魔女のハーブは、あんまり甘くない 6ー9 魔女と星の未来(9)
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◯港の街(お昼をむかえるころ)
ユイが、買い物袋をかかえて、赤いレンガ倉庫のそばを歩いている。
港の空に、なにか、光るものが見えた。
ユイ「?」と、不思議な顔。
ひかりのわたの中のアカリ、ゆっくりと、山の下公園におりる。
公園のカモメたちが、おどろいたように、ばささと羽をはばたかせる。
アカリ「よかった、なんとか、着いた・・・・」
アカリ、ほっと息をはくと、ペンダントの光が小さくなり、ひかりのわたもすっと消えた。
アカリ「・・やっぱり、この街の空気が好き・・、あれ?」
アカリ、手をひろげて、すーっと大きく息をすうと、ホウキに乗ったセーラが空に見えた。
セーラ「あー、やっと、おいついた!」
セーラが、肩にココをのせ、ゆっくりと空からアカリのそばにおりてくる。
セーラ「アカリちゃん、どんどん、空のなかを進んでいっちゃうから・・・・!」
セーラとココ、ホウキから、おりる。
アカリ「・・ごめんね。わたしの、わがままで・・・・」
アカリ、苦笑いする。
セーラ「・・アカリちゃん、やっぱり、この街に、もどってきたんだね」
ココが、地面におりて「ニャ」となく。
アカリ「・・うん、やっぱり、この街で、ハーブのお店やってるのが、わたしは好きなの」
アカリ、港を見ながら、つぶやく。
カモメたちが、鳴き声を、ひびかせている。
セーラ「・・そうだね、それが、いいと思う」
セーラ、ふっとほほえむが、すこしすると、じっとアカリを見る。
セーラ「・・でも、アカリちゃん。いまの、ひかりのわたって、自分でつくったの?」
セーラの言葉に、アカリ、すこしかんがえる。
アカリ「・・うん、レオーナちゃんのときを思い出して、やってみたの。そしたら、なんか、できちゃった・・・・」
アカリがいうと、セーラ、小さく顔をふせる。
セーラ「アカリちゃん・・、その魔女のちからって、リサさんよりも・・・・」
アカリ「・・・・え?」
セーラ「・・う、ううん、なんでもないの」
セーラ、はげしく顔を(?)ふる。
アカリ、しばらくセーラを見ていたが、やがて、走ってくる足音にきづく。
ユイ「アカリ・・・・?」
アカリ、うしろからの声に振りむく。
公園の入口に、買い物袋をかかえたユイが立っていた。
アカリ「ユイちゃん・・・・?」
アカリ、おどろいて目をひらく。
ユイ「・・か、帰ってきたの?」
ユイ、入口そばのベンチに買い物袋をおくと、アカリのほうに歩み寄る。
アカリ「・・うん、ごめんね。いきなりいなくなっちゃって」
アカリ、ちょっと、いいづらそうに、声をだす。
ユイ「・・本当よ。まったく心配をかけて。それに、どうしたのよ、そのドレス姿は?」
ユイ、腰に手をあてて、金のドレス姿のアカリにいう。
アカリ、えへへ・・と、ちょっと照れ笑い。
ユイ「この、わがまま娘・・・・」
ユイ、両腕をひろげて、アカリを力いっぱい抱きしめる。
ココ、2人の姿を、じっと見ている。
セーラ、2人を見て、ちょっと、うらやましそうな視線をむける。
ユイ、セーラに、きづく。
ユイ「あれ、アカリ、この人は・・・・?」
ユイ、アカリから、すこしはなれて聞く。
アカリ「・・ああ、この子は、セーラちゃんといって、魔女の、お友だちなの」
ユイ、おどろきの表情。
ユイ「え、魔女の・・。あれ、魔女って、リサさんだけじゃなかったの・・・・?」
セーラ、ひきつって笑う。
アカリ「・・う、うん。話すと、ながくなりそうだから・・、お店に行こっか」
アカリ、ベンチの買い物袋を、よいしょと持つ。
ユイ「うん、そうしよ。今、あたしが、お店やってるから」
アカリ、ユイの言葉に「?」の表情。
アカリ「え? リサさんに、たのんだはずだけど・・・・」
今度は、ユイが、こまった顔。
ユイ「うーん、そっちも、ながくなりそうねえ・・・・」
ココ、ニャと鳴く。
ユイ「あれ、この猫ちゃんは・・・・?」
ユイ、足元の、ココを抱き上げる。
ココが、うれしそうに、ユイのほおをなめる。
セーラ「え、また、あたしより、なついてる・・・・?」
セーラ、2人のあとを、歩く。
◯ココリコ坂(昼ごろ)
フードの少女、ポケットに手をいれて、ココリコの坂道をくだっている。
すると、坂をのぼってきた青年が近づいてきた。
少女「・・・・?」
少女、長い前髪を指であけて、青年を見る。
青年「・・あの、このあたりで、ハーブをあつかっているお店を、知りませんか?」
青年、腕に、小さな猫をだいていた。
少女、一瞬、猫と目があうと口をひらく。
少女「・・ごめんなさい、あたし、よく知らないんです」
少女、前髪で瞳をかくす。
猫が、ちょっと首を(?)かしげる。
青年「そうですか・・。失礼しました・・、あれ?」
青年、坂をのぼりかけて、少女に、ふり向く。
少女「・・・・?」
少女、足をとめる。
青年「・・あの、どこかで、お会いしたこと、ありますか?」
青年、少女の前髪のすき間をのぞくように、かたりかける。
少女、首をふる。
少女「いいえ、まさか・・・・」
少女、もう一度、猫と目をあわせる。
少女「(小声で)でも・・、ちかいうちに、また会うときがくると、思います」
青年「・・え、なんですか?」
青年、聞き返すが、少女は坂をおりていく。
やがて、坂のむこうから、汽笛がひびいてきた。
青年「そうだ、坂のてっぺんからなら、見つけることが、できるかも・・・・」
青年、猫にいうと、ココリコ坂をのぼっていく。
少女、ぴたっと足をとめると、ふりむいて、青年をおうように、ココリコ坂をのぼりはじめる。
◯アカリのお店(昼と夕方のあいだ)
エプロン姿のユイが、アカリとセーラに、ハーブティーをだす。
2人とも、うれしそうに飲む。
アカリ「おいしー、ほんのり甘くて」
セーラ「ほんと、とんできた疲れが、いっきに、ふきとんだ感じ」
ココ、床で「ニャ」となきながら、ミルクを飲む。
ユイ「・・へへ、アカリみたいに、すっぱくないけどね」
ユイ、腰に手をあてて、得意げな表情をつくると、お皿にクッキーをのせてだす。
セーラが、わあと、よろこんだ顔。
アカリ「えー、でも、わたしは、すっぱいほうが好きかなー」
アカリ、ティーカップをながめていう。
セーラ「クッキー、いただきまーす」
セーラが、クッキーを口にいれると、お店のドアが開いた。
アカリ、おどろいたように、イスから腰をあげる。
セーラが、「?」とむせる。
アカリ「ソウタさん・・・・」
ソウタ、のら猫をかかえて、息を、はずませている。
ソウタ「・・・・会いにきたよ」
セーラ、ごくっと、クッキーを、のみこむ。
ユイ「?」と、アカリとソウタを、交互に見る。
ユイ「・・・・だれ?」
セーラ、ユイにちかづいて、こっそり耳打ちする。
ユイ「・・え? この人が、アカリの・・?あの、ノアちゃんが、いってた・・・・?」
ユイ、おどろいた顔。
アカリ「ソウタさん、見たと思うけど・・。わたし、ふつうとは、ちがうかもしれないの・・」
アカリ、ペンダントに指をあて、つぶやく。
ソウタ、つよく首をふる。
腕のなかの、のら猫が、するりと床におりる。
やがて、ココと目が合うと、そばにいき、いっしょに座る。
ソウタ「・・かまわないさ。この街で、始めよう」
ソウタ、アカリを、つよく抱きしめる。
アカリ「・・・・」
アカリ、ソウタを、ぎゅっと抱く。
セーラとユイ、おどろいて2人を見ていたが、やがて、小さくほほえむ。
ユイ「・・なんか、よくわかんないけど、いろいろあったみたいね」
セーラ「うん、いろいろあった、楽しい旅だったね・・・・」
ココ「ニャ」と、アカリとソウタにむかって鳴く。
窓の外は、くらくなり始めていた。
フードをかぶった少女が、お店の中を、そっと見ていた。
空には、7つの星が、うかんでいた。
少女「・・そっか、ここからなのか・・・・」
少女、星の空に、つぶやく。
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<6ー10に、つづく>
