第壱食 善悪二元論丼

頭がハワワ。
つまり自分は幼女だったのです。
これは疑う余地もないことです。

人目を避けて友が宅にこもり、しばらくになります。日が落ちてこそこそ用を足しに出て、なんとか兵糧を調達することもあるけれど、ここ数日は風邪を拗らせ、床に臥せっていたのでそれどころではありませんでした。働きに出ている友人ならまだしも、どうして自分が病むのだろう。いや、彼が病むよりよっぽど良いけれども。

今日こそ買い物に出なくちゃ、いけない。夜勤終わりの彼に何か精のつくものを食わせてやりたい。人が怖いとは言っておれぬ、外に出ねばと思いけるに、現在時刻十五時半也。

遠いところまで歩くには怖い。徒歩10分さえ恐ろしい。せめて近くの小さい店で良いから。

自分はメロスです。
うじうじして、ちっとも脚を動かしやしない。
さりとて生きてゆく限り
結局我ン張る僕の性質
そうだ書いている暇があるのなら、とっとと表へ出てしまえ!

風呂に入り一週間分の垢を落とし、毛を剃り、服を着込みます。自分はハイヒールが好きです。女々しいと言われるかもしれない。でも曾て、ヒールを履いた自分の姿を、誰より気高く美しいと自惚れていたことがあったのです。貴族の男のように、ドレスシャツに重たいコートを羽織って踵を鳴らす。今自分は惨めで小汚い、高等御乞食だけれど、それでもお守りが必要なのです。


after shopping

なんとか買ってきました。
目の上に障りがあるみたいに店員さんの目を見られませんでしたけれど、自分は、やり遂げました。
卵、挽肉、パン粉、牛乳、にんにくチューブ。
家に玉ねぎはあるので、十分のはず。
おや。ナツメグを忘れてしまいました……。
口惜しきこと。

それで、自分はついに調理に取り掛かろうとしたのです。それで、ボウルを探して戸棚を漁って気づいたのです。
……この家、ロクな調理器具も皿もねえ。

いや、無いこた、ないんだ。けれども、不十分なんだ。
どして、卵焼きフライパンがあって、まあるい、普通のフライパンが無いのだね。それから普通のお鍋が一つ。これはよろし。
皿にしたって、プラスチックのカップが四つばかり、陶器のお椀が一つ、トーストがギリギリ納まる平皿が、一枚。
その実、自分が来るまでこの家には調味料もロクに揃っていなかった。刺身醤油とトマト味のカンタン酢だけでどうやって生きるのだねダーリン。
友人は自分がきて、毎日マトモな料理が食えると喜んでくれているけれど、人間は忙しいと、本当に人間的生活から遠ざかるものだ。自分も小麦粉を捏ねて食っていた人間だから、よくわかる。
今日はハンバーグはお預けです、友よ。君が明日、自分を連れ出してくれるという。その時お皿を、調理器具を買おうか。


作り方

  1. ボウルに卵二個、顆粒出汁、醤油少し、マヨネーズ、水をよく溶きます。

  2. フライパンに油を引きぐちゃぐちゃに焼いて炒り卵にしたら皿に移しておきます。

  3. 次にチューブにんにくと生姜、合い挽き肉を炒めます。

  4. 肉に火が通ってきたら、醤油、みりん、砂糖、酒を加えて煮詰めます。ご飯に合わせるので甘辛くすると良いでせう。

  5. できたらご飯にそれぞれかけます。


今日の学び

  1. 顆粒出汁と醤油をぶち込めば、出汁醤油とは違うけど代用になる

  2. 米を炊くたびに思うが、しゃもじくらいあったって良いんだぜ

  3. 友よ、いつもお疲れ様

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