ブーレーズの音楽――音の配置の構造を聴く

最近、ピエール・ブーレーズの作品をよく聴いています。

ブーレーズというと、無調やセリー技法など、難しい理論で作られた音楽という印象があります。しかし、私は理論を理解するために聴いているわけではありません。

私が聴いているのは、音の配置によって生まれる構造です。

ブーレーズの音楽では、高い音のあとに遠く離れた低い音が現れたり、激しい音の直後に沈黙が置かれたりします。

音が旋律として流れるというより、時間の中に一つずつ配置されていくように感じます。

高い音と低い音、強い音と弱い音、密集した音と孤立した音。それらの関係を追っていると、ばらばらに聞こえた音の奥から、大きな構造が見えてきます。

特に好きなのは、マウリツィオ・ポリーニが弾く《ピアノ・ソナタ第2番》です。

音が激しく衝突し、形が作られた直後に崩れていきます。しかし、無秩序ではありません。崩壊するように聞こえる状態まで精密に作られています。

私はそこに「美的な崩壊」を感じます。
ブーレーズ《ピアノ・ソナタ第2番》
マウリツィオ・ポリーニ

https://youtu.be/IgeAGXz39uQ?si=3_kXKlXrW2Z2Sh2b

《プリ・スロン・プリ》も好きな作品です。
ソプラノの声や打楽器、ハープ、管楽器などが、広い空間の各所から現れるように配置されています。

私は言葉の意味だけを追うのではなく、声と楽器が近づいたり、離れたりする動きを聴いています。
音が重なり、ほどけ、別の形を作っていきます。何度聴いても飽きない作品です。

ブーレーズ《プリ・スロン・プリ》全曲
⁠https://www.youtube.com/watch?v=MnKZbF0CCh4

《ノタシオン》も面白い作品です。
短い音型が管弦楽の中に拡大され、音がさまざまな楽器へ飛び移ります。小さなピアノ曲の構造が、巨大な音響空間へ広げられていきます。

ブーレーズ《ノタシオン》第2曲
ブーレーズ指揮、ベルリン・フィル
⁠https://www.youtube.com/watch?v=dyXGfztLEMA

ブーレーズの音楽には、覚えやすい旋律や、安心して戻れる調性はほとんどありません。

それでも、私には無秩序には聞こえません。
音がどこに置かれているのか。その音が、前後の音とどのような関係を作っているのか。

私は、音の配置の構造を聴いています。
難しいから聴くのではありません。
音の配置が面白く、構造が美しく、聴くたびに違う部分が見えてくるから聴いています。

ブーレーズでは無いですが、先日N響で現代音楽聴いてきました。以下参考までに
https://note.com/apt_sorrel5481/n/n45fee62e8012

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