真夜中の怪電波放送 #5 〜nina simone 『Feeling Good』〜
真夜中の音楽好きは、少々面倒くさい。
今宵もゴキゲンな音楽と、ちょうど良い与太話でお送りします。
今夜の怪電波はコチラ
ニーナ・シモンの『Feeling Good』。
近年で言えば、役所広司主演の映画『Perfect Days』で朝焼けの中を運転していくラストシーンで使われていた。
自分がこの曲を知ったのは、旧mixiが全盛だった2005年頃。
当時も今と同じように日記を書いていて、どこで繋がったのかは覚えていないが、不思議と惹かれるマイミクがいた。
同い年くらいのその人は、文章もセンスも良く、紹介してくれる音楽もまた良かった。
この曲も、その人から教えてもらった一曲だ。
落ち着いているのに、芯がある声。
スモーキーで重く、どこか張り詰めた空気
そんな音に、当時の自分は一瞬でハマった。
その当時よく聴いていた浅川マキとも、どこか通じるものを感じていた。
あとで知ったが、浅川マキが敬愛していたのがニーナ・シモンだったらしい。
点と点が線になる瞬間。
それを見つけると、少しだけ世界が面白くなる。
真島昌利から浅川マキ、そしてニーナ・シモンへ。
こうして音楽のルーツを辿っていく感覚は、小さな旅のようで好きだ。
ニーナ・シモンの曲では、『Ain’t Got No, I Got Life』もよく聴く。
シンプルな言葉を繰り返しながら、少しずつ熱を帯びていく。
あの高揚感は、“生きている”という事実そのものの喜びを感じる。
公民権運動の中で差別と闘い、躁鬱に苦しみ、家族とも離れていった彼女。
その人生を知るほどに、この歌の言葉は軽くは受け取れなくなる。
何も持っていない。
家も、家族も、信じる神も、愛もない。
それでも
自分には手足があり、頭があり、目があり、魂がある。
私は女で、命がある。
頭が痛くてツイてない時もある
みんなと同じ
そう歌い切る声には、迷いがない。
脳内出血で入院していた頃、
自分は失ったものや、取り戻せないものばかりを数えていた。
出来なくなったこと。
変わってしまったこと。
どうしても、そっちに目がいく。
そんな時にこの曲を聴くと、少しだけ気持ちが上を向く。
無くしたものではなく、まだ残っているもの。
支えてくれた人。
そして、これから手にしていくもの。
それらに、目を向ける気持ちが生まれる。
たぶん、この曲は『前向き』なんかじゃない。
ただ事実を並べて、それでも立っているだけだ。
だからこそ、強いのだと思う。
今夜の怪電波放送はここまで。
それではまた、眠れない夜に。
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