魔女のハーブは、あんまり甘くない 6ー8 魔女と星の未来(8)
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◯森の学校のそば(夜になった空のした)
草のなかで、青いたまごが、光っている。
メルルと女の子、ゆっくりと、たまごに、ちかづく。
子ヤギが、そばで、2人の様子を見ている。
女の子「お姉ちゃん、このたまごって、魔物の、たまごじゃないよね・・・・」
女の子が、小さな声できく。
メルル「・・え、どうして、そう思うの?」
メルルが、ちらっと、女の子を見る。
女の子「先生たちが、いってたの。すっごいむかし、世界には、魔物がいたって・・・・」
メルル、だまって、女の子の話に、耳をかたむける。
女の子「でも、魔女さんたちが、魔物をけして、光の街を、つくってくれたって・・・・」
メルル「・・・・」
メルル、左耳のキズをさわる。
女の子が、「?」の顔。
女の子「おねえちゃん、そのキズ・・・?」
メルル「・・ううん、大丈夫よ。なんでもないの」
メルル、胸のペンダントを、卵に近づけた。
ペンダントが光ると、卵が光りはじめた。
子ヤギが、すこし、うしろにさがる。
女の子「・・光ってる? でも、こわい魔物だったら、どうしよう・・・・」
女の子、両手を、胸のまえで、あわせる。
メルル「・・大丈夫よ。これは、魔物なんかじゃないわ」
メルル、女の子の手を、そっとにぎる。
女の子「・・わかるの、お姉ちゃん?」
女の子が、心配そうな顔。
メルル「ええ。このペンダントが、こうやって輝くのは、正しい心を持ったものにだけ・・。むかしから、そうなの」
メルル、ペンダントを、見ながらいう。
女の子「むかしって・・。お姉ちゃん、知ってるの?」
女の子、不思議な顔で、メルルを見る。
メルル「・・ああ、そ、そうね。人から、聞いたのよ・・・・」
子ヤギが、小さな声をだす。
ーぴきっ。
卵のからに、ひびが入りはじめた。
女の子「・・・・え?」
ーぴきっ、ぴきっと、卵のひびが、どんどんひろがりはじめる。
女の子が、メルルの手を、ぎゅっとにぎる。
やがて、小さな翼が、卵から、とびだした。
女の子、わっと、声をあげる。
メルル「・・大丈夫よ、こわくないから」
まもなくすると、もうひとつの翼が、卵からあらわれた。
2つの翼が、ぱたぱたと、小さくゆれている。
女の子「う、動いてるの・・? やっぱり、魔物・・・・?」
メルル、じっと、2つの小さな翼を見る。
やがて、卵がわれて、からが草の上にとんだ。
なかから、青い光がひろがった。
女の子「・・・・ええ?」
子ヤギが、声をあげる。
青く光る生き物が、目の前にいた。
メルル、そのまま、視線をそらさない。
女の子「鳥・・? え・・、ちょっと形が、ちがう・・・・?」
メルルの胸のペンダントが光り、青い光と、まじわる。
すると、青く光る生き物が、舞うように、星空へとのぼっていった。
女の子「お姉ちゃん、あれって・・・・?」
女の子が、青い光を見ながらいう。
メルル「あの星空・・・・」
星空に、7つの光る星が、あった。
メルル「あれは、むかし、いちどだけ、見たような・・・・」
7つの星が、きらりと光った。
そばの満月に、青い生き物のシルエットが、うかびあがる。
子ヤギが、星空にむかって小さくないた。
◯ユンカー家(昼ごろ)
アルカスが、書斎で、本だなを整理している。
歴史書などの分厚い本が、机につまれている。
メイドが、書斎に顔をだす。
アルカス「・・ん、どうかしたのかね?」
アルカスが、本を見たまま、メイドにいう。
メイド「・・はい、いま、ふしぎな方から、電話がはいって・・・・」
メイドが、すこし、困惑した表情。
アルカス「・・ふしぎとは、どんな人なんだね?」
アルカス、本をめくる手を、とめる。
メイド「・・はい、ただ、アルカスさまの声がききたいと、いいつづけるんです」
アルカス、本をとじる。
アルカス「私の声を・・・・?」
メイドが、こくりと、うなずく。
アルカス、あごに手をあて、すこし考える。
アルカス「・・わかった、つないでくれ」
メイドが、部屋をでていくと、アルカス、机のはしにおいてある電話をとる。
アルカス「もしもし、かわりましたが」
少女「アルカス、さん・・ですか?」
受話器から、小さな少女の声。
アルカス「・・はい、私ですが。どんなご用ですかな? どうやら、若いかたのようだが」
アルカス、あごをなでる。
少女「・・ええ。1つ、お伝えしたいことがあるんです」
書斎のドアが、そっと開く。
アルカス「・・なにを、伝えたいんですか?」
セウスが、顔をだす。
心配そうな表情を、している。
少女「はい、星が涙をながす時に、気をつけてください」
アルカス「・・・・?」
セウスが、はっとした顔。
アルカス「・・わかりました。ご忠告ありがとう。それで、あなたは、だれなんですか?」
セウスが、書斎に、はいってくる。
少女「・・わたしは、星の、旅人です」
アルカス「・・・・は?」
電話が切れる。
アルカス、しばらく受話器をながめていたが、セウスを見て笑うと受話器をおろす。
セウス「・・だれからだったの?」
アルカス「星の旅人、とかいう人さ」
セウス「・・星の旅人?」
セウス、イスに腰をおろす。
アルカス「まあ、不思議な人が、いるものさ。ところで、どうして、きたんだい?」
セウス「・・ええ、メイドさんの表情が、いままでないくらい緊張してたから、なにがあったのかなと思って・・・・」
アルカス、苦笑いする。
アルカス「・・あいかわらず心配性だな。アカリたちは、まったく、そんな素振りもないのに」
セウス、小さくわらう。
アルカス「でも、あの声、どこかで、聞いたような・・。それに、〈星が涙を流す時〉とは・・?」
アルカス、すこし考え込んだ顔。
セウス「・・・・?」
セウス、窓の外が、くらくなっているのに、きづく。
セウス「あら、空が・・・・?」
7つの星が、空に、うかびあがっていた。
◯港がよく見える丘公園(空が、暗いころ)
公園のすみの、赤い電話ボックス。
水色のフードをかぶった少女、電話ボックスから出てくる。
港の船の汽笛が、ひびいてくる。
少女「あれが、あの人の声・・・・」
少女、公園の柵ごしに、港を見ながらいう。
少女の胸のペンダントが、光る。
空の、7つの星が光った。
少女「聞こえる、星からの声が・・・・」
少女、星空に、つぶやく。
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<6ー9に、つづく>
