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体重のセットポイント理論と老化のホールマークスとの密接な関係について

前回は体重のセットポイント理論について解説しました。

以前に老化のホールマークスという14種類の老化の生物学的プロセス・メカニズムを紹介しました。

実は、体重のセットポイント理論は老化のホールマークスの14の項目全てについて密接な関係があります。

今回は老化のホールマークスごと体重のセットポイント理論がどのように関係しているか解説しましょう。

まず、体重のセットポイントが高い状態であれば、個々の老化のホールマークについて、どういう影響を与えるか、一言で言うと→a.影響
(一部は因果関係が逆にも働き、悪循環しています)
なぜ、そうなるのかを少し詳しく解説します→b.解説
ご自身の知識にあわせて、aとb、両方を読み進めて下さい。
一部だけ太字だけ飛ばし読みしても役に立つような書き方を工夫しているつもりです。


1.ゲノム不安定性

a.影響

遺伝情報が傷つきやすくなる

b.解説

体重のセットポイントが高い状態では、血糖値インスリンが慢性的に高くなりやすく、ミトコンドリアから活性酸素が多く発生します。
活性酸素はDNAを与え、細胞はそれを修復し続けなければなりません。
ところが、この状態が長く続くと、修復に過剰な負荷がかかり……
その結果、遺伝情報安定しないようになり、老化が進みやすくなるのです。

2.テロメア短縮

a.影響

細胞寿命が短くなる

b.解説

慢性炎症酸化ストレスは、細胞の寿命を守るテロメアを特に傷つけやすい要因です。
高い体重のセットポイントでは、インスリン抵抗性炎症の影響で細胞分裂の回数増加します。
さらに、ストレスホルモンのコルチゾールが高い状態も、テロメア維持に不利に働き……
その結果、細胞老化が早く進み、組織の再生力が低下します。

3.エピジェネティック変化

a.影響

太る体質が固定化する

b.解説

血糖値の乱れ、インスリン炎症性サイトカイン(細胞が情報伝達するタンパク質)は、遺伝子の使われ方を調整する仕組みに影響します。
体重のセットポイントが高い状態が続くと、脂肪をため込みやすい遺伝子の働き方が固定されるのです。
これは単なる体重増加ではなく、太りやすい状態体質として記憶されることを意味します。
そのため、減量してもリバウンドするのです。

4.タンパク質管理の破綻

a.影響

細胞の品質を管理できなくなる

b.解説

血糖値が高い環境では、タンパク質と結びついて劣化しやすいりAGEs(エージス・終末糖化産物)になります。
AGEsは本来なら分解されますが、量が増えると処理が追いつきません
さらに、インスリンが高い状態では、成長や合成が優先されます。
その結果、細胞内に不良物質が蓄積し、機能低下が進むのです。

5.オートファジー低下

a.影響

細胞の自己分解・再利用が少なくなる

b.解説

インスリン栄養が多い状態では、細胞のオートファジー(自己分解・再利用)が抑制されます。
体重のセットポイントが高い人では、この抑制状態が慢性化しやすくなるのです。
すると、壊れたミトコンドリア異常タンパク質除去されません
これが細胞老化と代謝低下を加速させます。

6.栄養センサーの異常

a.影響

体は常に蓄積をするようになる

b.解説

インスリンなどの栄養センサーの仕組みが体重老化を制御しています。
高い体重のセットポイントでは、インスリン優位の状態が続き、修復モードに入りにくくなるのです。
これにより、体は常に蓄積を重視することになり……
結果として、老化に対抗する力が弱まります。

7.ミトコンドリア機能不全

a.影響

エネルギー産生能力が下がる

b.解説

慢性的にインスリンが高いと、脂肪を燃やす経路が使われにくくなります。
その結果、ミトコンドリアの数や働きが低下するのです。
ATP産生効率低下する一方で、活性酸素増加します。
これは老化の中核となる変化です。

8.細胞老化

a.影響

機能しない老化細胞が増える

b.解説

DNA損傷テロメア短縮炎症代謝異常が重なると、細胞は増殖停止します。
体重のセットポイントが高い環境は、こうした刺激を持続的に与えるのです。
老化細胞炎症性サイトカインを分泌し……
これが周囲の細胞にも老化を二次的に促進します。

9.幹細胞枯渇

a.影響

幹細胞が修復されにくくなる

b.解説

慢性炎症高血糖は、幹細胞が働く環境を悪化させます。
インスリン抵抗性炎症性物質は、幹細胞の自己複製能力低下させるのです。
その結果、幹細胞が修復されにくい状態になり……
体の回復力が年齢以上に落ちます。

10.細胞同士の連絡不良

a.影響

全身の連携が悪くなる

b.解説

体重のセットポイントが高いと、ホルモン脂肪組織からの信号が乱れます。
特にレプチンなどの情報が脳に正しく伝わらなくなるのです。
その結果、臓器同士の協調崩壊して……
全身の代謝バランス不安定になります。

11.慢性炎症

a.影響

慢性炎症が持続する

b.解説

脂肪の増加は、軽度であっても持続する炎症を引き起こします。
血糖値の乱れもこの炎症を強めるのです。
この状態が長く続くことが慢性炎症(インフラメイジング)。
体重のセットポイントと老化を結びつける中心的な要素です。

12.腸内細菌の乱れ

a.影響

腸の代謝異常を起こす(悪循環)

b.解説

高糖質加工食品中心の食事は、腸内細菌のバランスを崩します。
の防御機能が弱まり、炎症が起こりやすくなるのです。
この炎症はインスリンレプチンの働きを妨げ……
結果として、体重のセットポイントが上がりやすくなります。

13.細胞外基質の劣化

a.影響

体全体が硬くなる

b.解説

血糖値が高い状態では、細胞外基質(ECM)という体を支える構造が硬化します。
慢性炎症もこれを助長するのです。
その結果、血管皮膚筋肉柔軟性低下し……
血管・皮膚・筋膜などの機能老化が進行します。

14.心理社会的孤立

a.影響

心理社会的に孤立する(悪循環)

b.解説

肥満に対する偏見・差別などの社会的ストレスは、心理社会的孤立を招きます。
慢性的なストレスは、コルチゾールの増加など脂肪を貯蔵しやすいホルモン状態を作るのです。
その結果、体重老化が相互に悪化します。
心理代謝は密接につながっているのです。

まとめ

体重のセットポイント理論は、老化の14のホールマークを代謝・内分泌・炎症・再生の統合軸として結びつける理論モデルです。

セットポイントを無理に下げるのではなく、視床下部が「軽くても安全」と判断する環境を整えることが、重要です。
それが老化ホールマーク全体への合理的な介入となり、アンチエイジングになります。

本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断、治療、予防を目的とするものではありません。
体調に不安がある場合は、医師等の専門家にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は2月24日(火)午前10時です。
(毎週、月・木ですが、来週は月曜が祝日のため、火・金に公開)
花粉症とビタミンDについて解説します。
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