。
空を眺めて、足音を探す耳。
散らかった生命維持装置の抜け殻を片すのは億劫で、玄関に枕を置いておこうと思う。
昇華しきれない食べ物を口にするのはやめておこう。
どこかにある思考の片隅に平然と居座る明日には退去いただいて、夢のなかの破天荒に舞い戻る。
そういうことでしょ、天さん。

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