見出し画像

変化を感じる力が、経営を変える

1.経営は、必ず反応を返してくれる

経営者さんは毎日、たくさんの判断をしています。

新しい商品やサービスを始める。
価格を見直す。
人を採用する。
広告を出す。
設備投資をする。
AIを導入する。

どの判断も、その瞬間に正しかったかどうかは分かりません。
しかし、一つだけ確かなことがあります。

どんな経営判断にも、必ず何らかの反応が返ってきます。

お客様の反応かもしれません。
社員さんの表情かもしれません。
マーケットの動きかもしれません。
現場の空気かもしれません。

そして、その積み重ねは、やがて数字にも表れてきます。
経営者さんの仕事は、その一つひとつの反応を受け止め、
次の判断につなげることなのだと僕は思っています。


2.数字は、結果であると同時に予測でもある

会計士という仕事をしていると、
「数字を見る仕事ですね。」
と言われることがあります。

もちろん数字は大切です。
でも、僕は数字を「出てきてから見るもの」とは考えていません。

優れた経営者さんほど、
「今月はこのくらいの利益になっているはずだ。」
「資金繰りはこのくらい改善しているはずだ。」
という予測を持っています。

そして実際の数字が出たとき、
予測と違えば、
「なぜだろう。」
と考えます。

売上は伸びると思っていた。
利益はもっと残ると思っていた。
資金は増えているはずだった。

その予測と現実のズレには、必ず理由があります。
自分が気づいていない変化が起きているのかもしれません。

だから数字とは、
結果を見るためだけではなく、
自分の仮説を確かめるためのものでもあるのです。


3.数字より先に、現場は変化している

会社の状態は、最終的には数字に表れてきます。
しかし、その前に必ず何らかの兆候があります。

僕は現場へ行くことが好きです。
営業の最前線で頑張っている人の話を
聞くことも好きです。

なぜなら、数字になる前に、
現場ではすでに変化が始まっていることが多いからです。

「最近、お客様の反応が少し変わってきました。」
「問い合わせの内容が以前と違います。」
「現場が少し慌ただしくなっています。」

そんな小さな変化は、
あとから数字にも表れてきます。

だから僕は、数字だけではなく、
現場の声や空気も、とても大切にしています。


4.「何もしない」も、一つの意思決定

毎月、数字を確認する。
役員会で現状を共有する。

その意味は、数字を眺めることではありません。
会社の変化を確認し、
次にどうするかを考えることです。

もちろん、毎月戦術を変える必要はありません。
「今のまま続けよう。」
そう判断することも立派な経営判断です。

でも、変化が起きているにもかかわらず、
何も見ず、
何も考えず、
何も動かないのであれば、
それは経営を放棄していることと変わりません。

経営では、
「何もしない」
ということも、一つの意思決定なのです。

だからこそ、その判断には必ず理由が必要なのだと思います。


5.悪い情報ほど、価値がある

ある経営者さんが、
こんなことを話されていました。

「良い情報はいらない。
悪い情報を先に持ってきてほしい。」

とても印象に残った言葉です。
良い情報だけが集まれば、安心できます。

でも、それでは会社の本当の姿は見えてきません。

特にワンマン経営では、
周りが気を遣い、耳障りの良い話だけをすることがあります。

そうすると、経営者さん自身が、
現場で何が起きているのかを知らないまま
時間だけが過ぎてしまいます。

だから、多くの優れた経営者さんは現場へ足を運びます
報告書だけでは見えないものがあります。

数字だけでは感じられないものがあります。
社員さんの表情。
お客様との会話。
現場の空気。
そこには、会社からの大切なサインがたくさんあります。


6.変化のスピードは、ますます速くなっている

今、事業を取り巻く環境は、大きく変化しています。

AIの進化。
物価の上昇。
金利の変化。
円安。
人材不足。
国際情勢。

どれか一つではありません。
さまざまな変化が、
同時に経営へ影響を与える時代になりました。

だからこそ、
「うちには関係ない。」
では済まされない場面も増えています。

特にAIは、毎週のように新しいサービスが生まれています。
すべてを追いかける必要はありません。

でも、「まず触れてみる。」
「まず試してみる。」

そんな姿勢は、これからますます大切になるのではないかと思います。

変化が速い時代だからこそ、
毎日現場を見て、
毎週マーケットを見て、
最低でも毎月、自社の状況を確認する。

その積み重ねが、経営者さんの判断を支えてくれるのです。


7.最後に

第11回では、現在地を把握することを書きました。
第12回では、目的地を持ち続けることを書きました。
第13回では、試し続けることを書きました。
第14回では、小さく動くことを書きました。

そして今回お伝えしたかったのは、
小さな変化を見逃さないことです。

経営は、必ず反応を返してくれます。
その反応は、数字かもしれません。
現場の空気かもしれません。
お客様の声かもしれません。
社員さんの表情かもしれません。

大切なのは、
その一つひとつの変化に気づき、
「なぜだろう。」
と考えることです。

その問いを持ち続けることで、
経営者さんの感覚は磨かれていきます。

判断力も育っていきます。
そして、自分だけの経営観が
少しずつ形になっていきます。

僕は、経営とは
未来を当てることではないと思っています。

変化を感じ取り、
考え、
判断し、
また一歩前へ進むこと。

その積み重ねが、会社を進化させ、
経営者さん自身も進化させていくのだと思っています。

いいなと思ったら応援しよう!