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【第2回】ビットコインETFの登場で、市場はどう変わったのか?       

――「投資の器」が変わると、お金の流れも変わる

前回、

「僕が、ビットコインの『価格』だけを見るのをやめた理由」

という記事を書きました。

ビットコインのチャートだけを見るのではなく、

金利、為替、株式、債券、金など、

少しずつ「市場全体」を見るようになった。

そんな、僕自身の変化について書いたものです。

今回は、そこからもう一歩進んで、

「ビットコインETFの登場によって、市場そのものに何が起きるのか?」

を考えてみたいと思います。


そもそも、ETFって何がすごいのだろう?

ETFは Exchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。

僕は最初、

「ETFって、要するに投資しやすくした商品でしょ?」

くらいに考えていました。

でも、少し調べてみると、

どうも、それだけではなさそうです。

ETFの歴史を見ると、

「投資家が資産にアクセスする方法そのものを変えてきた」

ことが分かります。

例えば株式では、

「この会社が伸びると思うから、この会社の株を買う」

という個別株投資がありました。

その後、

「一つの会社ではなく、市場全体に投資したい」

という考え方が広がり、

インデックスファンドやETFなど、

複数の銘柄や特定の資産などを対象に、取引所で売買できる「器」

が発展しました。

つまり、

投資対象だけでなく、「投資の方法」そのものが変わった。

ここが、僕には面白く感じられました。


「投資の器」が変わると、お金の流れも変わる

ETFは、

単に「株をまとめただけの商品」

ではありません。

分散投資がしやすい。

取引所で売買できる。

透明性が高い。

商品によっては、低コストで市場にアクセスできる。

こうした特徴によって、

「個別株を一つ一つ選ぶのは難しい」

という人にも、

市場へ参加する入口が生まれました。

すると、

「どの資産を買うか」だけでなく、「どのような器を通じて市場に参加するか」

という選択肢が広がります。

そして、その器を通じて資金が動けば、

市場全体にも影響が出てくる。

僕は、ここにETFの面白さがあると思っています。


金にも同じことが起きた

そこで僕が気になったのが、

「金ETF」です。

金ETFが登場したのは2003年。

それまで金に投資するには、

現物を買って保管したり、

先物などを利用したりする必要がありました。

そこに、

「証券市場から金に投資できる新しい入口」

が生まれました。

では、その後、

金市場では何が起きたのでしょうか。

ここが、僕には非常に興味深いところでした。

World Gold Councilによると、

2003年に登場した金ETFは、その後大きく普及。

2020年末には、世界の金ETFが保有する金は約3,752トンに達していました。

さらに、金ETFの長期的な資金蓄積を見ると、

これまでに大きな蓄積局面が2回あり、

それぞれ

1,823トン

2,341トン

もの金がETFに積み上がっています。

そして直近では、

2024年5月から始まった金ETFの蓄積局面で、

2026年3月末までに

1,035トン

増加しています。

つまり、

「ETFという器を通じて、実際に大量の金が金融市場に組み込まれてきた」

ということです。

もちろん、

「ETFができたから金価格が上がった」

と単純に言うことはできません。

金価格には、

金融政策、

ドルの動き、

インフレ、

世界情勢、

中央銀行の需要など、

さまざまな要因があります。

実際、2024年には金価格が年間で26%上昇する一方、世界の金ETF保有量は年間ではほぼ横ばいでした。つまり、ETFだけで金価格を説明することはできません。

それでも、

「金ETFという新しい入口が生まれ、そこに大量の金と資金が集まり、金市場へのアクセスが大きく広がった」

という事実は、とても興味深い。

僕はここに、

「投資の器が変わること」の大きな意味

があるのではないかと思っています。


そして、ビットコインにも新しい「入口」ができた

ここで、僕はビットコインを重ねて考えるようになりました。

株式では、

個別株 → インデックス → ETF

金では、

現物など → 金ETF

そしてビットコインでは、

現物ビットコイン → ビットコインETF

です。

もちろん、

株式、金、ビットコインは、

まったく違う資産です。

だから、

「金がこうなったから、ビットコインも同じになる」

とは言えません。

でも、

「新しい投資の器が生まれることで、資金の流れや市場参加者が変わる可能性がある」

ということを、

金の歴史から学ぶことはできます。


2024年、ビットコイン市場に起きたこと

2024年1月10日、

米国SECは複数の現物ビットコインETPの上場・取引を承認しました。

翌1月11日から取引が始まり、

初日の取引高は約46億ドルでした。

これは単に、

「ビットコインを買える商品が増えた」

という話だけではないと思います。

それまでビットコインに投資するには、

暗号資産取引所の口座を開設する。

ビットコインを購入する。

ウォレットなどを管理する。

といった、

従来の金融商品とは少し違った入口が必要でした。

ところが、

証券市場という従来の金融市場からビットコインにアクセスする道

ができた。

つまり、

「ビットコインそのもの」ではなく、「ビットコインへのアクセス方法」が変わった。

僕は、ここに大きな意味があると思っています。


では、どんな資金が入ってくるのか?

ETFという入口ができれば、

これまでビットコインを直接保有していなかった投資家も、

従来の証券市場を通じてアクセスできます。

機関投資家。

資産運用会社。

金融アドバイザー。

そして、これまで暗号資産市場に直接入ってこなかった個人投資家。

そうした人たちの資金が、

ETFという「器」を通じてビットコイン市場につながっていく可能性があります。

だから僕は、

BTCの価格だけではなく、

「ETFにどれだけ資金が入っているのか?」

を見ることが重要だと思うようになりました。


そして、世界では「ルール」そのものも変わっている

さらに視野を広げると、

これはETFだけの話ではありません。

僕が最近注目しているのが、

アメリカのCLARITY Act

です。

これは、デジタル資産について、

どの資産をどう分類するのか。

SECとCFTCのどちらが、どの範囲を管轄するのか。

事業者にどのようなルールを適用するのか。

投資家をどう保護するのか。

といった、

「デジタル資産を金融市場の中で、どういうルールで扱うのか」

という市場構造に関わる法案です。

2026年5月には、米上院銀行委員会で15対9で可決され、その後も上院本会議での審議に向けた動きが続いています。

もちろん、

この記事を書いている時点で、

CLARITY Actが法律として成立したわけではありません。

僕が注目しているのは、

「デジタル資産を金融市場の中で、どのようなルールのもとに位置づけるのか」

という議論が、

ここまで具体的になっていることです。

ETFが、

「投資家側の入口」を変える動き

だとすれば、

CLARITY Actは、

「市場側のルール」を整えようとする動き

とも見ることができる。

そんなふうに僕は考えています。


米国だけではない

欧州では、

MiCA(暗号資産市場規制)

という包括的なルールが整備されました。

暗号資産を、

「よく分からない新しいもの」

として放置するのではなく、

「ルールを作り、金融システムの中でどう扱っていくのか」

という段階に入っています。

そして2026年には、

欧州委員会がMiCAの見直しに向けた協議も始めています。

つまり世界では、

暗号資産を「規制するか、しないか」だけではなく、

「どういうルールのもとで、金融市場の中に位置づけていくのか」

という議論へ進んでいるように見えます。


そして、日本でも。

ここは、

日本に住む僕たちにとって、

とても重要なところです。

日本でも2026年現在、

暗号資産を取り巻く税制や金融制度の見直しが進んでいます。

さらに、

一定の暗号資産を対象とするETFを含め、より伝統的な金融商品に近い形で扱う方向性

も議論されています。

ここで僕が注目しているのは、

「BTCの価格が上がるか」

だけではありません。

むしろ、

「日本人がビットコインにアクセスする方法そのものが変わる可能性」

です。


新NISAを知る人が増えた。その先に、新しい「入口」ができたら?

2024年から、

新NISA

が始まりました。

これによって、

「投資を始める」

ということが、

以前より身近になった人も多いのではないでしょうか。

でも、ここで僕は、

もう一つ考えてみたいことがあります。

新NISAを知ることをきっかけに、自分のお金について考える人が増えた。

では、その先に、

ビットコインETFという新しい金融市場への入口ができたら、どうなるのでしょうか。

日本人のお金は、

どう動くのでしょうか。


日本人の「眠っているお金」は、このままでいいのか?

日本には、

現金や預金として保有されている、

非常に大きな個人金融資産があります。

その中には、

ほとんど運用されずに眠っているお金もあります。

いわゆる、

「タンス預金」

という言葉もあります。

もちろん、

現金を持っておくことが悪いわけではありません。

生活防衛資金も必要です。

だから、

「預金をやめてBTCを買おう」

という話ではありません。

僕が考えたいのは、

もっと根本的なことです。

「自分のお金を、なぜその場所に置いているのか?」

預金なら、なぜ預金なのか。

株式なら、なぜ株式なのか。

NISAなら、なぜNISAなのか。

金なら、なぜ金なのか。

ビットコインなら、なぜビットコインなのか。

それぞれの特徴とリスクを知ったうえで、

自分で選ぶ。

僕は、

これからの時代に必要なのは、

「何を買うか」だけではなく、「なぜ、それを選ぶのかを自分で説明できること」

なのではないかと思っています。


そして、もう一つ大きな変化があるかもしれない

僕が特に気になっているのが、

「誰がビットコインを紹介するのか?」

ということです。

これまでビットコインについて知ろうと思ったら、

SNS、YouTube、暗号資産交換業者、専門家、

あるいは、すでに持っている人など、

自分から情報を探しに行く必要がありました。

ところが今後、

銀行や証券会社など、

僕たちが普段から利用している金融機関を通じて、

暗号資産関連の商品やサービスにアクセスできるようになったら、

状況は変わるかもしれません。

「ビットコイン」という言葉に対する心理的な距離も、

今までとは違うものになるかもしれません。

つまり、

「誰が紹介するのか」

によって、

同じビットコインでも受け取られ方が変わる可能性があります。

だからこそ、

これからは、

「何を買うのか」だけではなく、「誰から学ぶのか」

が、ますます重要になるのではないでしょうか。


ただし、「金融機関が扱う=安全」ではない

ここは、

僕自身も強調しておきたいところです。

銀行が扱うから安全。

証券会社が扱うから安心。

そう単純な話ではありません。

金融商品には、それぞれリスクがあります。

ビットコインにも、大きな価格変動リスクがあります。

だからこそ、

「誰かが勧めたから買う」

ではなく、

自分自身で仕組みやリスクを理解すること

が大切です。

ビットコインが身近になればなるほど、

金融リテラシーの重要性は高まる

のではないでしょうか。


「BTCを買うか」ではなく、「お金をどう考えるか」

僕は、

BTCを買うべきだ、

と言いたいわけではありません。

新NISAをやるべきだ、

とも言いたいわけではありません。

株も、金も、不動産も、預金も、ビットコインも、

それぞれにメリットとリスクがあります。

大切なのは、

「誰かに言われたから買う」のではなく、「自分で理解して、自分で選ぶ」

こと。

そして、そのためには、

まず

「学ぶこと」

が必要だと思います。


ETFは、単なる「商品」ではないのかもしれない

ここまで、

株式。

金。

ビットコイン。

そして、

米国、欧州、日本。

を見てきました。

すると、

僕には一つの流れが見えてきます。

投資の「器」が変わる。

市場への入口が変わる。

参加できる人が変わる。

資金の流れが変わる。

市場そのものが変わる可能性がある。

そして今、

「投資の器」だけでなく、「市場のルール」も変わろうとしている。

僕は、ここにも注目しています。


そして、僕は「価格」だけを見ない

第1回で、

僕はビットコインの「価格」だけを見るのをやめた、

と書きました。

今回、その理由が少し見えてきました。

BTCが上がった。

BTCが下がった。

それだけでは、

「なぜそうなったのか?」

が分からない。

ETFには資金が入っているのか。

米国の金利はどうなっているのか。

日米金利差はどうなっているのか。

ドル円はどう動いているのか。

株式市場はどうなのか。

金はどう動いているのか。

債券市場では何が起きているのか。

そして、

世界の制度はどちらの方向へ向かっているのか。

こうしたものを一緒に見ることで、

「ビットコイン市場で何が起きているのか」

を少しずつ考えられるようになるのではないか。

僕は、そんなふうに考えるようになりました。


これから、ビットコイン市場はどう変わるのか?

もちろん、

「ETFができたからBTCは必ず上がる」

と言いたいわけではありません。

そんな単純な話ではないと思います。

ただ、

株式市場で、

金市場で、

そして今、

ビットコイン市場で、

「投資の器」が変わっている。

そして、その背景では、

「市場のルール」も変わろうとしている。

これは、

僕たちが考えてみる価値のある変化だと思います。

もし、この流れがさらに進んだら、

日本人のお金は、

どこへ向かうのでしょうか。

銀行預金なのか。

株式なのか。

投資信託なのか。

金なのか。

不動産なのか。

それとも、

ビットコインなのか。

あるいは、

それぞれを組み合わせるのか。

答えは、人それぞれ違うはずです。

だからこそ、

僕は一つの問いを残したいと思います。

「あなたのお金は、なぜ今、その場所にあるのですか?」

そしてもう一つ。

「これから、お金の置き場所はどう変わっていくのでしょうか?」

僕自身も、自問自答しています。

だからこそ、

データを見ながら、

一つずつ考えていきたいと思います。


次回は、「何を見るのか?」

ここまで読んでくださった方は、

「じゃあ、具体的に何を見ればいいの?」

と思われたかもしれません。

僕自身も、最初はそうでした。

チャートだけでは分からない。

ニュースだけでも分からない。

だから、少しずつ見るものを増やしていきました。

次回は、

僕がビットコイン市場を見るときに意識している、

「4つのものさし」

について書いてみたいと思います。

ETFの資金。

金利。

為替。

そして、

株式や金など、他の市場との関係。

「BTCのチャートを見る」から、

「世界のお金の流れを見る」へ。

まだまだ勉強中の僕ですが、

一つずつ、少しずつ、

自分なりに整理していきたいと思います。

第3回

ビットコイン市場を見る「4つのものさし」

――価格だけでは見えないものを、少しずつ見てみる

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