順調な時ほど、次の変化に備える
1.順調な時こそ、経営者さんは試される
僕の師匠から教えていただいた言葉があります。
「今、事業がうまくいっていない原因の種は、
ほとんどの場合、うまくいっている時にまかれている。」
最初に聞いた時は、その意味がよくわかりませんでした。
でも、多くの会社を見させていただく中で、
この言葉は本当にその通りだと感じるようになりました。
会社が苦しくなってから原因を探すと、
その原因は数か月前、あるいは数年前の
経営判断・意思決定にあることが少なくありません。
売上が伸びている。
利益も出ている。
資金にも余裕がある。
そんな時だからこそ、経営者さんは安心してしまいます。
しかし、その安心の中に、
次の停滞や衰退の種が静かにまかれていることがあります。
だからこそ、順調な時ほど会社を冷静に見つめる姿勢が
大切なのだと思います。
2.会社にも成長する順番がある
会社にも人と同じように成長の段階があります。
最初は、水をやってもやっても芽が出ない時期です。
商品やサービスを磨き続ける。
お客様は誰なのかを考える。
どんな悩みを抱えているのかを知る。
そして、自分たちはその悩みを本当に解決できるのかを問い続ける。
試して、修正して、また試す。
この繰り返しです。
すぐに成果は出ません。
でも、水をやることをやめれば芽は出ません。
やがて芽が出れば、その芽を大切に育てます。
利益が出始めたら、人材や広告、仕組みづくりへ再投資し、
競争相手より早く市場で存在感を高めていきます。
一方で、急成長する会社ほど資金繰りは厳しくなります。
利益が出ていても、お金が足りなくなることは珍しくありません。
だから利益だけではなく、
資金も見ながら成長させる必要があります。
そして、どんな会社も
同じスピードで成長し続けることはありません。
成長はやがて緩やかになります。
だからこそ、自社が今どの段階にいるのかを
知ることが大切なのです。
3.利益が出た時こそ、未来への投資を考える
利益が出始めると、経営者さんは一つの選択を迫られます。
利益を未来へ投資するのか。
それとも、今の満足のために使うのか。
もちろん、経営者さんが豊かになることを
否定するつもりはありません。
それだけ努力してきた結果でもあります。
しかし、多くの会社を見ていると、
本業とは関係のないところへ
お金が流れ始めることがあります。
本来であれば、
新しい商品やサービス。
人材育成。
AIへの投資。
ブランドづくり。
次の事業への準備。
そうした未来への投資が、
会社の次の成長につながります。
利益が出た時のお金の使い方には、
その会社の未来が表れるように思います。
4.変化は、静かに始まる
会社の変化は、売上が下がってから始まるわけではありません。
売上は伸びている。
利益も出ている。
でも、以前ほど成長の勢いがない。
お客様の反応が少し変わってきた。
競争相手の動きが変わってきた。
社員さんの雰囲気が少し違う。
こうした小さな変化が、
やがて大きな変化につながっていきます。
第15回でお伝えしたように、
経営者さんには「変化を感じる力」が求められます。
順調だから安心するのではなく、
順調だからこそ小さな違和感を見逃さない。
その積み重ねが、次の成長につながるのだと思います。
5.変化は、ある日突然やってくることもある
もちろん、会社の変化は成長曲線のように
穏やかに進むとは限りません。
ある日突然、大切な社員さんが辞めることもあります。
市場が一変することもあります。
思いがけない出来事に直面することもあります。
だからこそ、順調な時ほど会社の足元を見つめ、
変化に備える姿勢が、
経営者さんには求められるのだと思います。
経営者さんは未来を正確に予測することはできません。
しかし、変化に備えることはできます。
その積み重ねが、不測の出来事に直面した時の
大きな差になるのだと思います。
6.最後に
第11回では現在地を把握することを書きました。
第12回では目的地を持ち続けることを書きました。
第13回では試し続けることを書きました。
第14回では小さく動くことを書きました。
第15回では変化を感じる力について書きました。
そして今回お伝えしたかったのは、
順調な時ほど、次の変化に備えることです。
会社には成長の段階があります。
そして、それぞれの段階で経営者さんに
求められる役割も変わっていきます。
だからこそ、今どのステージにいるのかを知り、
その時にやるべきことを
一つずつ積み重ねることが大切です。
会社は、順調だから未来が約束されるわけではありません。
順調な時に何を考え、何を準備し、どんな種をまくか。
その積み重ねが、次の成長をつくります。
僕は、多くの会社を見てきて感じます。
会社が苦しくなってから原因を探すのではなく、
順調な時こそ未来を見つめる。
その姿勢こそが、長く成長し続ける会社をつくるのだ
と思っています。
