FM音源、好きなんだけどちょっと苦手。――「Green Hill Zone」を作って、なぜか少し泣きそうになった
Studio Hemuri Game Musicの第7作として『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の「Green Hill Zone」をアレンジした。今回が、このチャンネルでは初めてのメガドライブ曲になる。
アレンジもミックスも動画も全部完成して、テレビで最終確認をしていた時だった。「あれ、なんかこの曲いいな」と思った。
そのまま聴いていたら、なぜか少し泣きそうになった。
でも、よく考えたら僕はFM音源中心の曲が少し苦手だ。FM音源の音そのものは好きなんだけど、曲全体になると昔から「硬いし、冷たいな」と感じることがあった。
じゃあ、なんでGreen Hillを聴いてグッときたんだろう?
今回のカバー
FM音源、好きだけどちょっと苦手
ちょっと変な話なんだけど、僕はメガドライブが好きだったわりに、FM音源中心の曲は昔から少し苦手だった。
FM音源の音そのものは結構好きだ。かっこいい音もたくさんある。でも、それが曲全体に広がると、硬いというか、無機質というか、ちょっと冷たい感じがする。ファミコンやスーパーファミコンの音と比べると、なんとなく人のぬくもりが少ない気がしていた。
しかも音作りも難しい。ちょっとパラメーターを触っただけで、急にバリバリした音になったりする。
「どうやって音作ったらいいの!? さっぱりわからん!!!」
となる。
昔はFM音源の着メロを作る仕事もやっていたので、まったく扱えないわけではない。でも、音作りは今でもちょっと苦手だ。
じゃあ、なんでメガドライブ派だったんだという話なんだけど。
FAITHFULを詰めたら、かなりメガドライブになった
Studio Hemuri Game Musicでは「FAITHFUL + EXPANDED」という方針で制作している。
原作ハードらしい音色は残す。一方で、当時の同時発音数やステレオ、低域、エフェクトなどの制約には縛られず、原曲の延長線上で音を豪華にしていく、という考え方だ。
メガドライブについては、もともとSuper Audio Cartに入っている音色を中心に使うつもりだった。ただ今回は最初のメガドライブ曲ということもあり、FAITHFULの部分をもう少し詰めてみたいと思って、chipsynth MDを導入した。
今回は全体の9割くらいをchipsynth MDで作り、足りないところだけSuper Audio Cartで補っている。結果として、かなり原作のメガドライブ版に近い質感になったと思う。
アレンジ自体はそれほど大きく変えていない。1ループ目は原曲の長く伸ばすメロディーを残し、2ループ目からハモリを加えた。一部では主旋律を少し早めに切ることで、原曲にもともとあるオブリガートが聞こえやすくなるようにしている。さらに2ループ目の後には、主旋律を抜いた短い間奏も加えた。
一方で、ミックスまで当時のゲーム機そのままにするつもりはなかった。たとえばベースはFM系の音にサブベースを重ね、低域もしっかり出るように補強している。
音色はメガドライブのまま、音の厚みや低域、広がりには当時の制限をかけない。今回の「EXPANDED」は、主にこういう部分にある。
全部終わってから、なぜかグッときた
不思議だったのは、制作中ではなかった。
アレンジもミックスも動画も全部終わって、一段落した後。テレビのモニターで完成した動画を確認していたら、急に「なんかいいな、この曲」と思った。そのまま聴いていたら、ちょっと泣きそうになった。
自分でもよく分からなかった。
ソニックは初代も2もソニックCDも遊んだし、ゲームギアでも遊んだ。でも「昔ソニックを遊んでいたあの場面を思い出して泣きそうになった」という感じではない。
なんか、ただグッときた。
あの頃の自分を思い出していたのかもしれない
後から考えていて、一つ思ったことがある。
中学生だった頃、周りがファミコンからスーパーファミコンへ移っていく中で、僕はメガドライブからメガCDへ行った。当時のセガの、ちょっと変わっていて尖っている感じが好きだったのかもしれない。
そしてあの頃は、ファミコンだ、メガドライブだ、スーパーファミコンだと、とにかくゲームを遊ぶことに必死だった。今みたいに仕事がどうとか、この先どうするとか、そんなことはたぶん何も考えていなかった。ただ新しいゲームが面白くて、それを遊んでいた。
もしかしたらGreen Hillそのものというより、あの頃の自分をなんとなく思い出していたのかもしれない。
でも正直、今でもよく分からない。
FM音源のあの硬さ、ちょっと苦手なのに。
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