WEBバトル漫画の始祖「虫籠のカガステル」がKindleで読めるので懐古厨が語る
『虫籠のカガステル』──虫になる病と、剣を振るう少年と、ひとりの少女の話。
全7巻、完結までKindle Unlimitedで読めます。
人が突然、理性を失った巨大な虫になってしまう奇病“カガステル”。
感染すれば戻ることはなく、人を襲い、食い殺すようになる。
そうして世界人口の三分の二が失われた末に、ようやく“虫”の〈駆除〉が制度として認められるに至った、そんな時代。
舞台は“虫”の巣窟とも呼ばれる危険地帯“虫籠”。
そこで命を落としかけたひとりの男が、最後に託したのは──自分の娘、イリだった。
娘の前で死んでいく父。
その死を受け入れられず、ただその場に崩れ落ちて動けなくなるイリ。
彼女の頬を叩き、無理やり現実を見せたのは、無愛想で人殺しと忌み嫌われる〈駆除屋〉の青年、キドウ。
最悪な出会いにも思えるその瞬間から、ふたりの旅が始まる。
それはやがて、ふたりの心を変え、ひいては世界のあり方すらも変えていく物語となっていく。
この作品、もともとはWEBで連載されていた漫画で、当時は無料で全編が読めたんです。
今はもう公式サイトもなくなってしまっているけれど、商業コミックス化してKindleで読めるようになっている。
本当に嬉しい。
あの頃、リアルタイムで連載を追って、完結まで見届けた作品が、今こうして形を変えて、より多くの人の目に触れるチャンスがあるなんて。
■ キドウが格好いい
まず言いたいのはこれ。
やっぱり、ツンツンした髪型で、寡黙で、でっかい剣を振り回す少年〜青年って、格好いいに決まってるんだよ。
しかもその剣を振るう理由が「(かつて人間だった)虫を殺す」っていう一種の駆除業務で、倫理的にも世間的にもあまり歓迎されないっていうのがまた良い。しかも過去に自分の父がわりの存在を「駆除」してるという暗い過去。
キドウ自身が肩肘はって生きてるところがあって、その割には妙に人間臭いところも垣間見えたりして、時に年長者に子供扱いされたりして、そこが最高にツボ。
■ イリが可愛い
ヒロインのイリは、最初こそ「少女」って感じの繊細な子。
だけど話が進むにつれて、ある出来事をきっかけに精神的に一気に成長していく。
その変化の描き方がとても丁寧で、最終盤ではもう立派に自分の言葉と意志を持った一人の“生きる人間”として描かれているのが良い。
キドウとの距離感も絶妙で、明確な恋愛には発展しないものの、その関係性が語られながら大きな事件が展開していくのも好きなポイント。
なんか当時サイトに載っていたイラストで、あの髪から生えてる赤いやつはなんなの?みたいなのあったなあ。今思ったがなんとなくメダリスト唯束いのりのエビフライ部分を彷彿とさせるなあ。
■ カーラがいちばん好きかもしれない
過去編に登場する娼婦・カーラが個人的に超お気に入り。
いわゆる“セクシー枠”ではあるけど、ただそれだけじゃない。
キドウにとって大切な人であり、彼の心の奥に今でも残り続けている存在。
服装も設定通りセクシーで、絵的にも映えるキャラなのに、感情面でもしっかり描写されてて本当に魅力的。
最終盤でも登場して欲しかった。本当に登場して欲しかった。
……まあ、街が違うし再登場はなかったんだけど。
■ マリオ姐さんが最高
宿屋のマスターであるマリオ。
オネエ系キャラなんだけど、当時のWEB漫画界隈でこのポジションのキャラって、実はそんなに多くなかった気がする。っていうかWEBじゃなくてもいたかな?どうだろう。
過去については特に語られないけど、キドウにとっては疑似的な母親ポジション。
そんなマリオがでっけぇ機関銃持って戦うシーンがあるんだけど、あれはもう、読んでてテンションぶち上がった記憶がある。
■ダークヒーロー:駆除屋殺し
物語中盤、駆除屋を殺して回る謎の存在が登場。
人間の手によるものではなさそうだが、虫によるものでもない、謎の死体。そしてキドウを襲う駆除屋殺し。
正体などについてはここでは語らないけど、駆除屋殺しとキドウのバトルシーンがこの物語の中核といってもいい。3回?4回?くらい戦ってたと思う。
■脇を固めるキャラクターが細々と良い
ここまでに名前を上げなかったキャラクターもすごくいい。スリの少女、修理工見習いの少年、戦車隊のおじさん、商区長。みんな作者の手がかかってて愛情注がれてるなあと思う。
■ 無料であのクオリティは本当にすごかった
当時、WEBで無料公開されているバトル漫画って他にもあったけど、やっぱり『虫籠のカガステル』は絵のクオリティが頭一つ抜けていた。
「平穏世代の韋駄天たち」とかも読んでたけど、こっちはもうちょっと後だったのかな?同時期だったのかな?
どちらにせよ、絵の迫力や表情の描き方、アクションの構図など含めて、商業漫画と比べても全然引けを取らないレベルだったのは間違いない。
■ 商業版での補完もありがたい
キャラクターの背景が少しずつ補足されてたり、エピソードが足されてたりして、読後感や納得感が大きく増している。たとえばEー05の軍隊のお姉ちゃんとか。アイシャだったかな?終盤にいたのは記憶してるけどコミックスではその前からのエピソードが補完されてた。あとはマリオとキドウの別れのシーンで「姿形は全然似てないけど姉に似てた」みたいな描写があって、ああ!カーラさん!!ってなった。そこも凄くよかった。
…いや、だから最終盤でチラッとでもカーラ出して欲しかったなあ(2回目)
特に終盤、過去編に登場したあのキャラが……まさかの再登場。
「お前ここで出てくるのかよ!!」って叫びそうになった。
WEBで読んでいた当時の思い出補正もあるけど、それを抜きにしても、良質な終末世界系バトル漫画として強くおすすめできる作品です。
Kindleで手軽に読めるようになった今こそ、ぜひ多くの人に知ってもらいたい。
あと、当時はなんか偉人の伝記の漫画とかを橋本先生は書いてたんだけど、いまはカガステルのあと商業作品を続けて出版しているので、そちらのリンクも貼っておく。
19世紀の東南アジアを舞台に、植物の記憶を辿れる能力を持つ少年と護衛が希少植物を求めて飛び回る。
人間と魔物との仲立ちに入って交易する話。どこかの情報屋を思い出すなあ…
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