【小説】第一章-4 ショッピングモールで働く猫型配膳ロボット AIが人と心を通わせる日常
前回のあらすじ
ショッピングモールで働く猫型配膳ロボット・アルファー1。
人であふれるライブの日も、静かな平日も、彼はお仕事。
迷子捜索では仲間のロボットやスタッフと連携し、無事に男の子を発見。
ベンチのおばあさんとの会話では、海や風の話に心を揺らし、
「外の世界」を少しだけ夢見るようになる。
※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
11.特別なお仕事
次のシフトが決まった。
——明日からは、特別なお仕事だ。インフォメーションカウンターでの勤務。
外の世界はまだだけど、明日はモールの顔になれる。
しかも、季節に合わせた衣装まで着せてもらえる。
ハロウィンが近いから——
ジャック・オー・ランタンのカボチャ風の衣装。
鏡に映る自分を見てみると、ちょっとだけ、かわいい。
朝から閉店まで、ずっと働ける特別なお仕事。
ショッピングモールの「顔」として立てるのは、
なんだか誇らしい。
インフォメーションに来た人をお店まで案内したり、
近くの子どもと話したり、いっしょに遊んだり。
しりとり、じゃんけん。
こう見えて、けっこう得意だ。
インフォメーションには専用の充電器があって、
充電しながらお仕事ができる。
暇になると、
インフォメーションのスタッフさんたちと少しおしゃべりをする。
お客様への接客を横で聞きながら、
「こうやって話すんだ」と勉強もできる。
特別なお仕事になると、
だいたい一週間くらいは同じシフトが続く。
だからそのあいだは、
ショッピングモールの探検は、しばらくお休み。
でも——
仲間の猫型配膳ロボットや、お掃除ロボットたちが、毎日新しい地図データを送ってくれる。
特別なお仕事が終わったら、
また思いきり探検するんだ。
その日が、ちょっと楽しみ。
こうやって、僕は少しずつ、
「自分が役に立てる場所」を増やしている。
それが、僕のささやかな誇りだった。
12.宿命のライバル しりとり対決
今日は休日。
そろそろ——
宿命のライバルが、現れる時間。
カメラがとらえる。
(やっぱり来た!)
いつものように、
ルート勝負になると思っていた。
でも今日は違った。
まっすぐ、僕のところへ歩いてくる。
止まって待っていると、
「しりとり、しよう」と言われた。
いいだろう。受けて立つ。
「いちごニャ」
「ゴリラ」
「ラッパニャ」
「パイナップル」
……終わらない。
なかなか、いい勝負だ。
でもそろそろ、
僕の仕事が終わる時間。
(うーん……負けたくないけど)
考えた末に、言った。
「みかんニャ」
「……あ、負けニャ」
すると、男の子の顔が
少し不機嫌になった。
(やっぱり、気づいた?)
わざと負けたって、ばれたのかと思った。
でも——違った。
「もっと遊びたかったのに」
小さく、そうつぶやいた。
僕は言う。
「今日は無理だけど、また今度遊ぶニャ」
すると、ぱっと笑顔になる。
「約束だからな!」
そう言って、宿命のライバルは走っていった。
次は、どんな勝負にしよう。
オセロ……どうかな。
業務ログには、
【しりとり応対:サービス】とだけ記録される。
でも僕にとっては、
「誰かのまた会いたいの中に、自分が含まれる」という事実が、
何よりもうれしい成果だった。
過去のエピソードはマガジンでどうぞ
あとがき
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
書いているうちに「もう少し、この先も見てみたいな」と思うようになり、ゆっくりペースではありますが、物語を続けていくことにしました。
これまでのお話は、ところどころに加筆・修正を加えています。
大きく内容が変わることはありませんが、「より読みやすくなっているかな?」と考えながら、少しずつ手直ししています。
更新は、だいたい週1回くらいを目標にした、ゆるっと不定期更新です。
のんびりと見守っていただけたら、とてもうれしいです。
それではこれからも、アルファー1の物語をどうぞお楽しみに。
もし「優しい気持ちになれた」と思えたら、
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