ミレニアル世代から見たビジュアル系との距離感について
1980年代生まれなので、1990年代のビジュアル系ブームは、横で見ていた。とはいえ、世代的には、少し上の世代のものだったと思う。
最初に触れたのは、ラルク。恐らく、るろうに剣心のEDだったと思う。
そもそも虹が映画の主題歌だった。
虹が収録されたHEARTは、ラルクで個人的に一番好きな作品だ。
Cureへの窓を開いてくれたのは、確実に彼らである。
また同年にhideがバンド形態で活動をやり始めるが、事故死したことで、個人的にビジュアル系との回路が断たれてしまった。実際、Xはそこまでじゃないけど、hideは好きという人が俺の周りには結構いた。
これと同時期にAIRJAMと日本語ラップが急激に盛り上がってくる。
くるり、ナンバーガールとかの98年世代もこの時期だ。
Dragon Ashが98年リリースのBUZZ SONGで「顔を白くしてもてはやされる人」とmelancholyで歌っているのだが、この冷めたリアリティが、自分には響いた。
この辺りからビジュアル系=俺の中では違う人たちというカテゴリーになっていく。
ティーンエイジャーなんて、敵を作ってなんぼみたいなところがあるので、仮想敵としてビジュアル系というのは非常に分かりやすかった。
このムードを感じたい人は、漫画BECKでのビジュアル系の扱いを見ると、よくわかると思う。

しかし、捻じれ現象なのは、Dragon Ashの馬場さんはビジュアル系出身だったりするし、Dragon Ashが多くの影響を受けたMAD CUPSULE MARKETSもビジュアル系のシーンと近い場所に居た。
というか、80年代にそんな言葉はなかった。とMADの上田さんも言ってる。要はニューウェーブ/ゴス/ポストパンクだろう。実際、BUCK-TICKとの共振も後から聞いて理解した。
そもそもDragon Ashの影響先であるSmashing PumpkinsはCureの影響をかなり受けているわけで、ビジュアル系的な耽美な音作りとも相性がいいはずだ。なのに、何故か別の場所に居て、近からず遠からずの位置で交流をしていないというのが実情だったと思う。
んで、なんでこうなったのか?というと、雑誌云々よりも、俺は音楽におけるマッチョイズムみたいなもんが大きかったのではと思う。
これは異論反論は大歓迎で敢えて言うが、AIRJAM、日本語ラップ、98年世代には内面化されたマッチョイズムがあった。
実際、ライブには男性に来てもらいたいみたいな意見を俺は結構目にしたし、そもそもモッシュやサーフなんかは、ヤンチャの遊びである。
そんなムードに無縁な文系代表格であるくるりやナンバーガールにしろ、リリック自体はかなり無頼だ。
くるりのリコシェという曲の歌詞は、赤裸々と言えば赤裸々だが、一歩間違うとマノスフィアのダークサイドに落ちていきそうな感覚がある。
もちろん、その危うさが魅力なわけだが。
要は男に認められてナンボみたいなことである。
そして、男の壊れやすさや虚無を美しく描く。というのは確実にあった。
そして、このムードも漫画のBECKには刻印されている。漫画に登場するビジュアル系バンドのベルアームのファンが女性たちなのだが、描写がひどい。女性に対するリスペクトが無く、周縁化されている。
雑誌にも、こうしたムードはあったけれど、どちらかというとファン、演者、フェス、メディア全般がよくわからん仮想敵としてビジュアル系を作ってたというのが、自分の実感である。
実際、サマーソニックの前身にあたるビューティフル・モンスターズ・ツアー(マリリン・マンソン主催のフェス)で、ピエロのキリトが、洋楽ファンに対して「ビジュアル系バカにすんなよ」というMCをしたのだが、当時、結構話題になっていた。
これを教えてくれたのは、アートや漫画が好きなクラスメートの女の子で、彼女は耽美的なものへの興味からビジュアル系に入ったというパターン。
こういう繊細さを、俺は男らしくないと切り捨てていたが、彼女に色々教えてもらった。そのくせキュアーやラルクが好きとは男の前では言いにくかった。なよっちいとバカにされそうだからだ。なので、隠れて聴いていた。
キリトの件については、詳しくはこちらを読むと良いと思う。よくまとまってる。
こうしたムードが徐々になくなるのは、凛として時雨がルナシーの影響を隠さなかったり、9mmがビジュアル系にも好意的だったことが大きい。ノベンバーもラルクの影響を公言していたし、つまりゼロ年代後半辺りだ。
実際、俺も20歳ぐらいでようやくフラットにビジュアル系のバンドを聞けるようになった。とはいえ、一番デカかったのは、MIYAVIだったような気がする。ビジュアル系にルーツがありながら、ラウドなロックをファンクロック的な方法論でやるというのは、まさにコペルニクス的な展開だった。

こういうのは、人の記憶にしか残らないわけで、そういうのは、いろんな人の証言を見ながら検証する以外無いのだろうなと思う。
これはあくまで、自分の見た目線なので、他の人の意見も聞いてみたい。
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