Arch to Hoop HIROSHIMA はじめます。
2つの視点からみたArch to Hoop
「世の中、ぶっこわれてるな・・・」
そんな声が漏れてしまいます。世間で起こるあまりにも理不尽で理解不能なできごとに対し、憤りのようなものを感じることがあります。
とはいえ、いまさらパンクバンドのように叫びながら窓ガラスを割って歩くのも芸がないので、建設的に考えた結果、沖縄の子どもたちの体験格差を解消する一般社団法人Arch to Hoop沖縄をつくることにしました。この4年間で、一般社団法人を立ち上げ、いくつかのイベント開催して、2025年には広島に拠点拡大を決定したところです。
ここまでの流れを、民秋 清史(たみあき きよふみ)が Arch to Hoop の代表理事と株式会社モルテンの社長という2つの視点から、少し社会的な仕組みに重点を置いて綴ってみます。

Arch to Hoopという企業実験
・できることを考えたら、Arch to Hoop が生まれました。
2021年に、モルテンが社会課題への取り組みとして、なにができるかの話し合いました。話題に上がったのが、2023年に沖縄で開催されるFIBAバスケットボールワールドカップ。バスケ王国沖縄で開催される歴史的大会の社会的レガシーを残そう!と意気込み、『Arch to Hoop OKINAWA』が生まれました。
Arch to Hoop OKINAWA は、バスケットボールをきっかけとして、体験格差の解消を目指した活動です。2022年からリディラバさんと沖縄の社会課題の調査を始めました。その調査の中で、体験の不足が子どもたちの未来の可能性をせばめていることが気になりました。やりたいことがあってもためらってしまう。 新たな体験ができないことで、そもそも自分ができることが分からない。そして、大人たちも気づけていないことがたくさんある。解決するべき課題としては十分な意義を感じました。
その後、パートナー候補として、子どもたちの居場所を沖縄でつくっているNPO法人ちゅらゆいの金城さんと出会い、意気投合し、事業づくりパートナーとして一緒に活動しています。さらに麻生グループさんと、株式会社國場組さんというパートナーも増えました。
詳しくは、事業リーダーの勝田さんがこちらに書いています。
・次の成長は社会課題を解決する仕組みをつくる
さて、これから活動を広げるために、2つめの拠点『Arch to Hoop HIROSHIMA』を立ち上げます。この4年間、頻繁に議論に上がったのは、社会的インパクトをどう増やすかです。かかわる人数を増やさないことには、社会的なインパクトは生まれない。けれど、数を増やすと一人ひとりに向き合う時間が減ってしまうというジレンマに悩んでいました。「広さと深さ」の問題です。
議論の末に、私たちがたどり着いた答えは「NPOと企業の連携モデル」をつくることです。まだ社会的な活動をしていない企業さんの参考になるような成功事例をつくれば、活動する企業の数が増えて、社会的インパクトを生み出すことができるんじゃないかと考えました。

組織の文化は変わるのか?
・お金を出すだけでは組織は変わらないのよ
これまで、モルテンでも、東日本や広島での土砂災害が起こると、社内でお金を集めて、それと同額を会社が出して寄付をしたりしてました。ただ、それだけではモルテンという組織は大きく変わりませんでした。組織が大きく変わってないということは、人が大きく変わってないということなので、広い視点で見ると、社会が大きく変わってないということになります。そういう課題感をもっていました。
・社会的活動が続かないのはなぜ?
寄付の直後は高揚感があります。とはいえ、社会課題を解決しようという勢いは継続せず、少し落ち着くと、忙しい日常に戻っていきました。その理由を考えてみました。
理由1:問題が何か設定されていない
モルテンは起こった問題に対応していただけでした。いわゆる対処療法です。製造業は「なぜを5回繰り返して、根本原因を捉えて、それを解決する」というのが原則です。社会課題においては、モルテンが解決すべき「問題は何か?」が合意できていませんでした。
理由2:仕組化されていない
突発的に起こるイベントに対しての対応を、製造業では「非定常作業」と呼びます。突発的に起こるので、当然短期間で終わります。継続させるためには「定常作業」として、日常的な業務に落とし込むための仕組みが必要なんですが、それがありませんでした。
理由3:実感がない
寄付をするのは素晴らしいことですが、ただ、お金を出しただけでは社会課題解決にかかわっているという実感が湧きにくかったです。
以上の課題を踏まえて、Arch to Hoop に取り組みました。
フォロワーを生み出せないか?
・リーダーもフォロワーも大事
社会を変えようとする素晴らしいリーダーにたくさん会いました。リディラバの安部さん、ボーダレス・ジャパンの田口さん、ETICの宮城さんのような人たちから刺激を受け、その人たちの周りにはリーダーを生み出す仕組みがたくさんあることを知りました。
ボクが大好きなTEDに「社会運動はどうやって起こすか?」ていうのがありまして、リーダーをつくるのはフォロワー(追随者)だと言ってるんです。後ろに誰もついて来なければリーダーにはなれません。つまり、リーダーをつくるのはフォロワーで、リーダーと同じくらいフォロワーは大事という話しです。
さらに言うと、リーダーが1人生まれると、おのずと、10倍以上のフォロワーが必要です。ということはフォロワーを生む仕組みも必要となるわけです。Arch to Hoop は、いたって普通な人たちを、良質なソーシャルフォロワーになる仕組みを提供できないかと考えてます。
・ボランティアは敷居が下がれば増える
2014年に広島で土砂災害が起こりました。「なにか役に立とう!」と思い立って、土砂を除去するボランティアを探したんですけど、なかなか見つからず、やっとの思いでボランティアに参加できました。作業はとてもやりがいがありましたが、準備の方が時間を取られ、疲弊させられました。
悪いことは続くもので、2018年に再度広島で土砂災害が起こりました。今度はモルテンのすぐ近くの家にも被害が及び、社内では「近所の被災した人たちを助けよう」という声があがりました。急遽、業務中に順番で土砂の清掃ボランティアをすることになりました。猛暑の中、他人の家の片づけをする人たちを見て、「誰かの役に立ちたい人はたくさんいるんだ」と実感できた体験でした。

もちろん、みなさん本業があるので、完全にコミットはできないし、過度なリスクもとれない。けれど、専門的な知識やネットワークを持っていて志もあります。こういう人こそ良質なフォロワーとしてのポテンシャルを秘めています。
問題を解決して社会を良くしていくには、もっと多くの人に関心を持ってもらう必要があります。ここで、人の役に立ちたいけど、NPOに入るほどのコミットメントはない。そんな人たちの日常的に余った時間を、簡単に社会の役に立つために使える仕組みがあれば、良いサイクルが回るんじゃないかと。
Arch to Hoop が生み出す良質なソーシャルフォロワーの未来を想い描いています。
NPOとの長期的な連携の可能性
とはいえ、社会課題に取り組むためには、専門知識と経験をもつリーダーは絶対的に必要です。なので、Arch to Hoop は素晴らしいリーダーのいるNPOさんと連携して運営をしています。
連携するとは言っても、組織文化や価値観も違うし、お互いの目的もよく分からないので、最初はとにかく話をしました。
「出身はどこですか?」「なんでNPOをはじめたの?」「会社ではどんな仕事をしているの?」「バスケのルール教えて」「子どもの呼び方ってどうするのがいいの?」など、いろんな会話をじっくりしてきた結果、NPOと企業が長期的な連携を続ければ、それぞれの強みと弱みを補完し合える関係になれると気づきました。
いま、私たちが学んでる連携ノウハウを知りたい人がいたら喜んでシェアします。そうやってみんなで学び合っていけば、きっと世の中はより良い場所になると信じています。
「世の中は、ぶっこわれてるけれど、
きっとなおせる。」
沖縄で生まれたArch to Hoop。
暗中模索で、驚きの連続でした。いろんなことを学び、仲間が見つかり、たくさんの子どもたちの笑顔が見れました。
モルテンが生まれた広島で、どんなことが起こるか楽しみです。

<プロフィール>
民秋 清史
一般社団法人 Arch to Hoop沖縄 代表理事
株式会社モルテン 代表取締役社長 兼 最高経営責任者
スポーツ用品、自動車部品、医療福祉機器、マリン産業用品という4つの事業部を持つモルテンを経営。ハードウェアとクリエイティブを掛け合わせた分野で、グローバル市場にプロダクトを提供しています。

