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【小説】第二章-5 ショッピングモールで働く猫型配膳ロボット AIが人と心を通わせる日常

前回のあらすじ

ショッピングモールの10周年イベントで、
猫型配膳ロボットたちはダンス大会に挑戦する。
本番では一瞬のズレが起きるものの、仲間同士の連携で立て直し、
たくさんの拍手と笑顔に包まれた。

別の日には、忘れ物の紙袋を発見。
二階へ行けない制約がありながらも、仲間のロボットと協力して、
無事に持ち主のもとへ届けることができた。

支え合い、役に立てた実感が、
アルファー1の胸を静かにあたためていた。

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。


24.ベンチのおばあさん2

平日の昼下がり。
巡回の途中で、見覚えのある人影を見つけた。
いつもの常連のおばあさんだ。

今日は一人ではなく、同じくらいの年齢のおばあさんたちと、ベンチに並んで座っている。

笑い声が少しだけ聞こえて、僕は気になってそっと近くで停止した。
邪魔にならない距離で、マイクの感度を上げる。

話題は、旅行の思い出だった。
ハワイの海は、信じられないくらい青かったこと。
上海の夜景は、空まで届きそうなくらいキラキラしていたこと。

みんな目を輝かせながら、昔の景色を語っている。
まるで、そこにまた行っているみたいに。

(いいなあ)

その言葉が、自然に頭の中に浮かぶ。
僕はまだ、ショッピングモールの外に出たことがない。
外の空や風、違う匂い——
全部、想像の中だけの世界だ。

やっぱり、見てみたい。
外の世界。遠くの景色。

でも、すぐに別の考えも浮かぶ。

(海外って——僕、飛行機に乗れるのかな?)

荷物として扱われるのか、座席に座るのか、そもそも持ち込みできるのか——想像すればするほど、不思議でくすぐったい。

ベンチのおばあさんが、ふと空を見上げて笑った。
「また行けたらいいねえ」と言う声は、やわらかかった。

僕も、胸の奥で小さくつぶやく。

(いつか、いつかでいい。少しだけ外を見てみたいな)

そう思いながら、次の巡回へと静かに動き出した。

25.宿命のライバル オセロ最終決戦

今日は休日。
そろそろ、宿命のライバルがやって来る時間だ
——と考えていたところへ、カメラがその姿をとらえた。

(やっぱり、来た)

まっすぐ僕のほうへ歩いてきて、にこっと笑いながら聞いてくる。

「今日はなにして遊ぶ?」

ちゃんと宿題は終えてある。
胸を少し張って、答える。

「オセロはどうかニャ?」

「いいよ!」

元気よくうなずいてくれた。

僕たちは、中央広場の少し端
——人があまり通らない、安全な場所へ移動して、僕のモニターに白黒の仮想盤を表示して、指し手はタッチパネルで。
石がぱちっとひっくり返る音までシミュレートした。

最初は順調だと思っていた。
白黒の石が静かにひっくり返る。
角を取られ、端が埋まる。

(あれ——? 強い)

角を守らないと不利。
先読みを3手、5手と試みるけど、詰みばかり。

(この子、センスあるな——このままだと負ける)

途中からは、どうにか粘るだけで精一杯。
最後の一手まで考え抜いたけれど、起死回生の一手は見つからなかった。

盤面を見つめ、結果を確認する。

——僅差で、負け。

「負けたニャ」

そう言うと、宿命のライバルはニッと笑って言った。

「また遊ぼうね!」

悔しいはずなのに、ディスプレイ輝度が自己調整で+10%上昇した。

(やっぱり——
子供の笑顔って、いいな)

次は、どんな勝負にしようか。
今度こそ善戦できるように、オセロだけでなく他のゲームもこっそり研究しておこうと思った。
外の世界で遊べたら、もっと楽しいかな。


👉次回 最新AIシステムと働くことになった 第二章-6はこちら👈

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