賢さよりもアホさの時代。AI時代の創作価値について考えた|書籍化ログ(#創作論 #Web小説 #note #エッセイ#生成AI #読まれない)
こんにちは。こんばんは。
普段はラノベを書いている「うら表紙」と申します。
最近、生成AIについて考える時間が増えました。
便利になったなと思う反面、
創作にAIを使うことが当たり前になり、
「AIをどう使いこなすか」が一つの技術として語られる場面も増えてきました。
そんな流れを見ていると、不安になってしまうんです。
「これから先、書き手は何を武器にすればいいんだろう」って。
だからかもしれませんが、
生成AIの活用で知られる深津貴之さんの発信をよく拝見しています。
●生成AIの普及がもたらす「失敗のない世界」の恐怖
先日公開された動画の中で、とても印象に残るお話がありました。
参考動画はこちら
AIが社会全体に浸透すると、「致命的な失敗」がどんどん減っていくというお話です。
最初は、「それってすごく良いことじゃないか」と思いました。
でも聞いていくうちに、
「あ、これって結構怖い話かもしれない」と感じたんです。
会社で例えるなら、
上の立場の人が大きな失敗で転落することも少なくなり、
下の人が一気に追い抜くような下克上も起こりにくくなる。
つまり、階層が固定化された世界です。
生まれた環境や教育、
交友関係など、
最初に有利な場所にいた人が、
そのまま有利でいられる。
●Web小説の現在地
それを聞いた時、
「あれ、これって今のWeb小説ですでに起きてない?」
と思いました。
今は生成AIを使えば、誤字脱字も減らせますし、構成の相談もできます。
プロットを一緒に考えてもらうこともできますし、
「ここは読みにくいですよ」と客観的に指摘してもらうことだってできます。
少し前までなら経験を積まないと身につかなかったことが、
AIの力を借りれば、
誰でもある程度の水準まで持っていける時代になりました。
これは本当にすごいことです。
私も助けられている場面がたくさんありますし、
生成AIがなかった頃には戻れないと感じるくらいです。
ただ、その一方で思うことがあります。
作品の完成度だけでは、人を圧倒しにくい時代になった。
文章が読みやすいこと。
構成がきれいなこと。
設定が破綻していないこと。
もちろん、どれも大切です。
でも、その多くはAIでできるようになりました。
だから、それだけでは「この人の作品をまた読みたい」という理由に
ならなくなってしまったんです。
この状況で大きな力を持つのは、
やはり「すでに抱えているフォロワーの数」という初期位置なのだと思います。
作品があまりにも増えた今、
読者さんにとって「探すこと」自体が負担になりつつあります。
だからこそ、
実績のある作家さんやランキングへと人が集まるのは、
ごく自然な流れなのかもしれません。
●「人間がイレギュラーを起こすこと」の価値
では、
そうした初期位置を持たない書き手は、
どうすればいいのでしょうか。
深津さんは動画の中で、
「人間がイレギュラーを起こすこと」の価値について話されていました。
私は、それを創作に置き換えるなら、
「かっこ悪さ」や「無様さをさらけ出せること」なのかな、
と解釈しました。
AIは、とても合理的なツールです。
平均点を引き上げることは得意ですし、
「失敗しないため」の力は本当に大きい。
だからこそ、AIが普及すればするほど市場から姿を消していくのは
「人間の無様な失敗」や「感情による非効率さ」だと思うのです。
noteを書いていても、そのことを感じる場面があります。
「役に立つ情報を書かなきゃ」と肩に力が入っていた記事よりも、
「こんなことで悩んでいました」と素直に書いた記事の方が、
不思議と共感していただけることがあるんです。
頭ではわかっているのに割り切れないこと。
非効率だと知りながら、どうしてもやめられないこと。
答えがないまま抱え続けている悩み。
そういう「計算できない心の動き」に、
人は惹かれるのだと思います。
それって、
人間が正しさだけでは動けないことの証明ですよね。
●模範的な時代だからこそ、人間くさく
だから私は、
これは作品をつくる書き手自身にも言えることなのではないかと思っています。
階層が固定化されていく世界で人の心を動かすのは、
AIを使って自分を大きく見せることでも、
世間の正解を声高に語ることでもない。
むしろ、その逆で、
自分の愚かさや、
かっこ悪い葛藤を隠さずに言葉にすること。
見栄を張らず、
「こんなに時間をかけたのに、全然結果が出ませんでした」
と言えること。
正しさではなく、
失敗、愚かさ、葛藤、情けなさ、
「この人、なんだか人間くさいな」
そういう描写を作り出せる人が
必要とされていく気がしています。
AIはどれだけ進化しても、
私たちの代わりに人生を生きてくれるわけではありません。
それならば、
人間までAIのような生き方はしなくていいんじゃないかと思うのです。
誰もが失敗を恐れて模範的な振る舞いを求める時代において、
あえて「そのまま」をさらけ出せる書き手でいること。
洗練された姿よりも、不器用で遠回りな姿。
効率よく生きることよりも、
感情に振り回されながら、それでも前へ進もうとする姿。
これからの時代、
本当に人の心を動かすのは、
賢さや要領の良さではなく、
失敗してもまた立ち上がる
そういう、どうしようもなく人間くさい「アホさ」を
惜しげもなく共有できる人。
AIが推奨しない非効率な生き方を
堂々と選べる人。
うまく生きることよりも、
人間くさく生きる人の方が、
大きな価値になるのかもしれません。
だから私も、
うまくいった日のことだけではなく、
転んだ日や情けなかった日も含めて、
これからも積極的に書いていきたいと思っています。
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