GLAY EXPO 30th Anniversary 2024-2025 GRAND FINALE 2025.6.1 @東京ドーム へ行ってきた
2015年5月31日、あの日、私は東京ドームにいた。GLAYのデビュー20周年記念イヤーの最後を飾るライブを見るために。
あれからほぼ10年が経った2025年6月1日、東京ドーム。やはりこの日も、私は東京ドームにいた―過去最高のライブを体感できる予感とともに―。
この記事はGLAYの20年来の一ファンである筆者が、あまりにも素晴らしいライブに参戦したことから、ただただ当日の記録を残し、記憶に留めるため(頭の中を整理するため)に書いたものなので、主観と記憶違いが入っている可能性が多分にあるのであしからず。(以下敬称略です。すみません。)
開場前ー水道橋近隣の雰囲気
2025年6月1日午後、水道橋・神保町界隈。
道を歩く人、店内で飲食する人―その中にちらほら、おそろいの黒いリュック(ズラーのやつ)を背負った人を見かけるようになった。中には髪をセットしたり、黒系の衣装でキメている(=コスプレ)人もいる。明らかに同士=GLAYファンだとわかる。
私が昼食(と少しだけお酒も)を食べようと入った水道橋駅南側にある大衆酒場も、隣のテーブルに座る人は明らかにGLAYファンであった。
店を出て街を歩くと、その数はすでに増えており、15時を過ぎる頃には周囲を歩くほとんどの人がそうではないかと思わせるほどになった。それは聞こえてくる会話もからもわかる。誰もが高揚感と期待感に胸を膨らませていることは想像に難くない。
期待感をいっぱいに会場へ

東京ドームシティは老若男女問わず、多くの人で賑わっていた。でも明らかに、GLAYファンはすぐに見分けがつく。その中をかき分けて進んでいく。気持ち急ぎ足になる。
開演40分前、会場に到着。グッズはほとんどが売り切れで既に購入者の列は跡形もない。
正面のサイネージはGLAYのライブがあることをしきりに喧伝している。その周辺には人だかりができており、皆撮影に勤しんでいる。私もその中に混ざって何枚かカメラに収める。
気が済んだところでいよいよドーム内へ。東京ドーム特有の回転ドアへ進むと、これまた東京ドーム独特の強風が迎え入れてくれる。
野球を合わせても東京ドームに来るのは6年ぶりなので「あぁ、そういえばこんなだったな」と懐かしくなる。
今回の座席も10年前と同じA席にした。なんとなく、10年前と同じが良かっただけ。
―10年前、あのころ何があったかな~、そういえば毎年野球の試合(今では消滅したファイターズの東京ドーム主催試合)を見に来てたな~。なんてことを思い返しながら(当時は東京住みの学生でした)、指定された席に着く。前回は上手ステージサイドに近い(しかもかなり上の方)だったけど、今回はやはり上の方ではあるけれどステージ全体を見渡せる、悪くない席だった。
ステージに目を向けるとまず、飛び込んできたのは鮮烈な赤絨毯(?)が敷かれた花道とセンターステージ。これは矢印の形をしている。また、前回はたしか開演前、メインステージにはスクリーンが置かれていてステージの全体を把握できたのは開演後だったはず。その点も違うなと感じた。
影ナレの終りが近づくとともに、高揚感が一層高まり、手拍子も大きくなる。
そして開演、ライブレポート~ネタばれあり
定刻17:00、GLAYのライブは余程のことがない限り、時間通りに始まる。
なぜか山で火起こしをするTAKUROの姿がスクリーンに映し出される。
続けてメンバー紹介の映像が流れていく。JIROは仕事ができる社長風にジムで鍛え、スーツに着替え、出勤―
HISASHIは一言でいえば「パリピ」。車でパーティー会場から出ていくシーンが流される。するといきなりステージ下手脇から映像に映っていたものと同じ車が登場し、その中からHISASHIが現れるという演出だった。
バイクに乗って疾走する姿が映し出されたのはTERU。バイクを降りると、そこで待機していたヘリコプターへ乗り込む。ヘリは離陸し空へ舞い上がる。映像中のTERUはそのヘリから空中へダイブする―その映像の直後、ステージ上方からTERUがワイヤリングで登場。場内は大歓声が上がる。しばしの暗転のあと、1曲目へ突入。
1, 口唇
事前に今回のライブはベストヒット的なセトリになるという話は方々で耳にしていた。その中で1曲目が口唇だったのは少し意外だった。この曲は、最近のライブでは何某かの曲に続く形で演奏されることが多く、いきなり1曲目にもってくるのは想定外だったし、従来の演奏頻度を考えると、BTTBツアーでも演奏されたこともあって、今回のセトリからは外れるのでは?とすら思っていた。とはいえ、初期の大ヒット曲、盛り上がりに火をつけるには十分だった。
2,嫉妬
ベストアルバムの収録曲を決める投票でも上位に入っていたので納得の選曲。無論、盛り上がり必至のナンバーである。最近のライブでは中盤~終盤に演奏されることが多い気がしていたが、2曲目でも「映える」曲だと実感。最後のサビ終り、曲の終りにかけて、TERUが間違えないかいつも心配になるけれど、今回は大丈夫で安心。
ここまでの2曲はGLAYの中でも「カッコいい系」の曲であり、レーザーを使った演出が印象的だった。ここで最初のMC。いつも通り(いや、いつも以上に)感謝の気持ちを伝え、愛情を込めて届けることを約束してくれる。
3,生きてく強さ
「この曲で生きてく強さを交換し合おう」というMCに続いての披露。前2曲と異なり、会場全体を明るい照明が包み、それに促されるように会場全体でサビを合唱する。おなじみの光景なんだけど、年齢を重ねたせいかこれまで聴いてきた「生きてく強さ」よりも胸に響くものがあった。歌詞に登場する「街」という部分を「東京ドーム」に変え、場内が盛り上がるのは定番。
4,グロリアス
前曲に続き、GLAYならではの「優しさロック」の代名詞をここで投下してきた。生きてく強さ~グロリアス(もしくはこの逆)という曲順はGLAYのライブではそれなりにみられる並びだと思う。しかし、TAKUROが高校時代を思い返して作った曲を、リリースから30年近くが経ち、50歳を過ぎたメンバーが東京ドームという大きな会場で演奏しているという奇跡を目の当たりにしている。なんて幸せな光景を目にしているのだろう。聴いているこちらも多幸感にどっぷり浸かってしまう。
ここで2度目のMC。TERUは「マイクを向けた時だけ歌ってね」と告げる。「隣の席の人がバラードでも熱唱してた」などというトラブルも耳にする昨今、こうして統一した基準を示してくれるとありがたい(あとは単純にTERU本人の歌いやすさというのもあるのかもしれないが)。
そしていよいよ、今回のライブの目玉でもあるメドレーに突入する。
5,メドレー①(シキナ ~ STREET LIFE ~ Missing You ~ 都忘れ ~ MIRROR)
メドレー①を聴いた感想としては「痒いところに手が届くメドレー」。代表曲や、誰もが知る有名曲が入っているわけではないけれど、ライブで聞けるとちょっと嬉しいマイナー曲がラインナップされていた。個人的なことを言えば、この5曲のうち、シキナ以外の4曲をライブで聞くのは初めてだった。
シキナはミディアムテンポの曲でありながら、イントロから会場内に手拍子が響き、青基調の照明演出と相まって場内に清涼感をもたらしてくれる。音数の少ないイントロからカッティングのギターが心地よい1サビへ。徐々に熱を帯びていく展開がクセになる。
STREET LIFEはメッセージ性の強い曲かつ、演奏されたのが曲の後半部分、特に力強く歌唱されるパートであり、TERUの歌声が胸に刺さる。苦難や困難に打ちのめされても、この町で生きていくという決意を、最後にやさしく表現するボーカルテクニックも素晴らしい。
このメドレーで一番歓声が上がったのがMissing Youだったように思う。イントロではTAKUROの力強いコーラスが心地よく、対照的に最後の部分、TERUの切なく、儚げに、繊細に歌う姿がこの曲の真骨頂のように感じた。2人の別れを描くミディアムチューンでありながら、ハードロックの要素を併せ持つ、そんな曲に感じるからだ。
一転、温かく穏やかな雰囲気が流れたのは都忘れである。ホール規模の公演での演奏頻度が高い印象があるこの曲が、ドームに響くのはまた一味違ったものなのだろう。ファンに人気がありながら、これまで大規模なライブであまり演奏されてこなかった曲を聴けるのも、メドレーの良いところ。
このメドレーを締めるのはMIRROR。GLAYが所属していた事務所から独立し、新たな道を進み始めたころにリリースされた曲だ。あれから18年。「こぼれそうなあの笑顔を探している」と綴られた歌詞に、今日、この場にいて、この曲を聴けている幸せがこみ上げてきた。
6,BLACK MONEY
メドレー終了後、場内は暗転。あの2人を連想させる(2014~2015年ころのライブでよく見たような)映像が放映される。そして10年ぶりに聴くBLACK MONEY。ハードなロックチューンをHISASHI、JIRO、そしてサポートのTOSHIの3人が豪快に奏でる。この曲を聴くときにいつも思うのだが、とても3人だけで演奏しているとは思えない迫力と音の分厚さを感じるのだ。これはキャリアを重ねたからこそ表現できるものなのだろう。
7,NEVER-ENDING LOVE
照明が落とされたなか、赤い床の花道を、センターステージに向かって長身の男が1人で歩いてくる。TAKUROだ。彼はギターをひっさげると5万人の観衆へ向けて自身のGLAYに対する思い、メンバーに対する思い、そしてファンへの感謝の言葉を紡いでゆく。ほかの3人のメンバーが誇りであること、自身はGLAYを守るために活動してきたこと、そしてファンがGLAYを守ってくれていたことに気づいたこと。この後に名台詞「今日からみんなGLAYだ!」が誕生した。さすがGLAYの膨大な楽曲の大半の歌詞を創作している方である。言葉の端々に、迫力と説得力、表現の豊かさとユーモア、優しさなど、人間が抱くプラスの感情全てが込められている気がした。
この流れから、普段、GLAYの楽曲がどのような過程を経て誕生するのかについて説明が始まる。そして、今日からGLAYのメンバーになった(?)5万人に、生まれたての楽曲をギター1本で聞かせてくれる。
それはTAKUROの音楽のルーツを十分に感じ取れる歌声と、曲であった。どこかブルース調な、でもこれにTERUの歌が入り、JIROのベースとHISASHIのギターが入ると、間違いなくGLAYの楽曲になる、それを確信できる不思議な曲だった。ちょうどそのころ、会場の外では強い雨が降っていたらしい。その雨が屋根を叩く音と、TAKUROの声、そして何も纏っていないGLAYの曲が響き、この日だけの特別なハーモニーを奏でていた。
8,奇跡の果て
TAKUROによるNEVER-ENDING LOVEの熱唱後、スクリーンにはこれまでのGLAYの軌跡を辿るVTRが流れる。頭の中で2005年の10周年記念のドームツアーのオープニングで流れた映像がオーバーラップする。もちろんあれから20年経っているから質・量ともに当時を凌駕するのは言うまでもない。「このライブ行ったな」とか、「この時歌ったあの曲すごかったな」とか、こちらの記憶も蘇らせてくれる。
映像が終わると、ステージには6人の姿が。そして演奏されたのは「奇跡の果て」。この曲はこれまで、基本的に特別な場面や節目を飾るライブでしか披露されてこなかったように思う。そう考えると、この日演奏されたのは必然であろう。
ゆったりとした切なげなメロディーに、TERUの時に力強く、時にメロディーに寄り添うように優しく歌う姿と、歌詞の深さと重さに、胸が熱くなる。こんな気持ちになるのは、今日何度目だろう。TERUは制作当時、この歌詞を深く理解できず、TAKUROから説得を受け、「TAKUROのために歌う」と決意してレコーディングに臨んだという逸話があるが、発表から30年近くの時が流れ、今どんな気持ちで歌っているのだろう?余計なお世話だろうが、そんなことがふと頭をよぎった。
9,つづれ織り ~so far and yet so close ~
続けて披露されたのは、こちらもベストアルバムの収録曲を決める投票で上位にランクインした「つづれ織り ~so far and yet so close ~」。この曲からは周年記念ドームライブでお馴染みの溝口肇がコンダクターを務めるストリングスチームが演奏に加わる。名バラードに生の弦楽器の音が加わり、贅沢さと華やかさが一段と増す。会場内の人々は皆、固唾をのんでステージを見つめ、聞き入る。歌詞中に出てくる「思い出が降り積もる」という表現、これは雪国出身者ならではの表現だろう。同じ北海道出身の人間として嬉しくなる。
10,pure soul
MCでストリングスチームの紹介を済ませ、「pure soul」へ。この曲は先の投票で1位に輝いた曲だ。奇跡の果て同様、GLAY自身にもファンにも、とてもとても大切にされている曲だ。
年齢や性別は関係ない。いつの時代のどんな人にも響く歌詞である。誰もが自分自身を歌詞になぞらえて聞き入っているだろう。こんな普遍的で不変的な素晴らしい歌詞を、当時20代半ばの人間が書いているということが信じられない。TAKUROの人生観や人間性はどうなっているのだろう?人生何周目なんだろう?そんな邪な思考すら浮かんでくる。
そして個人的にこの曲が、この日聞いた楽曲の中で1番印象的だった。
というのも、これまで数回、pure soulをライブで聞く機会があったが、そのどれよりも、圧倒的な熱量、そして伝えようとする気持ちがこもっていたように感じたからだ。特に2コーラス目、TERUは珍しくメロディラインとリズムを崩して歌っていた。他のアーティストを例に出して申し訳ないが、玉置浩二や木村拓哉がモノマネされる、あの歌い方だ。そしてもう一つ、普段pure soulを歌う時には、マイクはスタンドに立てて歌うのだが、この時は手に持ち、時には両手で握りしめて絶唱しているのだ。ああ、珍しい。これだけで今日、ここにいる意味があったな、そう感じた瞬間だった。
11,メドレー②(BE WITH YOU ~ ここではない、どこかへ ~ とまどい ~ SPECIAL THANKS ~ 春を愛する人)
この日のライブで最も楽しみにしていたのがこの曲たちだ。1つ目のメドレーが痒いところに手が届くのであれば、この2つ目のメドレーは全く痒くない、王道を行くメドレーだ。GLAYファンが呼ぶところの「練習ライブ」のセットリストを見た時から、期待値が爆上がりした。しかもストリングスチームも引き続き演奏に加わっており、どの曲も繊細さや優雅さを纏っていた。
変わったことと言えば、TAKUROはギターを担ぐのではなく、キーボードを前にしている。
まずは「BE WITH YOU」から。TERUが歌い始めた瞬間に歓声があがる。メドレーながら極上のミディアム・バラードをたっぷり1コーラス聞かせてくれた。会場内が温かく穏やかな雰囲気に包まれる。私と言えば、マイクを向けられていないのに、思わず小さく口ずさんでいた。これもこの名曲が持つパワーに違いない。
続いて、BE WITH YOUと同じ、アルバム「HEAVY GAUGE」に収録されている「ここではない、どこかへ」。全盛期にリリースされたシングル曲でありながら、ライブで演奏される機会が少ないといっていい曲だろう。そんな曲メドレーに組み込んでくれる。心憎い構成だ。
さらに名ミディアムチューンが続いて投下される。「とまどい」だ。某テレビ番組の影響で知名度は抜群なはずだが、こちらもなかなかライブでは演奏されることがない。私もこれまでライブで聴く機会に恵まれず、1度は聴いてみたいと思っていたところ、念願かなった形だ。曲のイントロが鳴った瞬間に歓声が上がる。ミディアムでありながら、皆が曲に身をゆだねて、笑顔を見せ楽しんでいる。こちらもイントロから1コーラス、たっぷり堪能できた。
「SPECIAL THANKS」は前曲のとまどいと両A面シングルでリリースされた曲だ。この曲も、私はライブで聴くのは初めてで楽しみにしていた。こちらは2コーラス目から曲の最後まで。穏やかな印象を抱いていたが「海鳴り秋を告げる響き」という音圧の強い部分から演奏されたこともあり、赤基調の照明演出と相まって、新たな印象を与えてくれた。晩夏から初秋を歌った歌を初夏に聴くのも一興だ。
そして多くの人が待ちわびていただろう。私もその1人だ。何を隠そうGLAYの楽曲、いやこの世の中に存在する曲の中で最も好きな曲、「春を愛する人」が演奏された。この曲が演奏されるだけで「今日来て良かった‼」と思える、そんな曲だ。イントロの清々しさ、サビへ向けて盛り上がっていくバンド全体の入り、春夏秋冬を歌う美しさ…。今回はメドレーなので春~夏~秋~春という流れであり、2コーラス目はカットされていたが、最後のサビの部分を会場全体でシンガロングできるなど、曲の良いところを余すことなく詰め込んだ構成になっており大満足だった。なおこのメドレー中、春を愛する人のみ、TAKUROはギターを弾いていた。
このメドレーが終わったあとのMCで、2つのメドレーを作ったのがHISASHIであることが明かされる。TERUは、HISASHIがファンのことを1番理解していると言う。このリスペクトがあるからこそ、GLAYの仲の良さがあるのだろうな、と勝手に推測してしまう。
12,BRIGHTEN UP
いよいよライブも終盤へ。まず演奏されたのは30周年だからこそ誕生した曲であろう「BRIGHTEN UP」だ。正直個人的には、この曲がドームツアーの1曲目でもいいのではないか?とも思っていた。それほど、今のGLAYを表わしている曲である。もちろんライブ終盤で演奏され、盛り上げに一役買ったのは間違いない。会場中に火を付けた1曲だった。
13,彼女の"modern…"
TERUがステージ中央で左手を突き上げる。そして曲名を叫ぶ。「彼女の"modern…"!!!」。言わずと知れたGLAYきってのライブの定番ナンバー。私もライブで聴いた回数が1番多い曲だ。安定感は抜群‼のはずが…途中からHISASHIのギターの音がずれている?リーダーとのツインリードは難なくこなしていたけど、どうした?でもこれもライブならではのハプニングだ。当然盛り上がることに事欠かない。
14,疾走れ!ミライ
「疾走れ!ミライ」は、この日のライブで演奏された曲のうち、数少ない2010年以降にリリースされた曲の1つ。この記事で何度も話題にあげているベストアルバムの収録曲を決める投票では2009年以降の曲で1位に輝いた曲だ。2014年の東北EXPO、そして翌2015年の東京ドームの公演でステージに置いていった白いジャケットを着て歌っていた姿が目に浮かんでくる。TERUとTAKUROが向かい合いながら演奏が始まる。TAKUROが赤いギターをかき鳴らし、TERUがそれに合わせて歌う。この2人からGLAYは始まったんだなと改めて認識する。底抜けに明るく、前向きな曲が、会場を青く、さわやかに染め上げて会場中の大合唱を生んだ。
本編最後のMCでは改めてこれまでの感謝を伝える言葉を紡ぐ。そして最後に、5年前に果たせなかった約束を果たす、あの曲のタイトルがコールされる。
15,SOUL LOVE
「ラストソング!!SOUL LOVE!!」。誰もが笑顔になるイントロのギターリフが流れてくる。会場中が黄色やオレンジといった暖色系の明るい照明に照らされる。そこにいるすべての人が顔に笑みを浮かべ、多幸感に包まれる。ドーム全体が温かで幸せに満ちた空間と化す。この瞬間をどれだけ待っていたか。
コロナ禍が始まったあの当時、HISASHIが「SOUL LOVEをドームでみんなで歌おう」と言った。その年のドームツアーは結局、中止になってしまったけれど、GLAYは約束を必ず果たすバンド―そしてそれが現実になったのだ。
2コーラス目のサビ、そして最後の大サビに入る前の「通り過ぎる雨の向こうに夏を見てる」…まさしく今の時期のことだ。楽器の音が幾分、静かになり5万人の歌声がこだまする。なんて幸せな瞬間を過ごしているのだろう…。これが約束を果たすということか。そう思わずにはいられなかった。
本編終了、そしてアンコールへ
ライブのスタートからここまで、2時間弱で15曲(メドレーの曲もカウントすると23曲)が披露された。正直、個人的に聴きたかった曲はほとんど本編で演奏されたし、あとは定番曲が数曲と、先の投票で上位に入っていたのにまだ演奏されていない曲が数曲。全体の曲数とバランスを考えると全て演奏されることはないだろう…。どの曲を聴けるのか?そして今日のゲストは誰なのか?そんなことを考えながら数分が経つ。
もちろん会場にいるほとんどの人が、前日には同郷のシンガー・YUKIがゲスト出演したことを知っているだろう。周辺の会話からも「ゲストは誰なんだろう?」という会話が聞こえてきた。
EN.1,誘惑
客席からの「アンコール~」の大合唱がしばらく続き、スクリーンには改めてメンバーを紹介するVTRが流れる。最後にTERUが映し出されるとすぐさま特徴的なドラムイントロが鳴り響く。「誘惑」だ。言わずと知れた代表曲をここで投下するのか。同時に特効の火薬が発破されステージは煙に包まれる。
歌い出し―まだ誰がゲストかはわからない。何せ自席は会場の高い位置だ。
最初に湧いたのはステージに近いアリーナ席の前方。その歓声はコンマ数秒で会場全体を飲み込んでいく。そしてスクリーンには「HYDE」の文字が浮かぶ。
誘惑はGLAYの曲の中でも特にライブで盛り上がる曲だ。また、演奏される機会が比較的多い定番曲でもある。しかし、この日の誘惑を演奏することによる会場の盛り上がりは、これまでに見たことがないものだった。定番曲と言われるほど演奏回数が多い曲だと、大方、盛り上がるポイントやシンガロングするフレーズは決まっており、ファンもそれを熟知している。言い方は悪いが「馴れ」がある。しかしこの日のパフォーマンスはそれが通用しない。「演奏中、ずっと歓声が上がりっぱなし」という印象だ。常に盛り上がりポイントだ。曲後のTERUのMCではないが、「一体、どこにその盛り上がる力を貯めていたのだろう?」と思ってしまうくらいに。
ステージはHYDEとTERUのヴォーカルが交錯する。というより絡み合う。絡み合うのは声だけではなく、物理的にも。顔と顔を近づけ、まるで戦っているかのような、ボクシングのような(いや、演出として意図が見え透いているからプロレスか)「歌い合い」が展開される。
GLAY×HYDEの誘惑は、過去数回、対バンやイベントなどであったような記憶がある。しかし、自分がこの目で直接見られるとは思いもしなかった、というのが率直な感想だ。1990年代の音楽シーン、1つの時代を作ったバンド同士(HYDEはソロでの登場だったが)の、本当の意味での「スペシャルパフォーマンス」だった。
ちなみに、HYDEは歌詞を少し飛ばしていたのはご愛敬。
曲後のMCで改めてHYDEが紹介される。またものすごい歓声が上がる。ここで直前のカッコいいパフォーマンスからは思いもよらないエピソードがHYDEから暴露される。曰く、リハーサル前の打ち合わせをすることになったのだが、当日になっても集合場所の連絡が来なかった、というもの。しかも知らぬ間に時間すら変更されていたと。ファンからすれば、いかにもGLAYらしい(というかTERUらしい)エピソードだが、それに怒らないHYDEの懐の深さをうかがい知れた。
ここのMCで忘れてはならないことがもう一つ。
次の曲へ入ろうとするTERUのMCを遮り、HYDEが「お祝いの言葉を」と申し出る。するとリーダーの「GLAY集合!」の一声で、HYDEを前に4人が横1列に並び、姿勢を正してHYDEの言葉を聞いている。この一コマはコミカルさの中に4人の人柄が表れているような気がした。
EN2,HONEY
HISASHIはJazzmasterタイプの、TAKUROはStratocasterタイプのギターを、それぞれ携えている。GLAY×HYDEのコラボ、GLAYサイドの曲が誘惑であれば、ラルクのあの曲もやるだろう。誰もがそう思ったに違いない。
果たして「HONEY」が演奏された。某動画サイトで見たライブイベントのコラボと同じ選曲。当然、普段はラルクの演奏しか聴くことがないので、どことなく新鮮だ。同じメロディー、同じ歌詞。ヴォーカルはTERUの声も入るから明らかに違うし、基本似ているんだけど、どことなくギターの音も違う。でも何より違うと感じたのはドラムだった。ラルクは軽やかさが際立つイメージがあるが、この日のHONEYは力強さが印象に残っている。恐るべしTOSHI NAGAI。
そして今度はTERUが歌詞を飛ばしたけど、これでおあいこだ。
EN3,BELOVED
HYDEがステージを去り熱狂が少しだけ冷める。
「歌える人は一緒に歌ってください」―ここで演奏されたのは「BELOVED」だった。美しいアコギイントロからメロディアスなエレキリードへ…ん?あれ?珍しくHISASHIがミスってる。HISASHIは指の動きを止め、演奏を止めるが、それでも他のメンバーの演奏は続く。さすがにHISASHIも「もう1回やらせてください」とマイク越しに願い出る。TERUは何ごともなかったかのように直前のMCと同じ言葉を話す。爆笑に包まれる会場内。
この曲を聴くと思い出される光景は、やはり2014年の東北エキスポだ。あの時も、ステージから一番遠い上方の席から、この曲を聴いていた。観客が手首に巻くLEDバンドがピンク色に輝き、上空はヘリコプターが飛んでいた―。今日のライブの前半のMCで「昔の曲をたくさんやるので、その当時のことを思い出したりしながら聴いてください」という言葉が頭をよぎる。
リリースから30年近くが経とうとしているけれど、今年も街角に夏を告げる向日葵は咲くし、いつの時代でも生きる全ての人に人生の交差点は訪れる。TAKUROがアコギで奏でる優しい音色と、HISASHIのエレキギターが表現する力強さ。それは歌詞も同じで、この曲を聴く全ての人を包み込まんとする優しい歌詞と、「これからもあなたを愛してく」という決意。この2面性がBELOVEDという曲の真骨頂であり、ともするとGLAYというバンドそのものを表現しているのかもしれない。それらを余すことなくTERUが声に出して伝える。
明日への活力をもらえた。
最後の曲を演奏する前に、メンバーが二手にわかれてフロートに乗り込み、場内を1周する。この間、フリスビーを投げたり、グッズが入ったバズーカを打ち込んだりしている。しかしこのフロート、進むのが速いこと速いこと。一瞬で目の前を通過してしまう。BGMは「SAY YOUR DREAM」。それに合わせて観客は歌い始める。最初は小さかった歌声は、次第に大きくなり、やがて大合唱になる。
ステージに戻りながらHISASHIとTAKUROの会話。
HISASHI「いやー涙あり、笑いあり、最高のライブだったね!」
TAKURO「そうだね!終わったら反省会だ!!」
5万人の歌声の中に笑いが混じる。
そしてステージに戻ったTERUも一緒になってSAY YOUR DREAMを歌う。この曲が今日のセットリストに入らなかったのは謎だ。
写真撮影、最後のMCを経て、メンバー、再びステージに登場したストリングスチームを紹介する。そして最後の曲へ。
EN4,BEAUTIFUL DREAMER
「夢見ていこうぜー」でお馴染みのナンバー、「BEAUTIFUL DREAMER」が大ラス。今回は「夢見て―」の前に「いくつになっても」という言葉を付けて叫んでいた。なんて素敵な言葉なんだろう。
今日はどれだけ腕を振って「GLAYチョップ」をし、どれだけ声に出して歌い、どれだけ胸を撃たれ涙が浮かんだだろう。その最後に、まるで「まだまだこの先、GLAYは続いていくよ」と言われているような曲を届けてくれる。GLAYのファンって幸せだな、素直にそう思った。
演奏終了後、普段はステージの両脇、センターステージへと足を延ばして挨拶をするけれど、今回はそれがなく、オマケにリーダーの「YES!!」もない終演だった。TERUの「行ってきまーす」に対し、客席からは「行ってらっしゃーい」のコール&レスポンス、それと同時に火薬の発破があり、ステージが煙幕に消え、メンバーもステージから姿を消す―という演出。
場内は暗くなりエンディングムービーが流れる。その最後「永遠にGLAYをやりたいです」という文字が映し出される。以前のライブで「死ぬまでGLAYをやらないか?」とHISASHIが言ったことに対する、メンバー4人の回答がこれだろう。これまで「永遠」という言葉を否定してきたTAKURO率いるGLAYが、永遠にGLAYを続けたいと表明してくれる。なんて粋なんだろう。これまでも「解散しないバンド」とは言ってきたけれども、「永遠」とは言ってこなかった。私はそれを新たな決意と受け取った。
最後に、この日1番印象に残ったMCに触れたいと思う。
「3年後か5年後か10年後かわからないけど、またドームでやりたいね。でもやりたいと言ってできる場所じゃないから。まじめに音楽に打ち込んでアルバムを作って、ホール、アリーナでライブして。その先にドームでのライブがある」。
夢を叶える、約束を守る、GLAYはそういうバンドだ。とかく派手なところに注目してしまいがちだけど、GLAYは目標を成し遂げるために、準備と努力を怠らない。私もGLAYだから、そうあろう。人混み溢れる日曜夜、雨上がりの東京ドームシティを、夕食を食べる店へと歩きながら、そう思うのであった。
ちなみに…
翌日、東京からの帰路、某青い会社の飛行機に乗ると、機内オーディオではGLAY特集が組まれていた。なんてタイムリーなんだろう!昨日聴いた曲ばかりが流れてくる。そうしてまた、一人余韻に浸っていたのは言うまでもない。
