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犬の血液型は猫よりはるかに複雑なシステム。2回目の輸血が危険!!

(アイキャッチ画像は供血犬として最適とされるグレイハウンドをpixabayのフリー画像より引用)

前回は猫の血液型の記事でした。

今回は犬の血液型がテーマです。
犬の血液型は非常に複雑種類も多いという特徴があります。
その分だけ輸血の安全性という点では猫とは逆に有利な側面もあり、不利な側面もあります。
本記事では、犬の血液型を生物学的に正しく、かつ分かりやすく解説します。
犬を飼っていない方もちょっとした雑学として読んでいただけたら幸いです。


1.犬の血液型はDEA(犬赤血球抗原)で分類される

犬の血液型は主にDEA(Dog Erythrocyte Antigen:犬赤血球抗原)というシステムで分類されます。
DEAはディーイーエーが一般的ですが、ディーエーと読むこともあります。

これは人間でいうABO式血液型のようなものですが、犬の場合は複数の抗原系が存在します。
抗原系の種類は……

  • DEA1

  • DEA3

  • DEA4

  • DEA5

  • DEA7

つまり、犬は1種類の血液型ではなく、複数の血液型の組み合わせで決まっています。
この点が猫(A・B・ABの3種類)との大きな違いです。

なお、DEA2は昔はありましたが、独立した抗原でないと削除されました。
DEA4以外にそれぞれ陽性陰性がありますので、組み合わせは2の4乗で16通りとなります。

2.最も重要なのはDEA1

数ある血液型の中で、臨床的に最も重要なのがDEA1(特にDEA1.1)です。
なぜ重要なのかというと、DEA1は免疫反応(抗原抗体反応)を強く引き起こすためです。
不適合輸血をすると、溶血性輸血反応急性ショックなどのリスクが高まります。
これは人間のABO不適合輸血に近い危険性です。

3.犬は自然抗体をほとんど持たない

ここが猫との決定的な違いです。
猫では、A型は抗B抗体、B型は抗A抗体を生まれつき持っています(自然抗体)。
しかし、犬はほとんど自然抗体を持っていません。
つまり、どういうことかというと……
初回の輸血では血液型が違っても、すぐに重篤な反応が出にくいのです。
しかし、一度異なる血液型に触れると、免疫記憶により抗体が産生され、2回目以降の輸血は強い溶血反応が起きるのです。
この仕組みは獲得免疫の典型例です。

4.理想的な供血犬が存在する

犬では特定の条件を満たす理想的な供血犬・献血犬(ユニバーサルドナー)が存在します。
一般的にはDEA1・3・5・7が陰性の犬が望ましいとされます。
特に、DEA1陰性であることが最も重要です。
このような犬の血液は多くの犬に安全に輸血できる可能性が高いと考えられています。
ユニバーサルドナーとして代表的な犬種はグレイハウンドです。

少し専門的な話ですが、DEA4はほぼ100%の犬で陽性です。
つまり、実質的に共通抗原のような存在です。
そのためDEA4は 輸血適合性の判断ではあまり問題になりません。

5.輸血前にはクロスマッチ試験が重要

犬の輸血では血液型判定に加えてクロスマッチ(交差適合)試験が非常に重要です。
これは供血犬(ドナー)の赤血球受血犬(レシピエント)の血清を反応させて実際に凝集や溶血が起きないか確認する検査です。
理由は未解明の血液型抗原がまだ存在するため……
つまり、DEAが合っていることが完全に安全ではないのです。

6.犬と猫の血液型の違いの整理

最後に、犬と猫の血液型の違いを整理します。
項目にまず犬の特徴を上げ、( )内に猫の特徴を記しました。

  • 血液型の種類
     DEAの組み合わせは16通り以上(A・B・ABの3種類)

  • 自然抗体
     ほぼ無し(有り)

  • 初回輸血
     比較的安全(危険)

  • 2回目以降輸血
     非常に危険(危険)

  • 判定の難しさ
     複雑(比較的単純)

7.まとめ(犬の血液型を知る意味)

犬の血液型は、猫より複雑でありながら臨床的な扱いは異なる特徴を持っています。
重要なポイントを整理します。

  • 犬はDEAという複数の血液型の組み合わせで決定

  • 最も重要なのはDEA1(陽性・陰性)

  • 自然抗体はほとんど存在しない

  • 初回輸血比較的安全だが2回目以降非常に危険

  • 輸血には血液型検査クロスマッチ試験が必須

一般の飼い主にとっても、犬の血液型を知る意味はあります。
特に重要なのは、手術外傷などで2回目の輸血の可能性がある場合です。
普段は意識しない情報ですが、犬の場合は一度の輸血が次回以降のリスクを大きく左右します。

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は4月20日(月)午前10時です。
三毛猫のような犬についての記事を書きます。

少しでもご参考になれば、スキを押して下さい。

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