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魔女のハーブは、あんまり甘くない 5ー10 魔女と妖精の王女(10)

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◯森の小道(お日さまが出るころ)

夜があけて、朝の光が、森にひろがっていった。

アカリとセーラ、森のなかの小道を、港にむかってあるいている。

セーラ「あー、なんか、すごい旅だったねー」

セーラ、明るくなった空に、ホウキのさきを、のばす。

アカリ「・・うん、妖精の国、とっても、楽しかった」

アカリ、ココを抱きながら、わらう。

セーラ「うん、そうだね。楽しかったね。結局、このドレスも、もらっちゃったし」

セーラ、銀のドレスをはためかせ、くるりとまわる。

セーラ「・・アカリちゃんも、そのキラキラ、けっこう、さまになってるよ」

アカリ「そ、そうかな・・・・」

アカリ、金のドレスをさわって、ちょっと照れた顔。

ココが「ニャオ」となく。

セーラ「・・おや、ココも、そう思ったんだね」

セーラ、ココに、わらいかける。

セーラ「・・でも、プレゼントって、なんだろうね?」

<アカリ、レオーナのキラリと光った目が、フラッシュバックする>

アカリ「うーん、わかんない。ごちそうかな?」

アカリ、すこし、首をかしげていう。

セーラ「・・まさか。妖精の食事なんて、ぜんぜんわかんないし」

セーラ、苦笑いすると、お腹が、ぐーっとなった。

アカリ、口をおさえて、小さくわらう。

セーラ「・・あちゃ。お腹は、素直だねー」

セーラ、すこし赤くなって、手でお腹をなでる。

セーラ「じゃ、ミサキちゃんのお店にでも、行こっか?」

セーラ、アカリを見る。

アカリ「え? ああ、この前、わたしたちが入ったお店?」

セーラ「うん、あそこのハチミツ、さいこーなんだ」

セーラ、ぺろりと、舌をだす。

アカリ「・・へえ、わたしも、飲んでみたい」

ココ「ニャ」と大きな声。

森のなかをあるくアカリとセーラを、枝のうえから、ふくろうおじさんが見ていた。

肩には、シロフクロウが、とまっている。

おじさん「あれ、こんな森のなかに、なんで、あんなキラキラの子たちが・・・・」

ふくろうおじさん、泉のほうを見て、わらう。

おじさん「昨夜の光といい、だんだんと森が、にぎやかになってきたなあ・・・・」

シロフクロウが、クックと、鳴いた。

◯ミサキのお店(朝をむかえたころ)

お店のテーブルで、ノアがモモをなでながら、ミルクを飲んでいる。
ノア、壁の時計を、ちらりと見る。

ノア「・・じゃ、ごちそうさまでした」

ノア、ミルクを飲み終わると、元気な声。

ミサキ「え、もういいの? まだ、ミルクだけでしょ?」

ミサキ、厨房で、スクランブルエッグをつくりながらいう。

ノア「・・ええ。もう、行かなきゃいけないし。ほんとに、ありがとうございました」

ノア、イスからたちあがり、ぺこりと頭をさげる。

ミサキ「・・・そう、みじかい時間だったけど、楽しかったわ」

ミサキ、ちょっとさみしそうな、笑みをうかべる。

ノア「・・じゃ、宿泊代と食事は、これで」

ノア、金貨を、手にひろげる。

ミサキ「(おどろいて)・・あら、めずらしい金貨ね」

ノア「・・ええ。人からもらって」

ミサキ「あれ、ボーイフレンドとか?」

ミサキ、ノアを、じっと見る。

ノア「そ、そんなんじゃありません・・・・」

ノア、すこし、ほおを赤くする。

ミサキ「・・でも、こんな高価なものはいいわ。大事に使って」

ミサキ、ノアの手を、そっとにぎる。

ノア「え・・でも・・」

ミサキ「いいのよ、これで十分だもの」

ミサキ、棚から銀貨をだして、ノアに見せる。

ノア「・・・・?」

ミサキ「・・きのう、ペンを落としていった男の人がくれたの。びっくりしちゃった」

銀貨が、キラリと光る。
ノア、しばらく、緊張したような表情。

ノア「そ、そうなんですか・・。キレイですね」

ノア、イスの上のモモを見て、くすっと笑う。

ノア「じゃ、またね・・」

モモ、ニャと鳴く。

ノア、お店のドアを開けると「お世話になりました」といって、ミサキとモモを見る。

ミサキ「がんばってね。またきてね」

ミサキが、手をふると、ノアも小さく手をふって、ストリートを進んでいく。

モモが、ずっと、ノアを見送っていた。

やがて、ノアの姿が見えなくなると、モモが、ミサキに「ニャオ」と鳴く。

ミサキ「え、あの子が、どうかしたの・・・?」

ミサキ、モモに、顔をちかづける。
モモ、もういちど、小さく鳴く。

ミサキ「・・あの男の人と、同じ、においがする・・・・?」

ミサキの髪のリボンが、さらりと、動いた。


◯街のストリート(昼をむかえたころ)
街には、人があふれ、小さな屋台が、ずらりとならんでいた。
アカリとセーラ、ストリートをあるく。

セーラ「あー、お腹すいた。でも、お店まで、もう少しだよ」

セーラ、お腹をおさえながら、いう。

アカリ「や、やっぱり、この格好だと、ちょっと目立つみたいね・・・・」

アカリは、すこし落ち着かない様子。

ストリートのひとびとが、2人を、不思議な顔で見ている。

アカリ「でも、セーラちゃん、もう、この街のこと、すっかりわかるみたいね」

セーラ「まーねー。魔女は、記憶力が、いいからねー」

セーラが、得意そうに顔をあげると、アップルパイのにおいがする、かわいい屋台が、目にはいった。

セーラ、鼻をくんくんと、ふるわす。

セーラ「むむ・・、魔女の本能が、反応してる」

セーラ、屋台のほうに、まっすぐに歩いていく。

アカリ「魔女の本能ね・・・・」

アカリ、苦笑いをする。

アカリの腕のなかのココが、ぴんと耳をたてて、ストリートのむこう側を、見る。

アカリ「・・・・?」

ココが、ストリートのむこうに見える、背の高い青年を、じっと目でおっていた。

青年「・・あれ、キミ、なんでついてくるの?」

のら猫が、ストリートを歩く青年のあとを、トコトコと、ついていた。

青年「もうミルクもないけど。・・そういえば、ペンが見つからないなあ。落としたのかな?」

青年、バックのなかを見て、首をかしげる。

のら猫が、バックのなかを、のぞこうとする。
青年、わらって、のら猫を抱き上げる。

青年「・・わかった。しばらくは、ボクといっしょに、いていいよ」

青年がいうと、のら猫が「ニャ」と、うれしそうに鳴く。

青年、ふっと笑うと、ストリートのむこうに、ドレス姿の女性が見えた。
 
青年「あれ、銀のドレスなんて、めずらしいな。・・というか、めだちすぎなんだけど・・」

青年、のら猫をかかえて、街のなかを進んでいく。

銀のドレスのセーラ、アップルパイを口にくわえながら、ストリートを歩いている。

セーラ「んー、おいしー。ミサキちゃんのお店まで、もうすぐ・・・ごほんっ」

セーラ、アップルパイが入った袋を、落としそうになる。

アカリ「セーラちゃん、ちゃんと、食べおわってからでいいよ・・・・」

ココを抱えたアカリ、苦笑いをしながら、セーラの前を歩く。

やがて、アカリの前に、街の教会が見えた。

大きな鐘と、壁のステンドグラスが、きらきらとかがやく。

アカリ「とっても、きれい・・。そういえば、ずっと、行ってないなあ・・・・」

アカリ、教会にむかって、はしり出す。
セーラ「?」と、おどろいた顔。

ノア、ストリートを歩いていると、十字路に、さしかかった。

ノア「ほんとに、大きな街。迷子になったら・・。いや、もう、子どもじゃないもん」

ノア、つぶやきながら十字路のむこうを見ると、大きな教会が、見えた。

ノア「おっきい・・。そういえば、しばらく、行ってないなあ・・・・」

ノア、十字路をわたり教会の前にくると、鐘を見て、足をとめる。

そのとき、だれかが、前から歩いてくるのに気づかなかった。

2人の肩が、小さく、ぶつかった。

ノア「あ、ごめんなさい、よそ見してて・・」

ノアが、相手を見て、言う。

アカリ「・・・・え?」

アカリ、ノアを見て、かたまる。

ノア「・・・・お、おねーちゃん?」

ノア、目をひらく。

アカリ「・・・・ノ、ノア?」

アカリとノア、おたがいを見て、信じられない顔。

アカリ「なんで、ここに・・・・?」

ココ、アカリの手から、ぴょんと、とびおりる。

セーラ「あー、アカリちゃん、やっと、おいついた・・・・」

あとからきたセーラ、アカリとノアを見て、たちどまる。

セーラ「え・・・・?」

ココ、アカリとノア、セーラを見て「ニャ」と声をだす。

教会の鐘が、なった。

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魔女のハーブは、あんまり甘くない  第5章
                          魔女と妖精の王女       END

                                          <第6章に、つづく>


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