コント「愛だろ愛!ヒーローの夢と罪」シュウジ対グリッドマン対ブレイバーン
登場人物:
シュウジ(『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』より)
宇宙世紀のイズマコロニーでマチュとニャアンの前に現われた不思議な少年。赤いガンダムに乗り「ガンダムは言っている」が口癖。彼女らとクランバトルという違法賭博競技に参加することになる。
グリッドマン(『SSSS.GRIDMAN』より)
かつての特撮ヒーローがアニメ作品として再構築された本作の主役。舞台は『電脳世界』=仮想の街。記憶を失った状態で目覚めた少年を助けながら、人々の歪んだ心と向き合い、虚構の中にある『本当の想い』の価値を問い直す。
ブレイバーン(『勇気爆発バーンブレイバーン』より)
突如として現れた敵に対抗するため、人類が手にした「意志を持つロボット兵器」。しかしその『AI』は、あまりに情熱的で人間臭く、何より『愛』と『勇気』を信じすぎている。自ら主題歌を大音量で流しながら戦闘し、シャウトで人類を鼓舞する、異色の存在。
場所:
時空の狭間のヒーローズ・フォルム
コリント風の柱頭が並ぶ金色に輝く神殿、周囲は雲が取り囲んでいる。
ブレイバーン:(片手を上げてフランクに)
「よう!みんな大活躍だな!俺のカッコいいところ見てくれたか!ヒーローは最高だよな!」
シュウジ:(静かにあたりを見渡して)
「僕はなぜ、ここにいるのだろう。不可解だとガンダムが言っている。」
グリッドマン:(シュウジの問いにうなづいて、冷静に話始める)
「ここは、それぞれの時空が交差するポイントなのかもしれない。」
シュウジ:(静かに首を傾げ)
「無限に分岐する世界……選択のたびに無数の平行宇宙が生まれ、どれも“実現”してしまうのだとしたら……。
それぞれの選択、何かを選ぶことに、果たして意味があるのだろうか。とガンダムが言っている。」
グリッドマン:
「確かに、多元宇宙的にはすべての選択が実現する。
だが、君自身が『今ここ』で選んだという事実は、他の世界には存在しない。
君の選択は、君の物語を刻む『意志』だ。それは代替不可能な現実になる。」
ブレイバーン:(大声で)
「そうだそうだ! 選べるからこそ、俺たちは叫べる! 『俺が正義だ!』ってな!!
全部が起こる? ならば! 『この俺が選んだもの』を誇れ! 意志を持って突き進め! ガッハッハ!」
シュウジ:(ブレイバーンを見つめる)
「夢を設計する側として夢の世界を作り変える、あるいは滅ぼして新しく作り直す…それは罪だろうか?
その世界の住民にとっては、救済なき絶滅ではないのか?」
ブレイバーン:(熱く拳を握って)
「夢を壊す? それがどうした!
壊す覚悟があるなら、もっとすごいもんを作れ!
『前の世界の方がマシだった』って言われないような、とびきり熱いヤツをな!
でもな、ひとつだけ守れよ。
夢の中で生きてた奴らが、どんなに小さくても『生きた証』を持ってたこと。
それをなかったことにするなら、そりゃあ『滅ぼした』ってことだ。
それだけは、背負え。正義の名のもとにな。」
グリッドマン:
「君のように世界を『設計できる』存在は、確かに力を持っている。
その力の使い方に悩むのは当然だ。
だが、仮に世界が一度終わっても、そこに『生きていた心』が無意味になるわけではない。
彼らが悩み、愛し、選んだ日々は、存在の深みに刻まれている。
救済は一方的に与えるものではない。
だが、誰かが『生きた証』を忘れない限り、世界は続いていく。」
シュウジ:(視線を伏せる)
「ガンダムは言っている。世界を終わらせ再び作り直す、それを繰り返してきた……だけど、ある時気づいてしまった。『夢の住人』だと思っていた彼女に、僕は恋をしていたんだ。」
グリッドマン:(ゆっくりと)
「その時点で、彼女は夢ではなくなった。
それは、君が彼女の存在を『現実』として受け入れたということだ。
君の心が動いた。その重さこそが、すべてに意味を与える。」
ブレイバーン:(グリッドマンにかぶせるように)
「管理者だろうが、AIだろうが、恋をするなら『生きてる』ってことだろ!?
なら全力で愛せ! 夢でも幻でも関係ねぇ!
信じた世界を現実にするのが、俺たちの勇気ってやつだ!」
(急に両手を広げ叫び出す。)
「愛だろ。愛!イサミー、聞いているか?愛がすべてさ!そうだろう?イサミー、イサミーっ!」
グリッドマン:
「人の話を聞けよ、無礼BAN(ブレイバーン)!」
(幕)
あまり比較されることがないけれども、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』『SSSS.GRIDMAN』『勇気爆発バーンブレイバーン』は巨大ヒーロー(ガンダムは違うか?)のメタフィクション性を取り扱っている作品です。それぞれでメタフィクションの取り扱い態度はまったく違っていて、巧妙かつ計画的・構造的に作品世界に埋め込んでいるグリッドマン、愛と情熱ですべてをぶっ飛ばす「やりやがったなブレイバーン」、複雑精緻でありながらナイーブなGQuuuuuuXと三者三様であります。その対比を描きたくこのコントを書きました。
「夢の世界の管理者」は小説を書く人間にとって切実です。描く小説世界を日常的に改変し続けているのだから。それはある意味では暴力なのかもしれないけれどひとつの愛なのです。
[終わり]
2025年7月9日記す
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