仕事には戻ったがまだもどりきっていない。
2週間ぶりに仕事へ復帰した。
正直少し緊張していた。
でも職場へ行くと、みんなが気づかってくれた。
「大丈夫?」
「無理せんといてな」
そんな言葉が嬉しかった。
前にメンタルの不調で休んだ時は
休んでいてもしんどかった。
気持ちを埋めようと無理に予定をいれたりもした。
でも今回は少し違った。
手術をして、休んで少しずつ回復していく。
それを自分でも実感できていた。だから安心して休めたのかもしれない。
それから今回の入院で思ったことがある。
断ること。
お願いすること。
弱いところを見せること。
私は昔からあまり得意じゃない。
迷惑をかけたらあかんと思っていた。
できるだけ自分で何とかしようとしていた。
でも今回はそうもいかなかった。
先生にも頼る。看護師さんにも頼る。家族にも頼る。職場にもお願いする。
そして甥っ子にも頼った。
「お見舞いに来てほしい」「寂しいから」
そんなことを言った。
修学旅行のお土産を持ってきてくれた。
色んな種類の煎餅とキーホルダー。
「かわいいのいつもつけてたいからお願い」って
頼んであった。
渡された紙袋から出てきたのはご当地感ゼロの
腑抜けた三毛猫のキーホルダーやった。
男の子なんてこんなもんかと笑った。
次の日の朝、「今日も散歩ついでに行こうかな」とLINEが来た。
「うれしいー!来て!」
そう返した。
しばらくして病室に現れた甥っ子はなぜか大汗をかいていた。
どうしたん?と聞いたら、家から30分くらい走ってきたらしい。バスに乗ればいいのに。
なんでほんまに走ってきたんやろ。
「バス代もったいないから運動ついでに」
と言っていた。
でも4泊しかしていない入院中に2日連続で来てくれた。荷物も持ってくれた。嫌そうな顔をしながら結局持ってくれた。
今まで私は甥っ子にあれこれしてきた方やと思う。ご飯のことを心配したり、話を聞いたり、
かわいい、かわいいとこねくり回したり。
でも今回は少し立場が逆だった。
頼る側になった。
今まで助けてもらうのを遠慮しすぎていたのかもしれない。
弱さを見せるのは怖い。
お願いするのも勇気がいる。
でも全部ひとりで抱えなくてもいいんやなと思った。
仕事の終わりに、半年も経たない新人さんが辞めるらしいという話を聞いた。
「しってるー?」となんかちょっとだけ嬉しさを
含んだ感じで聞かれた。
普段から社内のうわさにうとい。
「しらんわーそうなんや」と返した。
初日に意気込んで行ったのに、ちょっとむなしく感じた。
バスに乗ればスマホを見ているうちに家に着く。
体は疲れているはずやのに、なぜか今日は乗る気になれなかった。
夜風が気持ちよかった。
商店街では祭りの準備をしていたし、セブンイレブンはスムージー半額で賑わっていた。
近所の居酒屋からは魚かなにかを焼く匂いが換気扇からぶんぶん出ていた。あまりにも美味しそうな匂いやったから思いっきり吸い込んだ。
歩きながら思った。
たぶん私は仕事の疲れや新人さんが辞めること、
いろんな気持ちをそのまま家に持ち帰りたくなかったんやと思う。
だから歩いたのかもしれない。
夜風にあたりながら。
匂いを嗅ぎながら。
少しずつほどきながら。
帰る頃には気持ちが軽くなっていた。
身体は重い。
うまくいく日もあれば、うまくいかない日もある。
それでも今の私はその間を行ったり来たりしながら生きている。
これはまだ完全じゃないわたしの途中の話です。
