魔女のハーブは、あんまり甘くない 4ー5 魔女と流星の矢(5)
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◯庭園の中(星の夜)
星空のましたにある、十字架のまえで、メルルとソアラが、むきあっている。
ソアラ「・・魔女の種を、持ってきたの?」
ソアラ、メルルを、見る。
メルル「ええ、みんなにあげようと、思って」
メルル、麻の袋をさかさまにして、ざーっと、種を、手のひらにひろげる。
ソアラ「きれい。一粒一粒が、まるで、かがやく宝石みたい・・・・」
メルル、小さく笑うと、十字架の前に、種をひとつずつ植えていく。
ソアラ、メルルのていねいな動きを、愛しいものを見るような目で、眺めていた。
メルル「・・よし、これで、最後ね」
メルル、いちばんはじの十字架の前に、種をうえると、腰をあげる。
メルル「・・さ、出ておいで」
メルル、地面にむけて、つぶやく。
すると、地面から、たくさんの大きな蕾が顔をだし、色とりどりの花が、さきはじめた。
やがて、庭園は、美しい花と葉で、いっぱいになった。
ソアラ「わあ・・、すごい・・・・」
ソアラ、おどろいて、あたりを見回す。
メルル「・・ええ、みんなの魔力が、まだ土に残っていたから、こんなに早く開花するのね」
ソアラ、しばらくすると、はっとした表情。
ソアラ「・・メルル、もしかして、このために、ここにきたの?」
メルル、視線で、うなづく。
メルル「・・そう、こうやって魔女の種をつかえば、また、光の街がもどるかもしれないって、思って」
メルル、かがんで、地面の土をつまむ。
メルル「ほら、土が、光りだした・・・・」
メルルの手のひらの土が、金色に光っては、また消えるをくりかえした。
メルル「星の光をいっぱいすって、こんなにかがやいて。この花たちも、きっと、いいハーブになるのよ・・・・」
ソアラ、金色の土を見ながら、笑う。
ソアラ「・・ええ。みんな、がんばったものね。黒い大地を、光らせるために・・・・」
ソアラ、ふっと、小さく肩をおとす。
ソアラ「でも、もう、わたしたちだけじゃ、どうにも・・・・」
メルル「・・いえ、わからないわ」
メルル、口を開く。
ソアラ「・・・・?」
メルル「あれを、見て」
メルルの視線の先に、2つの星が、強くかがやいていた。
ソアラ「2つ・・・・?」
メルル「たぶん、世界のどこかに、あたしたち以外の魔女が、いるんだと思う」
ソアラ「・・・・」
メルル「感じるの。このペンダントが、共鳴してるのが・・・・」
メルルの胸のペンダントが、あわく光りだす。
ソアラ「魔女が・・・・」
メルル「あたしたちが、この姿になれたのは、世界のどこかにいる魔女が、魔力をわけてくれたから・・、きっとそう思う」
メルル、夜空を見ながら、言う。
ソアラ、小さく笑みを、うかべる。
ソアラ「そう・・、そうかもね」
ソアラ、近くの岩に、座る。
ソアラ「・・そういえば、わたしたちも、お互いの魔力をわけあってたものね。そうやって、支え合いながら、光の街をつくった・・」
メルル、小さくうなづいて、ソアラの隣に、腰を下ろす。
2人、向き合ってわらう。
ーざざっ。
背後に、なにかが近づいてくる足音がして、2人とも、おどろいて振り向く。
白い道の奥に、人の影が、見えた。
影が、だんだんと、大きくなる。
メルル「ソアラちゃん・・・・!」
メルルとソアラ、顔をあわせると、すばやく近くの岩の影に、かくれる。
やがて、長い髪の少年が、姿をあらわした。
ソアラ「・・あれ、だれ?」
ソアラ、小さな声で、いう。
メルル「顔が、よく見えない・・・・」
少年、噴水の前までくると、両手で水をすくい、ごくごくと、飲み始める。
ソアラ「・・どうして、この場所を知っているのかしら? わたしたち以外は、とびらを開ける言葉を知らないはずなのに・・・・」
メルル、岩のかげから、ゆっくりと顔をだして、少年を見る。
メルル、はっとした顔。
メルル「あの人は・・・・!」
ソアラ「・・・・?」
メルル、左耳をさわる。
ソアラ「メルル、こっちに、森へ出る小道があるから。それを使うわよ。見つからないようにね」
ソアラ、奥に見える、小さなあなを見る。
メルル「・・うん、わかった」
ソアラ「・・じゃ、わたしが、先にいくね」
ソアラ、目で合図すると、音を立てないように、すばやく、奥のあなに歩いていく。
やがて、ソアラの姿が、あなの奥に消える。
メルル「・・・・」
メルル、いちど、ふうっと、深呼吸をする。
少年が、水を飲んでいるのを見てから、メルル、あなにむかって走り出す。
メルル、小さな岩につまづいて、「あっ」と声をあげて、たおれる。
少年、おどろいて、顔をあげる。
メルル、振り向くと、少年と目があう。
メルル「・・・・!」
少年、メルルのほうへ、走り出す。
メルル、立ち上がり、あなのほうへむかって走ろうとするが、少年が、すぐにおいつく。
少年「ま、まってくれ!」
少年、さけびながら伸ばした手で、メルルの手をにぎる。
メルル、少年に振り向く。
少年が、息をきらしながら、メルルを見つめる。
メルル「・・・・」
少年「やっぱり、キミだったんだね・・」
メルル「・・・・!」
夜空のむこうがわに、月が、見えはじめていた。
◯リサのお店(昼ごろ)
リサ、明るくハミングしながら、テーブルをふいている。
壁の時計が、お昼の12時をさすと、胸のペンダントが、小さく光る。
リサ「あら、ペンダントが・・」
しばらくすると、ペンダントの光が、きえた。
リサ「最近、どうして・・?」
リサ、手のひらに、ペンダントをおく。
ノア「おはよーございます」
ノアが、階段から、姿をあらわした。
すこしみだれた髪を、手でおさえている。
リサ「あ、おはよう。よく眠れた?」
ノア「ええ、こんな時間まで寝ちゃいました。あれ、リサさん、どうかしたんですか?」
リサ「・・・・?」
ノア「なんか、ちょっと、つかれた感じの顔なんですけど・・・・」
リサ「え? そ、そうかしら?」
リサ、頬に、手をあてる。
リサ「・・あ、ノアちゃん、髪がそんなに。ブラシを、かけてあげるね」
リサ、棚からブラシを取り出すと、ノアの髪を、とかしはじめる。
ノア「あ、とても気持ちいい・・、ありがとうございます」
ノア、嬉しそうに、目をつむる。
ノア「・・あたし、お姉ちゃんを、探しに行こうと思うんです」
リサ「・・・・え、一人で?」
リサ、ブラシを持った手を、とめる。
ノア「・・はい」
リサ、ペンダントを見る。
外から、港の汽笛が、ひびいてきた。
リサ「・・あたしも、行くわ」
リサ、ブラシを、動かし始める。
ノア「え? でも、それだと、店番は・・」
リサ「・・・・」
すると、お店の、とびらが開く。
ユイ「あ、リサさん、こんにちはー」
リサ「あ、ユイちゃん・・・・」
制服姿のユイが、カバンをおいて、カウンターにすわる。
リサ「あれ、学校、終わったの?」
ユイ「・・ええ。今日は、午前だけなんで。午後は、ゆっくりしようと、思うんです」
ユイ、ハーブの入った瓶を、楽しそうにながめる。
ユイ「じゃあ、あんまり甘くないのを、いいですか?」
リサ「(笑って)あら、アカリちゃんみたいね」
ユイ「・・ええ、あの子の味が、なんか、なつかしくなっちゃって」
リサ、ハーブティーを、ユイの前におく。
ユイ、ティーカップを、口元にはこぶ。
ユイ「・・ったく、アカリったら、いつ帰ってくるのかな?」
ユイ、厨房の奥にいるノアを見ると、ティーカップを持つ手をとめて、ポカンとする。
ユイ「アカリ・・・・?」
ノア、小さく、おじぎをする。
リサ「ああ、この子はね、その・・、ノアちゃんといって、アカリちゃんの妹さんなの」
リサ、ユイに、つぶやく。
ユイ「・・・・え?」
ユイ、しばらく、かたまる。
ノア「・・はじめまして。ノアっていいます」
ノア、ぺこりと、おじぎをする。
ユイ「は、はじめまして・・、ユイ・・です」
リサ、コホンと、せきばらいをする。
リサ「それでね、ユイちゃん。ちょっと頼みがあるんだけど・・」
ユイ「・・・・え?」
ユイ、ティーカップを持ったまま、リサを見る。
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<4ー6に、つづく>
