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BtoB SaaSのAI推薦ランキング2026|ChatGPT・Geminiはどのサービスを選ぶのか

はじめに:SaaSの比較検討は「検索結果」から「AIの候補リスト」へ

「営業管理におすすめのSaaSは?」

「中小企業でも導入しやすいCRMを比較して」

「マーケティング、営業、カスタマーサポートを一元管理できるサービスは?」

こうした質問に対し、ChatGPTやGeminiは検索結果を10件並べるのではなく、数社のサービス名と、それぞれを選ぶ理由をまとめて提示します。

企業側から見れば、重要なのは検索順位だけではありません。AIの回答に候補として入るか、何番目に紹介されるか、どの用途に向くサービスとして説明されるかが、新たな比較検討の入口になりつつあります。

国内では、サイバーエージェントのGEOラボが全国10~60代の男女9,278人を対象に行った2026年2月調査で、検索手段として生成AIを使う人は37.0%に達しました。サービス別ではChatGPTが29.1%、Geminiが15.6%。AIのおすすめをきっかけに商品・サービスを購入・利用した経験がある人は、AI回答を見たユーザーの47.5%でした。これはBtoB SaaSだけを対象にした数値ではありませんが、AI回答が認知だけでなく選択行動にも接続し始めていることを示します。

出典:サイバーエージェント GEOラボ「生成AIのユーザー利用実態調査 第三弾」

本稿では、2026年に公表された海外・国内のAI可視性調査を横断し、次の3点を整理します。

  1. ChatGPT・Geminiを含むAI回答で、どのBtoB SaaSが選択肢に入りやすいのか

  2. 上位サービスは、どのような情報源によって支えられているのか

  3. 日本のSaaS企業がAIの比較候補に入るために、何を整備すべきか


先に結論:2026年の公開データから見える勝者はSalesforce、HubSpot、Zoho

現時点で、CRM、MA、会計、HR、プロジェクト管理などをすべて混ぜた「BtoB SaaS総合ランキング」を客観的に作ることはできません。用途も競合関係も異なるためです。

また、ChatGPTとGeminiの回答は、質問文、国・言語、モデル、Web検索の有無、測定時期によって変わります。1回質問した結果を、そのまま市場ランキングと呼ぶことも適切ではありません。

そこで本稿では、比較可能な公開データがそろうCRMカテゴリを主ランキングとします。

米国のCRM市場を対象に、ChatGPTとGeminiを含む7つのAI回答エンジンから17,264件の回答を収集したBrandi AIの2026年調査では、非指名の購買質問に対する登場率で、次の順位となりました。

順位CRMブランドGEO Awareness読み取れるポジション1Salesforce55%エンタープライズCRMの代表格として広く登場2HubSpot48%CRM・マーケティング・営業を横断する候補として強い3Zoho39%価格・中小企業・統合スイートの文脈で強い4Freshworks25%CRMとカスタマーサポート領域で存在感5Pipedrive24%営業管理・使いやすさの文脈で候補化6Microsoft23%Microsoft製品との統合を含む企業向け選択肢7Zendesk16%顧客対応・サポート領域からCRM比較に登場8Intercom5%会話型サポート・顧客コミュニケーションに強み

GEO Awarenessは、ブランド名を含まない購買意図のある質問に対し、そのブランドがAI回答で1回以上言及された割合です。したがって、厳密には「購入者の支持率」でも「製品品質ランキング」でもありません。AIが比較候補として認識し、回答に含めた割合を示します。

同じ調査のGEO Share of Voiceでも、Salesforce 14%、HubSpot 13%、Zoho 10%が上位3社でした。単に名前が出るだけでなく、CRMカテゴリを説明する際の存在感でもこの3社が先行しています。

出典:Brandi AI「AI Visibility Index for the CRM Market Universe」

属性別では「常にSalesforceが1位」ではない

AIに選ばれるサービスは、質問の条件によって変わります。Brandi AIの属性別分析では、次のブランドが首位でした。

質問・評価軸1位のブランド分析・レポーティングSalesforceカスタマーサービスZendeskイノベーションSalesforce価格ZohoROI・導入効果までの速さHubSpot

つまり、AI推薦対策で狙うべきなのは「すべての質問で1位」ではありません。自社が選ばれるべき顧客条件と用途を定義し、その文脈で第一候補になることです。


このランキングは、どこまで信頼できるのか

AI推薦ランキングは、調査条件を見ずに数字だけを引用すると誤解が生じます。本稿で重視した公開調査を比較すると、対象と指標の違いが分かります。

調査対象・規模AI主な指標注意点Brandi AI米国CRM、17,264回答、2025年12月23日~2026年1月21日ChatGPT、Geminiほか7種類非指名質問での登場率、SOV、引用、センチメント米国CRMに限定。7つのAIを同じ重みで集計Semrush 2026 AI Visibility Index米国126百万プロンプト、22業界、2026年1~4月ChatGPT、Gemini、AI Mode、AI Overviews言及、引用、可視性BtoB SaaSだけの全順位は公開資料上で限定的StockSun国内SFA/CRM/MA/CXの31社、270試行、約4,000引用URL、2026年4月ChatGPT、Gemini、Perplexity推薦順位、言及、引用URL個別企業名と順位は非公開Peec AI約20万回答、570万データ点、2025年9月~2026年3月ChatGPT、Geminiほか8種類リスト記事掲載とAI回答内の登場・順位の関係ブランド別ランキングではなく要因分析

Semrushの2026年版は、2025年版の2,500プロンプトから、米国の1億2,600万プロンプトへ大幅に拡張されました。22業界を対象に、ChatGPT、Gemini、Google AI Mode、AI Overviewsで、ブランドの言及・引用・表示を分析しています。調査期間を通じ、4つすべてのプラットフォームで毎月トップ100に入ったブランドは36社だけでした。

出典:Semrush「2026 AI Visibility Index」発表資料

この結果が示すのは、AI可視性は一つの固定ランキングではなく、AIごとに異なる市場だということです。


日本のBtoB SaaSでは、何が分かっているのか

国内では2026年4月、SFA/CRM/MA/CXの31ブランドを対象に、ChatGPT、Gemini、Perplexityへ30種類の非指名質問を各3回、合計270回実行した調査が公開されています。

この調査では、以下が確認されました。

  • 対象31社の約3割は、3モデルすべてで一度も推薦されなかった

  • Googleの指名検索順位が高くても、AI推薦では中位にとどまるケースがあった

  • 反対に、指名検索で中位以下でも、AI推薦では上位に入るケースがあった

  • 多くのブランドで、引用URLは自社サイトより第三者メディアが中心だった

  • AIでの露出量は、単一のSEO指標よりも、言及される媒体カテゴリの広さとの関連が相対的に強かった

調査では「指名検索2位・AI推薦6位」「指名検索17位・AI推薦3位」という乖離例も示されました。ただし、企業名別の順位は公開されていません。

出典:StockSun「セールス・マーケティングSaaS業界 AI検索実態調査2026」

したがって、現時点で「日本のBtoB SaaS総合1位は〇〇」と断定できる、再現可能な公開データは確認できません。今後ランキングを作るなら、少なくともカテゴリ、対象ブランド、プロンプト、試行回数、AIのモデルと設定、集計式、測定期間を開示する必要があります。


AIはBtoB SaaSを推薦するとき、どのサイトを参照しているのか

サービス名のランキングだけでは、対策にはつながりません。重要なのは、AIが上位サービスを説明・推薦する際に、どのサイトを根拠として使っているかです。

国内SaaS・BtoBの総合ドメイン引用ランキング

Brand UPは、SaaS・BtoB領域の10カテゴリについて、ChatGPT、Gemini、Google AI Overviews、Google AI Modeの引用元を2025年11月から2026年1月まで計測しました。公表ページでは合計3,000プロンプトを分析し、各ドメインが引用元として1回以上表示されたプロンプトの割合を「AI引用スコア」としています。

全10カテゴリを横断した引用元ランキングは次のとおりです。

順位サイトドメイン総合スコア引用されたカテゴリ数1ASPICaspicjapan.org57.3%10/102BOXIL SaaSboxil.jp55.3%9/103ITトレンドit-trend.jp52.3%10/104ITreviewitreview.jp50.3%10/105お名前.comonamae.com33.3%10/106LISKULliskul.com26.7%1/107Mazricamazrica.com20.3%4/108起業LOGkigyolog.com20.3%10/109ネクストSFAnext-sfa.jp19.0%9/1010ミツモアmeetsmore.com18.3%10/10

出典:Brand UP「AI Search Cited Award 2026上期 SaaS・BtoB部門」

最も引用されたのは比較サイトではなく、クラウドサービスの紹介・比較を行う業界団体ASPICでした。続くBOXIL、ITトレンド、ITreviewを含め、上位4サイトはいずれも総合スコア50%を超えています。

ここでいうスコアは、サービスの品質や利用者シェアではなく、調査対象の質問に対して引用元として表示された割合です。AIから引用されやすいサイトを示す指標であり、掲載企業が必ず推薦されることを意味するものではありません。

カテゴリによって「強い参照元」は大きく変わる

同調査では、カテゴリごとに異なるドメインが首位になりました。

カテゴリ引用元1位スコア特徴勤怠管理・人事労務BOXIL SaaS86.7%複数の比較記事が幅広い質問に対応CRM・SFAMazrica83.3%ベンダー公式の比較・選び方記事が強いMA・メールマーケティングMazrica66.7%カテゴリ解説を含む公式コンテンツが引用チャットボット・CSツールBOXIL SaaS90.0%調査内で最も高い単一カテゴリスコア会計・経費精算お名前.com73.3%料金・企業規模別の比較記事を展開広告運用・SEO解析ITトレンド/ITreview各66.7%比較記事とユーザーレビューが同率首位認証・エンドポイントセキュリティSentinelOne63.3%ベンダー公式の教育コンテンツが首位電子契約・リーガルテックLegalOn Technologies80.0%専門解説と比較記事を持つ公式サイトが首位

この結果から、SaaSの引用元は「比較サイトだけ」とは限らないことが分かります。比較サイトが強いカテゴリもあれば、Mazrica、SentinelOne、LegalOn Technologiesのように、ベンダー公式サイトのカテゴリ解説・比較記事・教育コンテンツが首位になるカテゴリもあります。

別の国内調査でも、比較・レビュー媒体への集中を確認

AKARUMIも2026年5月、SaaSカテゴリの300プロンプトを対象に引用ドメインを調査しています。同社は具体的な上位媒体として、ASPIC、ITトレンド、BOXIL、LISKUL、アイミツSaaS、ITreviewを挙げ、単なる製品紹介ではなく、比較表、料金、機能差、口コミ、企業規模別の向き不向きが整理されたページが引用されやすいと報告しています。

出典:AKARUMI「SaaS企業のLLMO/AIO対策」

Brand UPとAKARUMIは調査期間、プロンプト、集計方法が異なるため、数値を直接比較することはできません。しかし、ASPIC、BOXIL、ITトレンド、ITreviewなどが複数調査で挙がっている点は、国内BtoB SaaSで比較・レビュー媒体が重要な参照層になっていることを補強します。

Brandi AIのCRM調査では、ChatGPTとGeminiを含む7つのAI回答エンジンがCRM関連の回答で引用したドメインを、「企業公式」「メディア」「レビュー・比較」「ユーザー投稿」の4種類に分けて集計しています。

CRM関連のAI回答で引用された参照元TOP5

順位企業公式ドメインメディアレビュー・比較サイトユーザー投稿・コミュニティ1SalesforceForbesTrustRadiusReddit2NutshellTechRadarG2YouTube3Monday.comPCMagTechnologyAdviceLinkedIn4ZendeskBusiness News DailyGartnerWikipedia5HubSpotSolutions ReviewCapterraMedium

出典:Brandi AI「AI Visibility Index for the CRM Market Universe」

調査対象は米国のCRM市場で、2025年12月23日から2026年1月21日までに取得した17,264件のAI回答です。ChatGPT、Gemini、Copilot、Grok、Google AI Mode、AI Overviews、Perplexityを対象とし、7つのAIを同じ重みで集計しています。

この表から分かるのは、AIがCRMを推薦するとき、公式サイトだけで判断しているわけではないことです。

  • 公式サイトで、機能・料金・仕様を確認する

  • ForbesやPCMagなどの専門メディアで、第三者の説明を確認する

  • TrustRadius、G2、Capterraなどで、比較情報や利用者評価を確認する

  • Reddit、YouTube、LinkedInなどで、実際の利用文脈を補足する

この複数の情報層が組み合わさり、「どのサービスが、どの企業に向いているか」という回答が作られています。

CRM領域では「レビュー・比較サイト」が明確な参照層になっている

特に注目したいのが、TrustRadius、G2、TechnologyAdvice、Gartner、Capterraです。5つすべてが、製品の比較検討に使われる第三者サイトです。

BtoB SaaSは、料金、機能、対象企業、導入難易度、サポート、外部連携など、比較項目が多い商材です。そのためAIにとっても、複数製品の情報が同じ形式で整理された比較・レビューサイトは、回答を組み立てやすい情報源になります。

国内外で共通する「4つの情報層」

海外のTrustRadius、G2、Capterraに対し、国内ではBOXIL、ITreview、ITトレンド、ASPICなどが比較検討の情報層を形成しています。さらに、AtoZ DesignはSaaS向けLLMOの実務解説で、ITreview・BOXILによる第三者評価、PR TIMESによる企業活動の発信、YouTube、LinkedIn、X、note、Qiitaによる外部発信を組み合わせる必要性を示しています。

出典:AtoZ Design「SaaS・DX企業のLLMO対策完全ガイド」

AtoZ Designの記事は引用回数を測定したランキング調査ではなく、施策解説としての位置づけです。実測データと実務上の推奨を分けて読む必要があります。

国内外の調査と解説を整理すると、BtoB SaaSの参照元は次の4層に分類できます。

情報層海外の代表例国内の代表例主な役割比較・レビューG2、TrustRadius、CapterraBOXIL、ITreview、ITトレンド、ASPIC機能・料金・口コミ・選び方の横断比較専門メディアForbes、TechRadar、PCMagITmedia、Web担当者Forum、業界専門メディア市場動向、第三者解説、ニュース企業公式Salesforce、HubSpot、Monday.com各SaaSのサービスサイト・オウンドメディア正式な仕様、料金、セキュリティ、専門解説コミュニティ・外部発信Reddit、YouTube、LinkedIn、MediumYouTube、X、note、LinkedIn、Qiita利用体験、専門家の見解、企業活動の補足

3,000万件の引用元調査でもG2が上位

Peec AIが米国で5つのAI検索サービスから3,000万件の引用元を分析した業界横断調査では、上位10ドメインは次のとおりでした。

順位引用ドメイン情報の種類1Redditコミュニティ・口コミ2YouTube動画・レビュー・解説3LinkedIn企業・専門家の発信4Wikipedia基礎情報・企業情報5Forbesビジネスメディア6G2BtoBソフトウェア比較・レビュー7Yelp口コミ・ローカル情報8FacebookSNS・コミュニティ9Medium専門家・企業の解説記事10TechRadarIT製品レビュー・比較

出典:Peec AI「Top domains cited by AI search: Analysis based on 30M sources」

業界横断の調査でも、BtoBソフトウェアの比較・レビューサイトであるG2が6位に入っています。Brandi AIのCRM限定調査と合わせると、BtoB SaaSでは、公式サイト、比較・レビューサイト、専門メディア、コミュニティの4層を整備する必要があると考えられます。


ChatGPTとGeminiは、同じサービスを同じ理由で選ぶわけではない

上位ブランドが重なることはあっても、ChatGPTとGeminiが回答を組み立てる際に引用する情報源は異なります。

Peec AIは2026年3月、米国でChatGPT、Gemini、Google AI Mode、AI Overviews、Perplexityが直接引用した3,000万件の情報源を分析しました。プラットフォーム別の上位引用ドメインは次のとおりです。

AI上位の引用ドメインChatGPTWikipedia、Reddit、Forbes、TechRadar、LinkedInGeminiReddit、YouTube、Wikipedia、Medium、PCMag/Forbes

出典:Peec AI「Top domains cited by AI search: Analysis based on 30M sources」

これは「この媒体に掲載すれば必ず推薦される」という意味ではありません。調査対象は米国で、業界横断の集計です。しかし、SaaS企業にとって重要な違いが見えます。

ChatGPT:説明可能な権威性と第三者評価を押さえる

ChatGPT向けには、専門メディア、比較・レビュー、業界解説、コミュニティ上の評価と、公式サイト上の事実情報が矛盾なくつながっていることが重要です。

特に、次の情報が検証可能である必要があります。

  • 何のカテゴリに属するサービスか

  • どの企業規模・業種・課題に向くか

  • 主要機能、料金、導入条件、連携サービス

  • 競合との違いと、向かないケース

  • 導入実績、顧客の評価、第三者レビュー

Gemini:動画・コミュニティ・Web全体の情報整合性も重視する

GeminiではRedditに加えYouTubeが上位に入り、MediumやPCMag/Forbesも引用されています。公式ページだけでなく、動画の説明欄や文字起こし、第三者による比較、実利用者の発信まで、複数形式で一貫した情報が存在することが重要になります。

日本企業の場合、米国の上位媒体をそのまま追うのではなく、自社の重要プロンプトでChatGPTとGeminiが実際に引用する国内媒体を計測し、その結果から優先順位を決めるべきです。


なぜSalesforce、HubSpot、Zohoが上位に入りやすいのか

公開調査からは、3社に共通する5つの構造が見えてきます。

1.カテゴリとの結び付きが明確

SalesforceはCRM、HubSpotはインバウンドマーケティングとCRM、Zohoは中小企業向けの統合業務スイートというように、ブランド名と用途の結び付きがWeb全体で繰り返し説明されています。

AIが「おすすめCRM」を答えるには、企業名を知っているだけでは足りません。「誰の、どの課題を、どの機能で解決するサービスか」を確信できる必要があります。

2.指名されていない質問でも候補になる情報面を持つ

HubSpotはCRMだけでなく、マーケティング、営業、カスタマーサービス、コンテンツ運用など、購買課題に対応する解説ページを広く持っています。

Semrushの2025年版AI Visibility Indexを解説したMarTechの記事では、HubSpotは「Business and Professional Services」領域で15.4%のSOVを獲得し、Google、Zohoに次ぐ3位でした。SalesforceやAdobeより上位です。なお、この旧調査はChatGPTとGoogle AI Modeを対象とし、Geminiは含みません。

出典:MarTech「Why HubSpot is winning at AI visibility in B2B SaaS」

3.公式情報と第三者情報の両方が豊富

前述のBrandi AI調査では、企業公式サイトに加え、専門メディア、比較・レビューサイト、ユーザー投稿が上位参照元に並びました。AIは企業の主張だけでなく、第三者がその主張をどう説明・評価しているかを使って回答を補強しています。

4.料金・機能・連携・適合条件が構造化されている

AIは「おすすめ」を出す際、単なる知名度ではなく条件適合を説明します。料金ページ、機能一覧、製品ドキュメント、FAQ、連携サービス一覧、セキュリティ情報、導入規模などがクロール可能なテキストとして整理されているほど、回答の根拠を作りやすくなります。

5.比較記事の中で上位に位置する

Peec AIは、BtoB SaaSを含む3市場で約20万件のAI回答、570万データ点を分析しました。その結果、AIが繰り返し引用する第三者のランキング記事で1位に掲載されたBtoB SaaSは、AI回答内でも推定1.17順位早く登場しました。また、BtoB SaaSでは、頻繁に引用されるリスト記事の1位掲載とAI回答への登場率に、プラス16.5ポイントの関連が確認されています。

重要なのは、無数の「おすすめ記事」に載ることではありません。自社の重要質問でAIが実際に引用する比較記事に掲載され、正確な評価と十分な根拠を持つことです。なお、これは観測された関連であり、掲載順位を上げれば必ずAI順位が上がるという因果関係を保証するものではありません。

出典:Peec AI「The Listicle Rank Effect」


「有名なSaaS」でもAIの発見段階では見えない

2X AI Innovation Labが2026年に70社のBtoB企業を分析した調査では、購入者がまだ企業名を知らない発見段階で健全に表示されていた企業は4.3%でした。残る95.7%は、主に企業名をすでに知っている後半の質問で表示される状態だったと報告されています。

出典:2X「2026 AI Visibility Index」

これは「96%の企業が一度もAIに出ない」という意味ではありません。ブランド名を入れれば説明されても、「〇〇に向くサービスは?」という非指名質問では候補にならない企業が多い、ということです。

BtoB SaaSで本当に獲得すべきなのは、次のような非指名の比較検討プロンプトです。

  • 従業員100人規模に向くCRMは?

  • 国産で導入支援が充実したMAツールは?

  • Salesforceより運用が簡単な営業管理ツールは?

  • 製造業の長い商談管理に適したSFAは?

  • 個人情報を扱う企業向けで、国内サポートのあるSaaSは?


BtoB SaaSがAI推薦を増やすための実務7ステップ

Step 1.「カテゴリ×顧客条件×課題」で質問群を作る

ブランド名を含む質問だけでは、発見段階の可視性を測れません。最低でも次の4段階に分けます。

  1. 課題発見:「営業案件の抜け漏れを減らす方法は?」

  2. カテゴリ探索:「中小企業向けSFAのおすすめは?」

  3. 比較評価:「AとBの違いは?」「導入しやすいのは?」

  4. 意思決定:「料金・セキュリティ・支援体制を比較して」

業種、企業規模、利用部門、既存システム、予算、導入目的を掛け合わせ、実際の商談で聞かれる質問に寄せます。

Step 2.ChatGPTとGeminiを分けて反復測定する

1回の回答はランキングになりません。同じ質問を複数回、同じ条件で実行し、AI別に記録します。

追うべき基本指標は次のとおりです。

KPI定義推薦率対象質問のうち、自社が推奨候補として登場した割合第一推薦率自社が最初の候補として登場した割合平均推薦順位自社が登場した回答内での平均位置言及率推奨以外も含め、自社名が出た割合引用率自社または自社に関するページが根拠として引用された割合正答率料金、機能、対象顧客などの説明が正しかった割合競合SOV対象回答内のブランド言及に占める自社の割合

推薦、言及、引用は別の指標です。引用されたから推薦されたとは限らず、名前が何度も出ても否定的な比較かもしれません。

Step 3.サービスページを「AIが比較できる仕様書」にする

トップページの抽象的なコピーだけでは、AIは比較理由を作れません。サービスページには、少なくとも以下を明記します。

  • サービスの定義とカテゴリ

  • 対象企業、向く業種、企業規模

  • 解決する課題と主要ユースケース

  • 機能と、競合と異なる仕組み

  • 料金または料金の決まり方

  • 導入期間、移行、初期設定、支援範囲

  • セキュリティ、認証、データ保管

  • API・外部サービス連携

  • 向く企業と、向かない企業

  • 最終更新日、運営会社、問い合わせ先

Step 4.導入事例を「条件付きの推薦根拠」に変える

「導入しました」「満足しています」だけでは弱い情報です。AIが別の企業にも適用できるよう、事例を構造化します。

  • 導入企業の業種・規模・利用部門

  • 導入前の課題

  • 比較した選択肢と選定理由

  • 導入した機能・運用方法

  • 導入期間と支援内容

  • 定量成果と計測期間

  • 成果が出た条件、残った課題

Step 5.比較・レビュー媒体の情報を整合させる

G2やCapterraだけでなく、日本ではBOXIL、ITreview、ITトレンド、業界メディアなど、カテゴリごとの有力な比較・レビュー媒体があります。ただし、全媒体に同じ優先度で掲載するのではありません。

重要プロンプトごとにChatGPT・Geminiの引用元を集計し、実際に使われる媒体から優先します。製品名、カテゴリ、料金、機能、ロゴ、説明文、導入実績の数字が公式サイトと矛盾していないかも確認します。

Step 6.第三者が引用できる一次情報を作る

独自調査、利用データ、顧客アンケート、業界ベンチマーク、実証実験などは、メディアや比較記事が自社を言及する理由になります。

Ahrefsが75,000ブランドを分析した調査では、AI可視性との相関はYouTube上のブランド言及が約0.737、Web上のブランド言及が0.66~0.71でした。一方、サイト内のページ数との相関は約0.194でした。ページを量産するより、Web全体で検証可能な言及を増やす方が重要である可能性を示します。ただし、相関であり因果関係ではありません。

出典:Ahrefs「Top Brand Visibility Factors in ChatGPT, AI Mode, and AI Overviews」

Step 7.月次で「回答の変化」と「事業成果」を分けて追う

AI回答の改善は中間成果です。最終的には、AI経由の流入、指名検索、資料請求、商談、受注への影響を確認します。

おすすめの管理単位は次の3層です。

  1. AI回答KPI:推薦率、第一推薦率、順位、引用、正答率

  2. 行動KPI:AI経由セッション、指名検索、比較ページ閲覧、資料請求

  3. 事業KPI:商談化率、受注率、受注単価、獲得コスト

AIの推薦率だけが上がっても、対象外の顧客に出ているなら事業成果にはつながりません。売上につながる質問群で計測することが重要です。


AI推薦ランキングを見るときの5つの注意点

1.「言及率」と「推薦率」を混同しない

単に製品名が出た回答と、「第一候補」「最適」と評価された回答は分けて集計します。

2.カテゴリを混ぜない

CRMと会計SaaSを同じ総合表で比べても、購買者の意思決定には役立ちません。カテゴリ別、用途別、顧客条件別に見ます。

3.1回の質問で順位を決めない

生成AIの回答には揺らぎがあります。複数のプロンプトと反復試行が必要です。

4.国と言語を確認する

米国英語圏の結果が、日本語の国内企業向け質問にそのまま当てはまるとは限りません。

5.調査時点を確認する

モデル更新、検索連携、Web上の情報更新により、順位は変わります。ランキングは恒久的な格付けではなく、測定期間中のスナップショットです。


まとめ:AIに選ばれるSaaSは、「有名な会社」ではなく「選ぶ理由を検証できる会社」

2026年の公開調査を総合すると、CRM領域ではSalesforce、HubSpot、ZohoがAI回答で強い存在感を持っています。しかし、用途別では、カスタマーサービスならZendesk、価格ならZoho、ROIや立ち上がりの速さならHubSpotというように、選ばれるサービスは質問条件で変わります。

国内SaaS調査では、31社の約3割がChatGPT、Gemini、Perplexityのいずれにも一度も推薦されませんでした。一方で、指名検索順位とAI推薦順位が大きく異なる例もあります。従来の知名度やSEO順位だけで、AIの候補入りは保証されません。

参照元では、国内10カテゴリを横断したBrand UPの調査で、ASPIC、BOXIL SaaS、ITトレンド、ITreviewが総合スコア50%を超えました。ただし、CRM・SFAではMazrica、電子契約・リーガルテックではLegalOn Technologiesが引用元1位となるなど、ベンダー公式の比較・教育コンテンツが強いカテゴリもあります。

AIに選ばれる企業が備えているのは、次の状態です。

  • 自社がどのカテゴリで、誰に向くかが明確である

  • 料金・機能・連携・セキュリティをAIが比較できる

  • 導入事例に顧客条件と定量的な成果がある

  • 第三者の比較・レビュー・専門メディアで検証できる

  • ChatGPTとGeminiの違いを分けて継続計測している

目指すべきは、あらゆる質問で総合1位になることではありません。売上につながる重要な顧客条件で、選ぶ理由とともに第一候補になることです。


アムール株式会社について

アムール株式会社は、AI検索最適化(AEO/GEO/LLMO)を専門とする支援会社です。

生成AI活用普及協会(GUGA)のシニアパートナーとして、継続的に蓄積するAI回答データと最新の生成AI・AI検索の知見をもとに、ChatGPTやGeminiなどで企業・サービスがどのように認識、比較、推薦されているかを分析します。

推奨率、第一推薦率、推薦順位、引用元、回答の正確性を競合と比較し、Webサイト、サービスページ、導入事例、コンテンツ、外部PRまで、AIに正しく理解され選択肢に入るための情報設計へ落とし込みます。


調査・参考資料

※本稿は2026年8月25日時点で確認できる公開情報をもとに作成しています。AIの回答、引用元、モデル仕様は継続的に変化します。掲載順位は各調査期間と条件における観測結果であり、将来の推薦、製品品質、導入成果を保証するものではありません。

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