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【落語お噺】地方からきた一文無しの青年のサクセスストーリー

先日寄席で落語を聴きに行ってきた、お噺のメモ。

落語といえば、人間のダメなところやマヌケなところを笑い飛ばすエンターテインメントのイメージがありますが、先日寄席で聴いたお噺(はなし)は、一味違う「泥臭くも前を向く人間のエネルギー」が詰まった人情噺。とても面白くて、記憶が鮮明なうちに記録として残しておこうと思います。

今回登場したのは、 「地方から江戸に出て来てすぐに一文無しになった男」と、 「それを見かねて拾ってくれた心優しい豆腐屋の親方」。 舞台は、大都会・江戸の街と、活気あふれる豆腐屋さん。 「ひたむきに頑張る男」と「江戸の街の人々」が織りなす、クスッと笑えて最後は心がじんわり温まるサクセスストーリーです。

【ストーリー(あらすじ)】

① 故郷を飛び出し、江戸での挫折と出会い ある日、山梨(甲州)の身延から「江戸で出世するぞ!」と大志を抱いて一人の男(善吉)が出てきます。ところが、大都会についた途端にお金をすられて一文無しに。お腹がペコペコで倒れそうになりながら、通りかかった豆腐屋の店先で売り物にならない「おから」を思わず盗み食いしてしまいます。若い衆に見つかって怒られているところへ、豆腐屋の親方が通りかかります。事情を聴いた親方は、「これも何かの縁だ」とお店で雇ってあげることにしました。

② 泥臭い努力と、まさかの大出世 さて、命を救われた男は、恩を返すために毎朝早くから一生懸命、真面目に働きます。大きな天秤棒を担ぎ、「豆腐ぃ〜、生揚げ、がんもどき〜!」と威勢のいい声を響かせて街へ売りに出ると、彼が若くてイケメンなこともあり、近所のおばさんたちがこぞって善吉の豆腐を買っていきました。 おかげで豆腐屋さんはどんどん成長し、善吉はお世話になった豆腐屋の夫婦に隠居するためのお家も建ててあげます。そんな善吉の誠実な人柄は、瞬く間に江戸の街で大評判になっていきました。その頑張りとまっすぐな人柄に惚れ込んだ親方夫婦は、なんと一人娘の婿養子に彼を迎え入れることに。一文無しだった男は、ついに江戸の立派な豆腐屋の主人になるという、見事な出世を遂げます。

③ 粋なハッピーエンドとオチ めでたく結婚し、お世話になった故郷のおじさんへ報告するために、綺麗なお嫁さんを連れて甲府へ向かう道中のこと。近所の人から「おや、お嫁さんと2人でどこへ行くんだい?」と声をかけられます。男が誇らしげに「へえ、ちょっと甲府(こうふ)へ行ってまいります」と答えると、近所の人が「そいつはいいや!気をつけてな。……おっと、お前さんたちが歩いてる姿を見てたら、なんだか急に豆腐(とうふ)が食べたくなってきたよ」と言って締めくくられます。

【感想】

一文無しからのスタートでも、自分の誠実さと頑張りで周りに認められ、最後には自分の看板(居場所)を手に入れて故郷に錦を飾るサクセスストーリー。その泥臭くも前を向く姿がすごく格好よくて、背中を押されたようでした。

特に、私も山梨出身なので、山梨の地名の「身延」や「甲府」が出てきた時、主人公に一気に親近感が湧きましたし、山梨にまつわるお話があることをすごく嬉しく思いました。落語でこんな人間味のある人生のストーリーを聞いたのは初めてで、とても新鮮でした。

こうやって「一生懸命に生きている人を周りが放っておかない温かさ」は、今も銀座の夜の世界に残っているなと思ったりもしました。そしてこのお話からも「人は助け合って生きていくんだよ」というメッセージを押し付けがましくなく、優しいメッセージとして教えてくれるところだなと改めて思いました。

このお噺をしてくれたのは、橘家圓太郎さん

今回のトリを務め、この素晴らしいお話を聴かせてくださったのは橘家圓太郎さんでした!

お話も初心者の私にとってとてもわかりやすくて聞きやすく、初めて聞いたお噺なのに、事前の知識なしでも情景がありありと浮かんできたのが本当に嬉しかったです!まさに『あかね噺』のアニメを見ているかのように、善吉が天秤棒を担いで歩く江戸の活気ある風景や、湯気の立つ豆腐屋の店先が目に浮かぶようでした。

改めて、演者さん自身の身一つでこの壮大なお噺をされて、江戸時代のことをイメージさせられるこの描写の技術は本当にすごいなと思いました。

江戸の「商売」と現代のシンクロ

今回のこのお話の中で、男が毎朝早くから仕込みをして、自分の声と足で街へ売りに出て、着実にファン(お得意様)を増やしていく描写がありました。これって、現代のビジネスでいう「マーケティング」や「ファン化の戦略」の根本と全く同じだなと思いました。

どんなに時代が変わっても、「第一印象や見た目は大切」だし、「毎日続けて、誠実な姿を見せることも大切」。そして、次第に「あの人の豆腐だから買いたい」と言い合いながら経済が回っていくファン化の流れは変わらないんだなと。

私は以前ライブ配信をしていたので、どこか現代の「ライブコマース」に通ずるところがあるなとも思いました。

今回の圓太郎さんのお話を聴いて、江戸時代への認識や、自分のこれからの挑戦へのエネルギーがさらに深まったような気がします。

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