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ロックン・ルージュ

 朝、車通勤の車内にロックン・ルージュが流れた。'84年の春に松田聖子が歌った化粧品のキャンペーンソングだ。これからバブルに向かおうという頃で、毎年春にはS社とK社の口紅ソングが流れて季節を彩った。この曲の作曲は呉田軽穂(ユーミン)、作詞は松本隆で、豪華な組み合わせに何となく当時のゆとりのようなものを感じる。そう言えば、ちょうど広告やコピーライターにスポットが当たるようになった時代だった。その年大学を卒業して社会人になった私は、4年間過ごしたアパートを引き払い、同じ町内の1丁目から3丁目に引っ越した。台所は少し広くなったけれど、それまでと似たような古いアパートで(あと2年で取り壊すという条件付きだったような…)、駅からは少し遠くなった。それならわざわざ引っ越すまでもなかったようなものだが、契約の更新時期でもあり、やはりどこかで学生から社会人への区切りを付けたかったのかもしれない。元々は通うキャンパスが変わる3年の時に引っ越す予定だったのにお金がなく、1回の乗り換えで通えることが分かったので(頻度も知れているし)、その時は部屋に電話を引くことで妥協した(固定電話を引くには権利金?等で結構なお金が必要だった)。入社した会社は全国に事業所があって、まだ配属は分からなかったから、今から考えるとつくづく無謀な引っ越しだった。同じ町内にしたのは、やはり勝手が分かっていることの安心感と、これは以前にも書いたのだが、学生の頃からお世話になっていたお店に仕事帰りに寄って、カウンターの端でビールを飲みたかったからだ(この夢は程なく叶えられた)。結局というか案の定というか、研修が終わった後で発表された勤務地には引越しが必要で、そのアパートでの生活は3カ月であっけなく幕を閉じた(失われた引越し費用と私の労力!)。それでも、ギターが刻む小気味よいリズムに4小節目の終わりからふわりと女性コーラスがのってくるこの曲のイントロを聴くと、私の脳内には、古いけど新しい部屋の東の窓から差し込んでくる春の光と、踏切を渡っていく新しい通勤路の光景が瞬時に広がってくるのだった。
 この春から新しい生活を始めた方、新たな気持ちで新年度を迎えた方、いつもと同じ春の方も(私か?)、すべての皆さんにとってこの春がウキウキ、ワクワクでありますように! 

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