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五大陸-N°33


本日は、五大陸(GOTAIRIKU)についてご紹介します。(※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。)

まず、アパレル店員としてお客様に簡単に説明するのであれば、私はこんな感じに紹介したいです。

「五大陸は、1992年にオンワード樫山から誕生した日本のメンズブランドです。英国の伝統、フランスの華やぎ、イタリアの粋、アメリカの合理性を取り入れながら、それを日本人の体型や感覚に合わせて仕立てることを得意としています。いわゆるスーツブランドに見えますが、実際には尾州の生地やZegna、MARLANEなど国内外の素材をかなり使い分けていて、レザーやコートまで幅広い。個人的には、"世界のクラシックを、日本人のための現実的なワードローブへ翻訳するブランド"という説明が五大陸には一番近いと思っています。」

「世界の良いところ」を日本で一着にまとめる

五大陸は1992年に誕生しました。ブランドが掲げてきたのは、英国の伝統、フランスの華やかさ、イタリアの洒脱さ、アメリカの合理性を取り入れ、日本の繊細さで仕立てるという考え方。現在も公式では、センスと品格を備えた“Japanese Gentleman”へ、ビジネスからソーシャルシーンまで対応する“Gentleman’s Wardrobe”を提供するブランドと説明されています。
ここが五大陸の面白いところです。完全な英国服でもなければ、イタリア服でもない。例えば肩周りは日本人が着やすく、シルエットは端正。それでいて素材はイタリアの高級ミルを使うこともあれば、日本の尾州産地を使うこともある。つまり、「どこか一つの国のスタイルを再現する」のではなく、世界のテーラリングを編集して日本の日常へ落とす。 ブランド名の「五大陸」そのものが、その考え方を表しているように感じます。

【尾州】ストレッチメッシュジャケット 千鳥格子柄

【五大陸 / ストレッチメッシュジャケット 千鳥格子柄 ¥79,200】

まず紹介したいのが、尾州産地の素材を使った千鳥格子のジャケットです。尾州は愛知県一宮市周辺を中心とする、日本を代表する毛織物産地です。今回のジャケットでは、クラシックな千鳥格子をメッシュ組織とストレッチ性によって軽く仕上げています。見た目はきちんとしたテーラードジャケットなのに、着心地はより現代的。ここに五大陸らしさがあります。「クラシックな見た目を変えるのではなく、中身だけを現代へ更新する。」スーツブランドが今の時代に必要とされるための、一つの答えだと思います。

ライトウェイトアンゴラ チェスターコート

【五大陸 / ライトウェイトアンゴラ チェスターコート ¥121,000】

こちらはアンゴラ50%、ウール50%のチェスターコート。従来より軽量な素材へ変更しつつアンゴラ比率を高め、柔らかな風合いと上品な光沢を強めています。着丈は膝上程度で、五大陸らしい程よくシェイプしたシルエットです。コートは重厚であるほど高級に見える、という価値観もあります。しかし現在の生活では、電車に乗り、室内へ入り、長時間着る。そこで五大陸は、「高級感を軽くする」方向へ進んでいます。クラシックを守るために重さまで守る必要はない。この感覚は、今のドレスウェアではかなり重要だと思います。

シープレザー シングルカラーブルゾン

【五大陸 / シープレザー シングルカラーブルゾン ¥143,000】

五大陸はスーツだけのブランドではありません。こちらはしなやかなシープレザーを使用したシングルカラーブルゾン。細身ですが、ハイゲージニットを中に着ても動きづらくならない程度に調整されたシルエットです。個人的には、この商品を入れることで五大陸の見え方がかなり変わります。テーラリングで培った「身体を綺麗に見せる感覚」を、そのままレザーへ持ち込んでいる。「スーツを作る技術で、大人のカジュアルを作る。」
若々しさを強調するライダースではなく、シャツやスラックスとも自然に繋がるレザー。五大陸が考える“Gentleman’s Wardrobe”は、こうした商品まで含んでいるのだと思います。

MARLANE ウールシルク ホームスパン スーツ

【五大陸 / MARLANE ウールシルク ホームスパン スーツ ¥132,000】

こちらは1952年にイタリア・ビエラで創業したMARLANEの素材を使用。ウール60%、ナイロン28%、シルク12%で、シルクネップを混ぜた糸によってホームスパンらしい奥行きのある表情を作っています。英国的なホームスパンよりも柔らかく、軽い風合いが特徴です。ここは五大陸の思想がかなり分かりやすいです。ホームスパンという英国的で素朴な生地を、イタリアのミルが軽く柔らかく作り、それを日本のブランドが日本人向けのスーツへ仕立てる。英国の伝統 × イタリアの素材感 × 日本の仕立て。
まさに「五大陸」という名前をそのまま服にしたような一着だと思います。

Ermenegildo Zegna CROSSPLY ジャケット

【五大陸 / Ermenegildo Zegna CROSSPLY ジャケット ¥132,000】

最後はZegnaの素材を使ったCROSSPLYジャケットです。ウール73%、シルク14%、リネン13%。高級原料ならではの柔らかさや光沢に、リネンの軽快な表情を加えています。芯地も表地の柔らかさを損なわないものを使い、襟周りにはアイリッシュリネンを用いて立体感を出すなど、内部仕様までかなり細かく設計されています。
ここで重要なのは、単に「Zegnaの生地だから高級」ということではありません。
良い生地を仕入れて、その良さを殺さないように仕立てる。
素材のブランド力ではなく、素材をどう服へ変換するか。
ここに五大陸のテーラリングブランドとしての実力が出ると思います。

バイヤー目線で見る五大陸

バイヤーとして見ると、五大陸は一見すると非常に保守的なブランドです。でも深く見ると、素材の選び方はかなり幅広い。尾州、アンゴラ、シープレザー、MARLANE、Zegna。同じ売場に並べるだけでも、日本・英国・イタリアの服作りを横断して説明できます。
そして面白いのは、すべてを五大陸らしい「端正さ」へ戻していることです。
奇抜なデザインにしない。ロゴもほとんど見せない。その代わり、生地、肩、襟、シルエット、着心地に差を作る。
接客でも「これは高級なスーツです」ではなく、「こちらはイタリアのMARLANEですがホームスパンなので英国的な表情があります」「こちらはZegnaのウール・シルク・リネンを日本人が着やすい形に仕立てています」と説明する方が、五大陸の価値はずっと伝わりやすいと思います。

私自身、五大陸を一言で表すのであれば、「世界のテーラリング文化を、日本人の日常へ編集するブランド。」という言葉が一番しっくりきます。
派手な新しさを作るブランドではない。でも、英国の伝統、イタリアの素材、日本の産地や仕立てを一着の中で自然に混ぜる。
「世界のクラシックを、日本の今にちょうどよくする。」
それが、1992年から続く五大陸というブランドの面白さなのだと思います。

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