魔女のハーブは、あんまり甘くない 6ー7 魔女と星の未来(7)
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◯森のなか(お昼ごろ)
メルル、森の庭園をぬけて、風がふく草原を歩いている。
風で、栗色の髪が、なびいている。
メルル「・・よかった。わたし、この姿のままなのね」
メルル、小さな水たまりに映った、自分の顔を、見ながらいう。
メルル、左耳のキズを、さわる。
メルル「でも、これは、なおんないか・・・・」
メルル、つぶやいて歩きはじめると、森のなかに、小さな学校があった。
柵の外にでたヤギたちが、木のしたで休んでいる。
小さな校庭で、子どもたちが、はしゃいでいる。
青空にむかって、歌っている子もいた。
メルル「あー、楽しそうね。・・あら?」
メルル、すこしはなれた切りかぶに、すわっている女の子に歩みよる。
女の子、絵本を読んでいた。
メルル「・・なに、読んでるの?」
メルルが声をかけると、女の子、顔をあげる。
女の子「・・お姉ちゃん、魔女って知ってる?」
メルル、ちょっと、おどろく。
メルル「え、ええ。まあまあ知ってる・・かな」
女の子、わあと、うれしそうに目をひらく。
女の子「・・あたしね、大人になったら、魔女になるのが、夢なの」
と、手にした絵本を見せる。
絵本の表紙には
〈魔女座の、ふしぎ>
というタイトルが、書いてある。
メルル「魔女座・・・・?」
メルル、女の子の、となりにすわる。
メルル「おもしろいの、読んでるのね。ほんとに、魔女が好きなのねー」
ヤギの声が、風にのって、聞こえてきた。
女の子「・・うん、たまに、お星さま見てると、魔女の形をした星座が、見えるの」
女の子が顔をあげると、メルル、へえ、と声をだし、いっしょに青空を見る。
メルル、女の子の横顔を見ると、ふっとほほえみ、きりかぶから腰をあげる。
メルル「・・じゃ、お姉ちゃんが、おもしろいもの、見せてあげよっか」
女の子「・・・・?」
メルル、麻のふくろから魔女の種をだすと、ひとつぶ、土に植える。
すると、みるみると、土から、きれいな花がでてきた。
木のしたで寝ていたヤギが、目をさました。
女の子「え、なに・・、お花が、いっぱいでてきた・・・・?」
女の子、色とりどりの花を見て、目を丸くしている。
ヤギが、小さくなく。
メルル「・・これで、すぐに、お花畑が、できるわ」
メルル、おどろいている女の子を見る。
女の子「お姉ちゃんって、魔法使いさん・・?」
女の子が顔をむけると、メルル、すこし照れたようにわらう。
女の子「・・じゃあね、あたしも、いいこと、教えてあげる」
女の子、絵本を、ぱたんと閉じる。
メルル「・・え、いいことって、なに?」
メルル、女の子を見る。
女の子「・・なんかね。大きな卵を、見つけたの」
女の子、にっこりわらう。
メルル「・・・・たまご?」
メルル、目をひらく。
女の子「うん。お星さまから、落ちてきたの」
女の子、青空を見ていう。
ヤギが、花のにおいを、かいでいる。
メルル「・・・・?」
女の子、切りかぶからたちあがり「こっち」と、ゆびをさすと、メルル、いっしょに森の奥に入っていく。
やがて、草のベッドで、子ヤギが横になっていた。
女の子、子ヤギのうしろにある草を、かきわけると、青い大きな卵があった。
女の子「・・ね、これ、きれいでしょ」
メルル、目をひらく。
子ヤギが、青いたまごを、見ている。
メルル「これ・・、星空から、落ちてきたの?」
メルルがきくと、女の子、こくりとうなずく。
女の子「うん、夜に、ヤギさんたちが鳴いてるから、どうしたのかなって思ったの。そしたら、ここに・・・・」
メルルの胸のペンダントが、光る。
空が、だんだんと、暗くなりはじめた。
女の子「あれ・・、お空が、きゅうに、暗くなって・・・・?」
女の子、空を見あげて、不思議な顔。
やがて、空に、7つの星がみえはじめた。
青い卵が、光りだした。
メルル「これって・・?」
子ヤギが、草のベッドから、そっと、たちあがった。
◯カミーユの家(お昼のなか)
カミーユの家の、リリアの部屋。
カミーユが、もらった薬を飲まそうとするが、リリアが、ベッドの上で、あばれている。
リリア「やだ。薬って、きらいー」
リリアが、カミーユがさしだす薬を、枕でふせぐ。
カミーユ「リ、リリア、そんなこといって・・」
カミーユ、困った顔でいると、となりにいるナナ、はっと、なにかに気づいた顔。
ナナ「・・・・じゃ、これは?」
ナナ、バックからハーブのはいった袋をだすと、2人に見せる。
カミーユ「それって・・、ハーブ?」
リリアが、ぴたっと、あばれるのを、やめる。
ナナ「・・うん、これって、すっごい回復するの。ハーブのお店のお姉ちゃんに、もらったんだけど」
カミーユ、「ど、どうかな・・」と迷っていると、リリア、枕をおろす。
リリア「うん、それ、飲みたいー」
リリア、ぱっと、明るい顔になる。
ナナ「・・ね、キッチン、かりるね」
ナナ、笑いながら、部屋を出る。
カミーユ「・・・・う、うん」
ナナが、階段をおりていく音が小さくなると、リリア、カミーユにせまる。
リリア「・・おにーちゃん。どうして、ナナさんと、いっしょにきたの?」
カミーユ、どきっとした表情。
カミーユ「え、それは、ナナが、自分から・・」
リリア、枕を、カミーユの顔の前に、さしだす。
リリア「ほんとかなー。おにーちゃんが、誘ったんじゃないの?」
リリア、カミーユを、じろじろ。
カミーユ「ち、ちがうって、ほんとに・・・・」
リリア、枕をぼんと、カミーユの顔に、おしつける。
ナナ「はい、おまたせー」
ナナが、トレイにハーブティーをのせて、もどってきた。
リリア「・・・・・わあ、いい香り」
リリア、枕を、カミーユの顔からはなし、身をのりだして、ティーカップを手にとる。
カミーユ「・・・・」
リリア、ハーブティーを飲むと、はあっと、笑みをうかべる。
リリア「あー、おいしい。すっごい元気でる」
リリア、ぐっぐっとハーブティーを飲みほすと、「?」と足を見る。
リリア「あれ、足が・・・・?」
リリア、ぱっと、ベッドから立ち上がる。
ナナ、ティーカップを、トレイにのせる。
カミーユ「リ、リリア・・・・?」
カミーユ、おどろきの顔。
リリア「・・ん、なんか、熱も、なくなったかな?」
リリア、自分のひたいに手をあてて、うれしそうな表情。
ナナ「・・ね、このハーブティーって、薬よりきくんだよ」
ナナとリリア、顔を見合わせて笑う。
カミーユ、あっけにとられている。
リリア「よーし、また、ふくろうのおじさんと遊ぼうっと」
リリア、ぴょんと、ベッドから飛びおり、部屋を出る。
ナナ「・・あ、じゃ、あたしも、行くー」
ナナ、リリアにつづいて、階段をおりていく。
カミーユ「ま、まって・・・・!」
カミーユ、あわてて2人をおう。
リリアとナナが、玄関をあけると、庭の木の上に、ふくろうおじさんがいた。
リリア「・・あ、おじさん」
リリア、うれしそうな声を、あげる。
おじさん「・・おお、リリアちゃん、ひさしぶりだね。クルミをもってきたよ。この時期は、とくにおいしいからね」
ふくろうおじさん、すとんと地面におりると、クルミを、リリアにわたす。
リリア「やった、いただきまーす」
リリア、よろこんで、クルミを受けとる。
ナナ「おお、よかったね。あたしも、すこし、もらっちゃおうかなー」
カミーユが、おくれて玄関から顔をだすと、はっと、ナナのうしろのほうから歩いてくる、サウィンに目をとめる。
カミーユ「あれ、サウィンちゃん・・・?」
サウィン、カミーユと目があうと、ふっと笑う。
サウィン「やっぱり、気になって来ちゃったの。あら、けっこういい家じゃない。まあ、わたしの家には、かなわないけど・・・・」
サウィン、クルミを抱えているリリアを見ると、
安心した顔で、髪をなでる。
サウィン「・・あら、なんだか回復したみたいね。じゃあ、今晩の夕食には、じゅうぶんに、間に合う・・・・」
サウィン、リリアのとなりにいる、ふくろうおじさんと目が合うと、ぴたっと、かたまる。
サウィン「え、ええ・・・・?」
サウィン、その場で、とびあがる。
ナナ、うしろから、サウィンを抱える。
あわわと、サウィンが、ふくろうおじさんをゆびさして、パニックの顔。
おじさん「ありゃ。わしの姿は、子どもには、刺激が強かったかな・・・・」
おじさんがつぶやき、ナナとカミーユ、ひきつって笑う。
サウィン「な、なんで、ふくろうが? しゃ、しゃべってるし・・・・」
サウィンのゆびさきが、ぶるぶる。
リリア「大丈夫。ぜんぜん怖くないよー。お空にも飛べるし」
リリアの言葉を聞いても、サウィン、まだなかば、混乱状態のまま。
ナナ「じゃ、今日の夕食は、サウィンちゃんちで、ごちそうになろうかな・・・・」
ナナがいうと、リリアが、すぐさま反応する。
リリア「やった、楽しみー」
リリアが、ぴょんぴょんと、はねる。
サウィン「あ、あなたたちも、くるの・・?」
サウィン、目をぐるぐるとまわしながら、つぶやく。
カミーユ「あれ、空が・・・・?」
森の空が暗くなり、7つの星が、光った。
ナナの胸のペンダントが、光りはじめた。
ふくろうおじさん、ペンダントと空を見ておどろいた表情。
おじさん「ん、あの7つの星は、まさか・・・」
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<6ー8に、つづく>
