魔女のハーブは、あんまり甘くない 6ー10 魔女と星の未来(10)
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
◯アカリのお店(ハーブ&魔女)
開店前の、アカリのお店。
セーラとユイ、エプロンをまとい、テーブルをふいている。
アカリ、イスのうえで、赤ちゃんを抱いている。
ユイ「あー、アカリ。あたし、赤いレンガマーケットに、買い出しに行ってくるから」
ユイが、元気な声をだす。
アカリ「・・あ、ありがと、ユイちゃん。あと、ハチミツも、お願いね」
ユイ「はいよー。じゃ、ミントちゃん、行ってくるねー」
ユイ、アカリの腕のなかのミントに、ウインクする。
ミントが、小さく「キャ」と、ほほえむ。
ユイが、笑顔で手をふり、お店のそとのストリートを歩いていく。
セーラ「おー、ミントちゃん、いろんな表情が、できるようになったねー」
セーラが、人さし指をだすと、ミントが小さい手で、セーラの人さし指を、そっとにぎる。
窓ぎわでは、ココと、(もと?)のら猫が、いっしょに並んで、ひなたぼっこをしている。
セーラ「お、また2人で、のんびりしてんの?」
セーラ、のら猫のお腹を見ると「?」の表情。
セーラ「あれ、お腹が、ちょっと、ふくらんで・・・・?」
ココ、小さく目をあけて、セーラを見る。
セーラ「ココ・・・・?」
アカリ、壁の時計を見て、はっとした顔。
アカリ「・・あ、ミルクの時間」
アカリが、厨房から、あっためた、ほ乳瓶をだすと、ミントが、ごくごくとミルクを飲みはじめる。
セーラ「おー、ミントちゃん、いい飲みっぷりだねー」
アカリ、にっこりと、ほほえむ。
アカリ「・・そうなの、とっても、ミルクが好きなのね」
ミント、ミルクを飲み終わると、すやすやと眠り
はじめる。
アカリとセーラ、ミントの寝顔を見て、いっしょにほほえむ。
セーラ「・・アカリちゃん、もう、お母さんに、なっちゃったんだね」
セーラ、ミントのほおを、指さきで、なでながらいう。
アカリ「・・ほんとに。まだ、自分でも、しんじられない・・・・」
そとから、港の汽笛の音が、ひびいてきた。
セーラ「この街にきたのって、ほんのすこし前なのに、いろんなことが、あったな・・・・」
セーラ、窓のそとに見える港を見ながら、つぶやく。
アカリの胸のペンダントが、きらりと光る。
ミントが、ぱちりと目をあける。
アカリ「え、ミントちゃん・・・・?」
ココが、「ニャ」となく。
◯妖精の国(地上で、夕方ごろ)
クリスタルの城のなかで、小さな妖精たちが羽をひろげて、わいわい遊んでいる。
テティス「・・ほらほら、みんな、集まって。今夜は、<祈りの儀>よ」
テティス、ぱんぱんと手をたたいて、妖精たちを広場のほうへと、うながす。
妖精たちが、みんな広場に飛んでいくと、テティス、はっと気づく。
テティス「そうだ、レオーナさまにも、声かけなきゃ・・・・」
テティス、階段をのぼり、レオーナの部屋の前にいくと、ぴたっと足をとめる。
テティス「・・あら、レオーナさま、なにを、してらっしゃるんですか?」
レオーナが、部屋のまんなかにすわり、なにか光るものを、手にしている。
レオーナ「・・あら、テティス。アカリさんたちにプレゼントよ。約束ですもの。ちょっと時間、かかっちゃったけど」
テティス、レオーナの手を、じっとみる。
テティス「まあ、それは、ペンダントですか? あのアカリさんに、あげたものを?」
レオーナ、小さく、うなずく。
レオーナ「・・ええ。アカリさんのより、ちょっと小さめだけど、すばらしい力をひめたペンダントなの・・・・」
レオーナが、右、左、両方の手に、ペンダントを持っている。
テティス「あら、2つ、あるんですの・・・?」
テティスがつぶやくと、白うさぎが、ぴょんと、あしもとにとんできたので、テティスが「わっ」とおどろく。
テティス「こ、この子は、たしか、地上から、つれてきた・・・・」
テティス、白うさぎを見ながら、声をだす。
レオーナ「うん、〈みるく〉って名前をつけたのよ。もう、この世界に、すっかり、なじんだみたいね・・・・」
みるく、小さな赤い目を、テティスにむける。
テティス「・・まあ、そうなんですか。みるくちゃんも、ずいぶん大きくなりましたね。この前まで、ほんの、手のひらサイズだったのに」
テティス、手をひらいて言う。
レオーナ「・・ええ。この子も、アカリさんたちに会いたがってるだろうから、そろそろ、地上へ連れていこうかと思ってるの」
すると、レオーナの、左右の2つのペンダントが光りだした。
レオーナ「え、どうして・・・・?」
レオーナ、天井をみると、たくさんの光の柱が、地上から射し込んでいた。
レオーナ「地上からの光が、あんなに・・。なにかあったのかしら・・・・?」
みるくが、ぴょんと、はねた。
レオーナ「あら、みるく・・・・?」
みるくが、部屋のなかを、ぴょんぴょんと回りはじめる。
テティス「・・・・?」
レオーナ「そういえば、みるくに最初に会ったときも、こんな、つよい光がさす夜だったわね・・・・」
レオーナ、天井を見ながら、つぶやく。
◯アカリのお店(夕方ちかく)
お店から、たくさんの街の人たちが、でてくる。
ユイが「ありがとうございました」といって、見送る。
街の人たちが、手をふって帰っていく。
セーラ「おー、おつかれさま。すこし、落ち着いたね」
セーラ、ティーカップをあらいながらいう。
ユイ「・・ほんと、毎日こんなに、いっぱいくるなんて」
ユイが、ハンカチで、ひたいの汗を、ふく。
アカリ「・・2人とも、ごめんね。こんなに、手伝ってもらっちゃって・・・・」
アカリ、ミントを腕に抱きながら、つぶやく。
セーラ「・・べつに、いいのよ。ね?」
セーラ、ユイを見る。
ユイ「そーそー。アカリは、ミントちゃんのお世話に集中しなさい」
セーラとユイが、わらいかける。
アカリ「2人とも、ほんとに、ありがとう・・」
アカリが、2人につぶやくと。お店のそとで、ことん、と音がした。
アカリ「・・あれ? だれか、きたのかな? ソウタさんかな?」
セーラ、あたしが行くねといって、お店の外に出る。
セーラ「え、だれもいないけど・・、郵便かな?」
セーラ、そとのポストのなかを見る。
なかには、赤い封筒が入っていた。
セーラ「・・・・?」
セーラ、お店にもどり、封筒を、アカリに見せる。
アカリ「・・・・え、手紙?」
セーラ、アカリに、封筒をわたす。
アカリ「差出人の、名前が、書いてないね・・」
アカリ、封筒をあけて、手紙を見る。
セーラとユイも、そばで、手紙を見る。
〈10月10日の夜。
南の星空を見てください
星の旅人より >
ユイ「これ・・・・、なに?」
セーラ「星の旅人って・・、だれ?」
セーラとユイが、顔を見合わせ「?」の表情。
アカリも、しばらくだまっていたが、はっと外を見る。
アカリ「あら、空が・・・・?」
アカリ、窓の外が、くらくなりはじめているのに気づく。
いつの間にか、星空が、ひろがっていた。
アカリの胸のペンダントが、つよく光りだした。
すると、ミントの小さな体が輝き出した。
セーラ「え、ええ・・・・?」
ユイ「ミ、ミントちゃん・・・・?」
セーラとユイ、おどろいて、ミントを見る。
アカリ、夜空を見ると、7つの星が、つよく光っていた。
アカリ「え・・・・?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

魔女のハーブは、あんまり甘くない 第6章 魔女と星の未来 END
〈 第7章に、つづく〉
