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ただの曇り空だった私の未来の空

花火の音がした。

窓を開けると、猫たちがやってきて私は一緒に窓の外を見つめた。優しい夜風と、虫たちの鳴き声、さらさらとしたかすかな稲穂たちの掠れる音がする。

肝心の空は曇っていて、音はすれども花火たちの姿は見えないようだ。

「見えないねえ」

私がそうつぶやく声にちらりと反応しながら外を不思議そうに見つめていた猫たちは、次第に飽きたのか窓の外を見るのをやめてしまった。

一人になった寝室の暗闇から見つめる曇った空は、どこかで花火たちが絶え間なく音を鳴らしていた。

この一週間、私は自分のこれからと、家族のこれからと、色々なことを前向きに考えた。

前向きに考えた結果、挑戦したいと思っていたものを「今すぐ」するのはやめて、時期を見て動こうと決めた。家族のためであり、自分のためだ。

当然だが悔しさは残る。挑戦して失敗するより、やらずに後悔するというのはきっと私の性にあわないんだろう。だけど諦めたわけではないから、この悔しさはいつかきっと糧になる、そう自分に言い聞かせる。

探しても見えてこない花火を見て、まるで私のつかみたい何かのようだと感じた。

あの空のどこかに、どこかに確かに存在するのに
探しても、探しても、今の私にはそれを見つけることが出来ない。

晴れていたら、家の角度が違えば、見えるのかもしれない、だけど今は、その方法をすることができず、見えないという事実を受け止めるしかないのだ。

山口葵となり、共感覚アーティストとなり、もう4年も経つ。一昨年の私よりも去年、去年の私よりも今年の私の方が前に進めている。だから今年は諦める私のひとつの夢への挑戦も、来年の私がやれば、もっともっと今よりも苦しみなく進めるのかもしれない。

あんなに困難だと思っていたことが、少しずつ叶っていっているのに、
目の前の成果を見ずに、私はすぐに空を見上げて花火が見えないと嘆いている。

だけどいつだって空を見つけて探し続けることの大切さも、私はこの発信を続けている年月とともにわかっている。

今、自分の活動は念願の教育の領域に進むことになった。まだ最初の一歩でしかないが、大きな一歩だ。それらを踏まえ、来年は慌ただしくなる。

あの時手を伸ばしてもただの曇り空だった私の未来の空は、少しずつ光が姿を現してくれていて、きっといつか大輪の花火たちが、私の前を照らしてくれるだろう。

その光を全て見るために、私は今日も走り続けることをやめない。


山口葵

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山口葵|共感覚を言葉と絵で伝えるアーティスト 表現者 文章を楽しく書いている中で、 いただくサポートは大変励みとなっております。 いただいたサポートは今後の創作活動への活動費等として 使わせていただこうかと思っています。 皆さま本当に感謝いたします。